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オープンソースのライセンス

2006.07.19|オープンソースソフトウェア このエントリーをはてなブックマークに追加Yahoo!ブックマークに登録この記事をクリップ!BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク

オープンソースソフトウェア(OSS)のライセンスについての解説記事は山ほどある。たとえば、IPAの調査報告書「ビジネスユースにおけるオープンソースソフトウェアの法的リスクに関する調査」では、法的リスクの観点から詳しく解説されている。この14ページの表1にあるように、一般にOSSのライセンスは、GPL、MPL、BSDライセンスの3つの類型に大別される。それぞれのライセンス類型のもつ特徴は以下のようである。GPLは他のソースコードと組み合わせた場合に、他のソースコードのソースの公開が求められる。MPLは改変部分のソースコードのみを公開すればよい。BSDは改変部分のソースコードの公開すら求められない。つまり、BSDライセンスではプロプライエタリ・ソフトウェアへ組み込んでクローズド化することもできるのである。

歴史的に見ると、1981年に米国でソフトウェアを著作権法で保護することが始まって以来、これに反発する形でフリーソフトウェアの活動が開始された。1988~93年には、AT&T・Sun・東芝・富士通連合 vs. DEC・HP・IBM連合による大規模な統一UNIX抗争があり、この間隙を突くようにLinuxが登場し、商用UNIXやWindowsに反発する形で現在のOSSの隆盛を見たわけである。1989年にGNU GPL(General Public License)ができ、1991年にはその後継としてのバージョン2であるGPLv2ができている。現在、Linuxをはじめ、すべてのOSSの約67%にこの現行のGPLv2が適用されている。よって、GPLのもつ影響力は極めて大きいのである。

GPLのOSSを改造したり、組み込んだりした場合には、GPLを適用することになり、クローズドなソフトウェアにはできない。よって、ますますOSSが増えて、発展していくことになる。これはコピーレフト(Copyleft)という巧妙な仕組みによって実現されている。コピーレフトとは、プロプライエタリ・ソフトウェアの開発者がユーザの自由を奪うために著作権を使うのとは違って、ユーザの自由を保障するために著作権という仕組みを利用したものである。まずプログラムに著作権を主張し、その上でユーザの権利を保障する法的手段として「この配布条件を変更しない限り、当該プログラムのコードおよびそれから派生したいかなるプログラムに対しても、使用・改造・再頒布の権利を与える」という頒布条件を指定するのである。

企業や組織によるこれらのライセンス類型の使い分けの傾向を見ていこう。エスタブリッシュな企業が自社開発のソフトウェアをOSSとして公開する場合には、BSDライセンスにすると、それをベースに競合製品となるプロプライエタリ・ソフトウェアを開発されたら困るので、MPL類型のライセンスを規定して適用することが多い。GPLにしないのは、そうすると、自社の新たなプロプライエタリ・ソフトウェアに組み合わせることができなくなってしまうためである。

これに対して、MySQLやTrolltechなど多くの新興OSS企業の場合は、GPLと商用ライセンスのデュアル・ライセンスでOSSを公開することが多い。この場合、そのOSSのユーザはGPLの下でそのOSSを使用するか、その企業から商用ライセンスを購入するかを選ぶことができる。もちろん、商用ライセンスを購入した場合には、そのOSSを組み込んだり、改造したソフトウェアのソースコードは開示する必要はなくなるわけである。つまり、これらの新興OSS企業はデュアル・ライセンスというビジネスモデルで商売をしているのである。

最後のBSDライセンス類型に関しては、Apache Software Foundationなどのコミュニティや大学が中心となって開発されているOSSの場合に適用されることが多い。PostgreSQLはBSDライセンスである。このライセンスの問題点は、本家プロジェクトから枝分かれして派生したプロジェクトが生まれやすいということがある。事実、BSD系のUNIXとしては、FreeBSD、NetBSD、OpenBSDなどが存在する。その点、GPLの場合は、そうした枝分かれのプロジェクトは生まれにくい。Linuxの場合には枝分かれしないことによって、デバイスドライバの開発などが複数の派生プロジェクトを対象にする必要がなく、うまく発展し得たということが言える。

コメント

分岐の起きやすさとライセンスの違いに相関関係があるとは思えません。GPLでも、GNU Emacs と XEmacs の事例があります。

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