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最終回 -連載のまとめ

2006.12.13|失敗しない見積もり このエントリーをはてなブックマークに追加Yahoo!ブックマークに登録この記事をクリップ!BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク

「失敗しない見積もり」も連載をスタートして、早いもので1年が経過した。
今回で延べ43回目である。  

1年という区切りでもあり、また次の連載(執筆者)も決定したこともあり(皆様乞うご期待)、このあたりで一旦筆をおかせてもらうこととし、今回はこれまでの「連載のまとめ」を行うこととしたい。 繰り返すが、「見積もり」は、プロジェクトにおける「最初の(当然その後も適宜見直しが繰り返し行われる)定量的なアウトプットを伴った」活動であり、「プロジェクトの全体像」を関係者で決定、共有する上で最も重要な活動である。
また、そのアウトプットは、契約のインプット情報となるだけだはなく、プロジェクトマネジメントの中核(基本データ)ともなる、「肝心な情報」である。その「見積もり」が失敗する原因は、大きく下記3点に集約される。

(1)「見積もるプロジェクトそのもの」に関するインプット誤り・情報の絶対的不足  
 (または、インプット自体の大きな変更、変動)
(2)「自分自身プロジェクトを遂行する組織の能力(生産性等)」に関するインプット誤り  
 (または、組織自体の準備不足・機能不全)
(3)「見積もりプロセス自体の不正確さ」によるアウトプット誤り
つまり、この原因を排除すれば「失敗しない見積もり」ができることとなる。  

(1)については、見積もりの前提条件となる「所要の機能・性能・品質」を明文化し、お客様と合意することがポイントとなる。プロセスとしては、プロジェクト全体の大きな枠組み(責任範囲・責任項目・前提条件)を合意した上で、お客様の提示する「抽象的、概念的な要求仕様」を「具体的な要求仕様項目に翻訳してドキュメント化し」、合意していく。 

重要なことは、見積もり時点(見積もりのタイミング)で目標とする「精度」を双方合意の上決定し、その「精度」の範囲内の見積もりが可能となるために最低限必要な事項は決定・合意することである。
なお、このフェーズは、外部環境(お客様環境、許容される期間)に大きく依存することから、そのプロジェクト置かれた外部環境に合わせた(最適な)手段系を選択して活動を実施していくことが肝要である。

また、活動にあたっては、 ①常にお互いに「前提条件」を意識し続けること。 ②「無視された(取り違えた)条件」、「見過ごされた(誤った)仕様」を発見するための「コミュニケーションイベント」(ステークホルダーを含んだレビュー)を確実に実行するために必要な体制<特に業務専門家>と時間を確保すること。③常に存在する「先送りされた課題」(抽象的な曖昧さ)を相互に認識し、解決(責任)の所在・時期を常に明確に管理しておくこと。が重要である。

(2)については、自組織の開発プロジェクトの成熟度をいかに見るかがポイントとなってくるが、開発を取り巻く環境(求められるお客様要望(スピードやコストダウン)、開発の難易度、選択可能なプロセスや技術)は時々刻々と変化(高度化)している。
また、開発プロセス自体も常に進化し続けている。その変化の中で「自身の真の実力値」をいかにタイムリーに把握(収集・分析)しつづけられるか、組織としていかに発見した悪さ加減に対して速やかにアクションを起こし、水平展開することにより「組織の真の実力値」を向上していくか、が重要である。 

また、遂行能力のあるプロジェクトメンバを確実に手配・準備し、成功のシナリオを共有すること、多少の変動(リスク)には耐えうる体制的・時間的余裕をあらかじめ持つことがプロジェクトをより機能させる。 

もちろん、その中心となる「IT技術者」のインセンティブ向上や、量・質両面での人材の育成・確保は業界全体の喫緊の課題であり、産業界だけではなく、今後とも「産・学・官」よく連携して取り組まねばならない。

(3)については、それぞれの組織が「個人知」に頼らぬ「組織的な見積もり手法」を確立し、その手法の継続的な改善に取り組むことである。今回、「組織的な見積もり手法や事例」そのものにはあまり言及しなかったことはご容赦願いたい。
ただ、私が執筆を続けている間にも、各社の先進的な見積もり事例等を紹介する書籍が数多く発刊されており、そちらを是非参考にされていただきたい。とにかく、自らが「汗」をかき続けることによってしか自社の強みである「無形財産」(組織知)は蓄積することはできない、と覚悟を決め、決めたことを自分の手で愚直に実行し続けることである。  

「失敗しない見積もり」を1年間連載している間にも、IT業界を取り巻く環境は時々刻々と変化(進化)してきた。世界的にも想像を絶するスピードで技術革新が進んできており、お客様の期待値を含めた「ITプロジェクトの偏差値」もどんどん高くなってきている。その変化(進化)にどう追従していくか、また、変化(進化)をどう乗り越えていくか、まさに、我々の真価を問われている時代である。
その中で、IT産業全体がこのままではいけない、という危機意識を共有できていることは、いい兆候である。
この危機感を共有しつづけ、変化(進化)に負けない「スピード感」をもってこの業界の変革を実践していくことこそ我々の使命であり、自らも実践していきたい。

最後にこの1年間、ご指導・アドバイスいただいた皆様、本当にありがとうございました。 この場を借りて御礼申し上げます。

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