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サービスの規約 その2

2007.10.29|サービスを科学する このエントリーをはてなブックマークに追加Yahoo!ブックマークに登録この記事をクリップ!BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク

Antonら(2004)[1]は、9つの金融機関が40のドキュメントに記述したプライバシー保護の規約文を、要求工学の手法[2]を用いて分析した。規約文をActor、Action Word、Subject Type、Conditions/Constraints/Circumstancesの4つのコンポーネントに分解することで、規約文に含まれる目的の抽出(ゴールマイニング)を行なっている。Antonらの手法を用いて、著者が日本の総務省と経済産業省が公表した「電子タグに関するプライバシー保護ガイドライン」[3]の条文 第9に対してゴールマイニング行なったものを例として以下に示す。

・ゴールマイニングの対象

電子タグに関するプライバシー保護ガイドライン 総務省 経済産業省 平成16年6月8日
第9 (情報管理者の設置)
事業者は、電子タグに関するプライバシー保護に関わる情報の適切な管理及び苦情の適切かつ迅速な処理を確保するため、これらに責任を有する情報管理者を設置し連絡先を公表する必要がある。

・ゴールマイニングの結果
Actor:事業者
Action Word:適切な管理
Subject Type:プライバシー保護に関わる情報
Conditions/Constraints/Circumstances:情報管理者の設置

プライバシー保護を行うActorは「事業者」となり、事業者が行なう行為を示すAction Wordは「適切な管理」となる。事業者の行為の対象は、Subject TypeとしてAction Wordの目的語となる「プライバシー保護に関わる情報」が抽出され、その実現条件であるConditions/Constraints/Circumstancesとして「情報管理者の設置」が抽出される。条文 第9に含まれる苦情の処理についての記述部分は、別のゴールとして抽出する必要があるが今回は割愛する。

Antonらのゴールマイニング手法では自然言語で記述された規約文について、プライバシー保護に関するAction Wordを起点にし、ゴールの体系化を実現している。体系化には、複数の金融機関が独自に表現する同意義のゴールの統一を行うことや、異なる単語の統一、組織間での異なる言い回しの統一を行なうことが必要である。Antonらは、Action Wordの抽出にあたり、引用文献[1]のなかで、The Privacy Goal Management Tool(PGMT)で規定されるCommon Privacy Policy Keywordsという57の動詞を利用したことを紹介している。57の動詞を利用し用語の統一を行なうことで、意味の取り違えなどのゴールに関する不確定な要因を排除し体系化することができる。さらに体系化したゴールに基づいて、プライバシー保護に関する規約の十分性を評価することができる。

経済のサービス化が進展するなかで、サービス提供者と消費者の関係を記述するサービスの規約の重要性は高まっていく。自然言語で表現された規約の十分性を科学的に分析するうえで、ゴール指向要求分析の展開と、PGMTのようなツールの発展が期待される。

【引用文献】
 [1]A. I. Anton, J. B. Earp, Q. He, W. Stufflebeam, D. Bolchini and C. Jensen: Financial Privacy Policies and the Need for Standardization, IEEE SECURITY & PRIVACY, pp36-45, IEEE COMPUTER SOCIETY (2004).

[3] 総務省,経済産業省:電子タグに関するプライバシー保護ガイドライン,2004
http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/pdf/040608_4_b.pdf

【参考文献】
[2]山本修一郎,ゴール指向による!!システム要求管理技法,ソフト・リサーチ・センター,2007

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