月刊ビジネスコミュニケーションによるエキスパートブログ
HOME | ABOUT |
atom rss2.0

« previous next »

高速伝送を支えるデジタルコヒーレント技術 その3-③波長分散補償フィルタ、④偏波モード分散補償フィルタ-

2011.11.25|新ネットワーク このエントリーをはてなブックマークに追加Yahoo!ブックマークに登録この記事をクリップ!BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク

第3回はデジタルコヒーレント技術による復調の仕組みとして、伝送阻害要因の影響を補正するための『③波長分散補償フィルタ』、『④偏波モード分散補償フィルタ』を紹介する。

③波長分散補償フィルタ
波形を形成する周波数成分が光ファイバ中を異なった速度で伝搬する事に起因して、波形が歪む現象のことを波長分散と言い、信号劣化の要因となる(図6)。

波長分散補償フィルタは、波長分散による信号劣化を補正する機能を担っており、入力信号に対して、それぞれ異なった増幅率と遅延量を与え、最終的にそれぞれを合算することで送信時の波長分散の影響を受けていない送信前と同等の波形に補正する(図7)。

例えば、図7において、それぞれ異なった増幅率と遅延量を与えるタップを4つ持つ波長分散補償フィルタがあるとし、T1~T4の値は表1と仮定する。入力信号がT1~T4までを個々に通過することによって、最終的に合波された出力信号が、波長分散の影響を受けていない波形に補正されていることがわかる(図8)。

上記の例では、T1~T4の4個であったが、この補償器(Tの数)を増やすことによって補償量は大きくすることが可能となる。ただし、Tの数を増やすことで補償量は大きくなるが、その分、演算処理時間を要するため、実際には補償量と演算処理速度のバランスを考慮して、Tの数を設定する必要がある。
なお、分散量は伝送距離に比例して大きくなるため長距離伝送の場合、Tの数を多く(一般的にはT=100以上)設定して分散補正量を大きくする必要がある。

④偏波モード分散補償フィルタ
偏波モード分散は、波長分散と同様に光ファイバ中を光が伝播することで波形が劣化する現象であるが、ファイバの製造工程や敷設状況(風や雪といった温度環境、曲げ具合、経年劣化など)により光ファイバが歪むことで、ファイバ中の光の反射方向が速い成分と遅い成分に分かれてしまい、それぞれで到達時間に差が生じる現象である。これにより信号成分の幅が広がり、信号の識別が困難になる(図9)。

偏波モード分散補償フィルタは、偏波モード分散による信号劣化を補正する機能を担っており、波長分散補償フィルタと同様の原理を用いて波形歪みを補正する。ただし、偏波モード分散の変動量は、波長分散の変動量に比べて大きくはないが、経時的に変動し続けるため、リアルタイムで演算が必要となる。

次回は、デジタルコヒーレント技術による復調の仕組みとして、④キャリア推定、⑤最適化回路について紹介する。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.bcm.co.jp/mt/mt-tb.cgi/1166

コメントを投稿

(投稿頂いたコメントは内容を確認させて頂くので、公開まで時間がかかります。また、適切でないと思われるコメントは公開されない場合があるので、予めご了承下さい。)

Latest