誰でもわかるフリーミアム
ICT用語ではないが“フリーミアム(freemium)”なる言葉が話題になっている。フリーミアムとは、フリー(無料:Free)とプレミアム(割増料金: Premium)を組み合わせた造語だそうだ。基本サービスを無料で提供することで顧客を広く集め、その何割かに高機能な有料プレミアムサービスへ移行してもらうビジネスモデルのことを示す。「ロングテール」というコンセプトを打ち出した米ワイアード誌編集長クリス・アンダーソン氏が、新著「フリー」で解説して以来ICT時代ならではのビジネス戦略として注目されるようになったようだ。
例えば、写真共有サービスのフリッカーでは、アカウントの登録だけで基本サービスを無料で使うことができる。ところが基本サービスでは保存容量やアップロード枚数に制限があり、これを解除するには有料版の契約が必要となる。パソコンやケータイ向けアプリソフトでも、基本機能に限定したバージョンを無料配布し、フル能版は有料販売するというものが結構多い。
浅知恵で思うに、こういった見本品や試供版を無料配布し正式な商品販売につなげるという販売戦略は、昔からやられてきたことで珍しくもなんともない。では、何故改めてフリーミアムなどと言い出したのだろうか。それは、従来は商品全体の5%を無料で配って、95%を有料で買ってもらうという戦略であったが、フリーミアムでは逆に95%を無料で配って、5%を有料で買ってもらうという戦略だからだ。
試供品を配ると言えば化粧品や食品が代表的だが、こうした“モノ”の場合は製造・流通コストの点から、無料提供は5%程度が限界なのである。これに対し、コピーや流通コストがゼロに近いソフトウエア等のICT世界ではこの逆が成り立つのである。試供品どころか正式な商品を大勢のユーザーに無償配布し、そのうちの数%が更に高機能な有料サービスに移行してもらえれば十分ビジネスが成り立つのだ。
ただややこしいことに、“モノ”の世界でもフリーミアム戦略へのトライも出てきている。コーヒーショップが無料コーヒーを出したり、レンタサイクル屋が最初の30分無料にしたり、1カ月無利子のローンがあったりする。モノもICTも本来は商品であるべきものを販促に使い始めたということだろうか。
と、ここまで書いてきたが、フリーミアムなるもの、ロングテールの時もそうだったが、現場的には昔から常道的に行われていたことであり、改めて概念として分かり易く整理しただけのような気もしてきた。フリーミアムで一番儲けたのは「フリー」の著者なのかもしれない!?




