基盤ソフトウェア研究 (その3)
一体、何が起こったかについて、Rob Pikeは書いている。順に紹介しよう。
【何が起こったのか? PC】
「ハードは安くなりつつ、性能も良くなった。そのため、PCが平均的なコンピュータになって、PCで動かないと話にならなくなってしまった。思い起こせば、80年代には、多くの基盤システムは新アーキテクチャでしのぎを削った。 たとえば、RISC、iAPX/432、Lispマシンなどである。でも、もはや、そんなものはない。面白い課題も、さらに、面白い解法すらなくなってしまった。多くの基盤システムはアーキテクチャを超えたポータビリティでしのぎを削った。今や、ハードウェアはみんな同じになり、問題ではなくなった。Plan 9は世界でもっともポータブルなOSかもしれない。しかし今や、新しいリリースを出すならPC向けのみになる。PCだけがハードウェアなら、ソフトウェアも同じストーリーとなる。」
【何が起こったのか? Web】
「90年代初頭に起こったWebはビジネスと同様にコンピュータ科学コミュニティをも驚かせた。だが、Webは議論の中心になったが、研究的な成果はなかった。ビジネスが。Webは物理学者が最初に始めたのだが、その後はビジネスがWebをコントロールした。IBM 3270端末はWebブラウザに取って代わられた。キャッシュ、プロキシ、サーバ・アーキテクチャなどで膨大な論文は書かれたが、研究は何も貢献できなかった。」
【何が起こったのか? 標準化】
「コンピュータシステムが成長していくためには、たくさんの標準が必要だった。TCP/IP, HTTP, HTML, XML, CORBA, Unicode, POSIX, NFS, SMB, MIME, POP, IMAP, X, などなどである。標準を支持しないならば、社会的に無視された。Plan9の仕事の90~95%は直接的・間接的に標準に貢献したと思われる。別のレベルでは、命令アーキテクチャ、バスなどの標準が同じような影響を与えた。ところが、標準をもつマイクロソフトやシスコなどの企業は故意に標準を従いづらくして、競争をあきらめさせた。そして、学会はその犠牲のひとりとなった。」




