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完成形(その2)

2007.03.30|プロジェクトマネージメント このエントリーをはてなブックマークに追加Yahoo!ブックマークに登録この記事をクリップ!BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク

完成形を共有するには、完成システムを使ってみることが一番の近道だ。

五〇を機に茶道を習い始めた。茶で客をもてなす。たったこれだけだが、奥が深い。茶を泡立てる部分は茶道のほんの一部にすぎない。襖の開け閉め、お辞儀、歩き方など、所作の細部までルール(様式)と意味がある。数百年かけて完成した茶道である。完成形を体感するには、着物を着るところから始める必要がある。ソフトウェアの分野では残念ながら日本流が生き残っていない。世界に知られた茶道から奥義を会得したいと考えた。人と人が出会ってプロジェクトが起こるのだから、茶道にヒントがあるはずだ。

正式な茶席は、穏やかな中にもピーンと張りつめた空気がある。水一滴の音も聞こえる緊張感の中で茶をいただく。それまでの準備や気配りを感じ、客も亭主も一期一会に感謝する。それが完成形だが、何度練習しても終わりはない。ただ、大切な道具をうっかり傷つけぬよう、合理的な扱い方や置き方にルールがある。プロジェクトマネージメントでいうなら作業標準である。茶道のマニュアルを文字で読んだら、面倒で茶など飲めなくなる。しかし、完成した茶席は美しい。熟練者の所作は流れるように自然で優雅だ。完成形が美しいから、それを目指してがんばることができる。

ソフトウェア開発の標準化と格闘してきたが、なかなかうまくいかない。ルールだけを押しつけても、人は動かない。小さくても開発の完成形を用意し、それを追体験してみることが、伝承の鍵だと思う。自動車なら運転してみる。料理なら食べてみる。当たり前のことを繰り返すしかない。問題は、1人ではプロジェクトを追体験できない点だ。プロジェクトは複数メンバで成り立っている。そこで、夫婦で茶を練習している。

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