サービスの規約 その4
Antonら(2004)[1]は、9つの金融機関がWeb上に公開するプライバシー保護の規約文の読みやすさを科学的に評価している。GLBA (Gramm-Leach- Bliley Act)という金融機関向けの顧客情報守秘に関する法律は、金融機関のプライバシー保護ポリシーに対して「明瞭で分かりやすい」ことを要求している。Antonらは、読みやすさを評価する手法として、FRES (Flesch Reading Ease Score)と、FGL (Flesch Grade Level)を用いている。FRESは文章の明瞭さを、FGLは文章の分かりやすさのレベルを評価する指標である[2]。
FRESは下記の計算式で計算される。
206.835-1.015(全単語数/全文章数)-84.6(全音節数/全単語数)
上記式を使って、100を最高点として読みやすさを評価する。90-100のスコアは、小学5年生レベルが理解できる文章の明瞭さと判定される。同様に、60-70のスコアであれば、中学生レベル、0-30スコアであれば大学卒業レベルでの読解力が必要とされる文章であると判定される。
また、FGLは下記の計算式で計算される。
0.39(全単語数/全文章数)+11.8(全音節数/全単語数)-15.59
FGLのスコアが8.0であれば、米国教育で言う8年生が理解できる文書と判定される。戦後の日本の学制は米国の学制を参考にしているため、8.0の文章は日本で言う中学2年生程度の学力で理解できるというレベルであると理解してよいと思われる。米国では多くの文書を作成する際に、FGLのスコアが7.0-8.0となるレベルを目指すと言われている。
Antonらの評価結果は、金融機関が公開するプライバシー保護ポリシーは、高学歴を要するものが多いという結果であった。サービスの非有形性や同時性という特徴から、実際にサービスの提供を受ける前に規約によりサービスの提供状態を想像することは、消費者にとってサービスの提供の是非を決める判断材料となる。よってサービス規約文書は多くの人に適切に理解される必要がある。その読みやすさについて科学的に評価することは今後重要になっていくと思われる。
【引用文献】
[1]A. I. Anton, J. B. Earp, Q. He, W. Stufflebeam, D. Bolchini and C. Jensen: Financial Privacy Policies and the Need for Standardization, IEEE SECURITY & PRIVACY, pp36-45, IEEE COMPUTER SOCIETY (2004).
[2] Flesch-Kincaid Readability Test, Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Flesch-Kincaid_Readability_Test




