パケットトランスポート技術 その1-概要-
現在、収容局間を結ぶために使用される伝送装置網は、固定電話や専用線サービス等(以降、レガシー系サービス)を中心に提供するためのSDH(Synchronous Digital Hierarchy)網と、インターネットやイーサネット専用線等のIP系サービスを提供するためのIP網がある。SDH網、IP網は、それぞれ独立しており、個別の保守運用管理が必要となっている。そのため、設備効率化のためにレガシー系サービス、IP系サービスを同一網上で効率的に収容することが求められている。
このような需要に応えるための技術として、近年、通信サービスのトラヒックの主流であるパケットベースでの通信を行う方法が効率性や価格の面から注目されてきている。従来、SDH網と同等の信頼性を、再送や自律分散制御を基本とするパケットベースの通信で実現するには技術的に困難であると考えられてきた。しかし、近年、SDH網と同等の信頼性を実現可能なパケットトランスポート技術の出現により、レガシー系サービスとIP系サービスを同一網上で提供できる可能性が着目されている。イメージを図に示す。
本稿では
・パケットトランスポート技術に関する技術概要
・パケットトランスポート技術の主流であるMPLS-TPの技術概要
・MPLS-TPの保守運用機能であるOAM(Operation Administration and Maintenance)機能概要
・パケットトランスポート技術の標準化動向、市場動向と今後の動き
に関して、4回にわたって紹介する。
第1回は、パケットトランスポート技術の概要を紹介する。
効率性や価格の面から注目されたパケットベースでの通信を行うパケットトランスポート技術は、通信事業者が求めるSDH網と同等の品質への拡張性を持っているMPLS(Multi Protocol Label Switching)という技術を基に開発された。MPLSでは、フレームやパケットの前方に宛先識別標識を付与して転送することで、レガシー系サービスとIP系サービスを同一網上での提供や、パス(経路)の設定が可能である。この特徴をいかして、MPLS技術に故障点特定や障害発生時の高速切替などの保守運用管理機能を追加することで、通信事業者が求める保守運用性を持たせたものがパケットトランスポート技術である。
パケットトランスポート技術では、SDH網と同等の保守運用管理機能にするために、
①コネクションが確立された(コネクションオリエンテッド)パス(経路)の構築
②パス経路の明示的な指定
③OAM(Operation Administration and Maintenance)の充実
④高速パス切替(50ms以内)の実現
といったIP網上での信頼性や耐障害性をレガシー系サービスと同等まで高めるための 機能が追加されている(表参照)。
次回は、現在パケットトランスポート技術の主流となっているMPLS-TPの概要について紹介する。




