最終回 サービスの均質化 -連載を振り返って-
サービスを科学することの目的のひとつに、サービスの均質化があることを、本連載を通じ確認した。その背景には社会のサービス化の流れがある。家計や企業の消費の対象は、財からサービスにシフトしている。消費者物価指数や企業向けサービス価格指数の基準改定ではサービスに関する項目が細分化されている。また、産業分野においても、農業や工業が単純な財の製造だけでなく、財の製造に関わる市場調査、商品企画、営業、販売、アフターケアなどサービス関連の業務の比率が多くなっている。これらは我々の活動のサービス化を示している。
サービス化の流れに対して農業や工業が財の質を均質化したように、サービスの均質化が求められている。サービスの不均質による販売機会損失や顧客満足の低下などを避けるために均質化が重要となる。サービス手順のマニュアル化、サービス規約の分析、サービスの質の測定などが均質化を実現するための手段である。サービス手順のマニュアル化については、現在のサービス業務を多面的に分析する必要がある。サービスのマニュアル化にはマーケティングや経済学、経営工学、行動科学など多方面からの分析が必要となる。また、サービス規約の分析には要求工学の手法が利用され、サービスの質の測定には質問紙とその解析手法が利用されることは本連載で紹介した。このようにサービスの均質化には、社会科学、工学、人文科学などからの学際的なアプローチが必要となる。今後は、多様な分野の研究者のコミュニケーションを通じて、サービスの提供状態を分析するための手法や指標が整備されることが期待される。
連載を行うことで、私自身がサービスについて考察するよい機会を与えていただいたと考えている。既知の情報を整理しなおすことや新たに調査を行なうことで、社会のサービス化の動きとサービスを科学的に分析する手法の重要さを改めて認識することができた。この一年間、ご指導、ご助言をいただいた方々にこの場を借りてお礼を申し上げさせていただく。




