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高速伝送を支えるデジタルコヒーレント技術 その4-④キャリア推定、⑤最適化回路-

2011.11.30|新ネットワーク このエントリーをはてなブックマークに追加Yahoo!ブックマークに登録この記事をクリップ!BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク

第4回はデジタルコヒーレント技術による復調の仕組みとして、信号光とローカル光の偏差を補正するための『④キャリア推定』、全体的な最適補償を行うための『⑤最適化回路』を紹介する。

④キャリア推定
第2回で説明したように、ローカル光と信号光の周波数が完全に一致していない状態の場合、コヒーレント検波した信号が安定せず、位相が常に変動する状態となる。位相変調方式の場合、受信信号の位相状態から信号を検出するため、位相が変動してしまうと正確な情報検知が困難となる。そこで、位相状態に補正を施し、送信時の位相状態を安定的に検出する必要がある。
図10ではキャリア推定機能による信号の補正イメージを示す。キャリア推定前はローカル光と信号光の偏差によって、ローカル光と信号光の位相差の状態が定まらないため、0度→90度→180度→270度→0度を周回するようにドーナツ状に信号は分散している。しかし、演算処理によって、ローカル光と信号光の偏差成分のみを抽出し、排除できるため、キャリア推定後は0度、90度、180度、270度のいずれかの状態に分けられる。

⑤最適化回路
最適化回路では、波長分散補償フィルタ、偏波モード分散補償フィルタが、最適な補償を行うために補償器の係数(増幅率、遅延量)を随時更新している。計算においては、代表的な係数更新アルゴリズムとして、RLS( Recursive Least Square:再帰最小2乗法 ) という、適応過程で必要となる逆行列の計算と、係数の計算を逐次的に行なう方法があり、収束条件に合致するまで計算し続け、最適解を導く。
この演算結果として、波長分散、偏波モード分散の変動に対して、適切な補償が可能となる。
図11では、最適化演算処理過程の信号識別状態を示す。0度、90度、180度、270度のいずれかの状態に明確に分かれる送信時の信号は、受信時には伝送阻害要因の影響やローカル光と信号光の偏差の影響を受けるため、0度→90度→180度→270度→0度を埋め尽くすように円状に満遍なく分散している。そして、受信時の信号状態からキャリア推定後の信号状態では、波長/偏波モード分散補償の係数を随時変動させて、その都度、キャリア推定と収束条件の合否判定を繰り返す過程を示している。この演算処理を繰返した結果として、キャリア推定後の信号状態にあるように、送信時と同等の0度または180度のいずれかに判別された信号が復調される。

技術動向
光技術を活用して低コストで拡張性ある光ネットワークを検討する団体であるOIF(Optical Internetworking Forum)において、1波長あたり100Gの伝送を実現するために、4値位相変調方式と光偏波多重方式を組み合わせたDP-QPSK(Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying)の標準化が進められている。この方式においてもデジタルコヒーレント技術は基盤技術として必要不可欠な存在であり、今回の原理の応用によって実現を目指している。
また、さらなる大容量光ネットワークを目指す波長多重伝送(WDM)では、光非線形効果といった光ファイバ通信特有の問題を解決していく必要があるが、これをデジタル演算処理により解決する研究が進められている。今後のデジタルコヒーレント技術と組み合わせた大容量伝送に関する研究開発の成果が期待される。

まとめ
これまで4週にわたり、高速伝送を支えるデジタルコヒーレント技術について紹介した。40G/100Gを実現するにあたり、阻害要因となる波長分散、偏波モード分散に対する補償を目的とした「デジタルコヒーレント技術」を機能ブロックごと(①光ハイブリット回路、②波長分散補償フィルタ、③偏波モード分散補償フィルタ、④キャリア推定、⑤最適化回路)にメカニズムを説明したが、今後はこの技術を基盤とした伝送方式・装置が世界的にも主流になると予想される。本誌が将来のシステム導入/運用に際して、一助となれば幸いである。

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