通信ソフトウエアの内製化とOpS
OpSと少し離れるが、通信ソフトウェアの内製化について触れたい。 1985年、当時のNTTは真藤社長の指示により交換機ソフトウェアの完全内製化を目指した組織を立ち上げた。当時、大規模な電子交換機故障が続発して社会的な問題となっていた時期であるが、より本質的には、電話網におけるサービス開発イコール交換機のソフトウエア開発であり、通信網のデジタル化の推進とその上に乗るサービスの多様化を自らの手の内で実行することを狙い、通信網の中核である交換機ソフトウェアの内製化を決断したものである。すなわち民営化後の競争環境下、電話サービスの多様化を自らの手で実行するためのソフト内製化であり、製造経験を全く持たなかったNTTに大きな変革をもたらした。
それまでメーカー任せだった交換機ソフトウェアの開発を内製化するというのは並大抵の苦労ではなかった。社内にソフトウェア開発の経験者は殆どいなかったので、とにかく人を集め、ソースコードを一行一行分担して解読するところから始めたそうである。このような地道な努力と平行して開発標準化、開発環境、ツールの整備を精力的に進め、1985年の組織立ち上げから僅か2年後には内製開発の交換機ソフトウェアを出荷した。
この頃OpSに関しては二つの流れがあった。一つは交換機と並んでデジタル通信網のインフラを構成する伝送無線設備を直接監視制御する仕掛けについて、交換機ソフトウェアの内製化とセットで開発が進められたものであり、もう一つは、業務効率化を出発点として、サービスオーダー、あるいは故障受付、切り分けなどの業務の集約化を図るために開発を始めたものである。いずれも1985年頃がその出発点であったが、1991年(平成3年)には両者を統合再編し、現在のNTTグループのOpS開発組織の母体が出来上がった。現在のNTTのOpS開発能力の基礎は全てこの時に出来上がった。




