米国連邦政府のITガバナンス(その11)
今回は「米国連邦政府のITガバナンスを構成する要素」の最後の要素「5.プロセス」について紹介したい。前回示したようにここではプロセスという言葉を業務の流れ(フロー)という意味で使っている。多数存在するプロセスのうち、今回は本連載でこれまで「6.コミュニケーションツール」と位置づけて紹介してきた各種ドキュメントが利用される「予算案策定に関する省庁、行政管理予算局(OMB)、大統領、そして連邦議会のやりとり」に焦点をあてて紹介する(図1)。
米国連邦政府では毎年9月頃に各省庁からOMBに対して翌々会計年度のIT投資予算を申請する。ややこしいのだが、米国連邦政府の会計年度は10月始まりになっており、例えば2007年9月に提出した予算案は、2008年10月から始まる2009会計年度向けのものになる。予算申請の際、各IT投資プロジェクトの目論見書(その7で紹介)、各省庁のEA(その6で紹介)、IT予算の全体像を示すIT投資ポートフォリオ(その8で紹介)といったドキュメントがセットで提出される。
そして省庁・OMB間での折衝、大統領の承認を経て、最終的には翌年2月に発表される大統領予算教書に反映される。これらのドキュメントのうちIT投資目論見書とEAは省庁・OMB間で利用されるだけだが、IT投資ポートフォリオは大統領予算教書にも組み込まれる。
つまり、IT投資ポートフォリオは省庁~大統領という行政府と立法府(連邦議会)の間のコミュニケーションツールとして用いられている。 またPART報告書は、2007年度を例にとると1月下旬からOMBが準備を始め、2月に省庁向けトレーニングを開催、3月下旬までに各省庁が証跡等を一次提出、その後OMB・省庁間で調整、8月上旬に報告書の内容が確定というスケジュールになっている。
大統領府内で予算教書を作成する際、連邦EAという連邦政府全体の設計図を土台に、PART報告書の結果、つまりそれまでの行政施策の業績を参考にしながら(IT関連を含む)予算額が決定されるのが、関係者が想い描くITガバナンスの理想型と考える。現時点で理想型にどこまで近づいているのか、米国を離れて1年2ヶ月経った今、可能であれば改めて政府関係者に、現状を伺ってみたい。
図1:米国連邦政府の予算策定プロセス(大統領予算案策定を中心に)




