ISP(Internet Service Provider)

服部 武司
劾TT データ新世代情報サービス事業本部
ISP ビジネス統括部長

<お問い合わせ先>
ISP ビジネス統括部
企画担当
Tel 03- 5546- 8821

急拡大するインターネット需要 に向けたNTT データの取組み

NTT データ・新世代情報サービス 事業本部では、今後xSP (x Service Provider )ビジネスを積極的に推進 し、ネット事業を一段とドライブし て行く方針を打ち出した。従来から のISP 事業についても、NTT データ ならではの特長を活かしたサービス を展開していきたいと考えている。 図1 に示すように、日本における インターネットの普及は、ネット先 進国米国の3 〜4 年遅れで急速に拡 大しており、今後成長期に入ってい くことが期待されている。このよう に拡大を続ける、インターネット市 場の多様なユーザニ ーズに対応するISP サービスとして、新 世代情報サービス事 業本部では、モバイ ルに特色を持った 「DreamNet 」サービ スを展開している。

図1日米インターネット人口/普及率の推移

図1日米インターネット人口/普及率の推移


●「DreamNet 」

N T T データと NTT ドコモが共同 出資する子会社 DreamNet 株式会社 を通して提供される 端末型ダイヤルアッ プIP 接続サービス 「DreamNet 」は、「mopera 」をは じめ28 .8 kbps の「DoPa 」、32 kbps の「PIAFS ネット」など、モバイ ルアクセス環境の充実が大きな特長 だ。最近では、話題のi モードにも いち早く対応し、i モード用ホーム ページサービス「i-mode PLAZA 」 や、i モードメールへの転送サービ スなども提供されている。

気になる料金面でも、図2 に示す ように、月額480 円(3 時間まで、 超過7 円/分)、ホームページ4 M ま で無料で使えるM 3 プランをはじ め、幅広いプランを用意。初めて利 用する方から、利用時間を気にせず に本格的にインターネットを利用し たい方まで、多様な利用者層を想定 したコストパフォーマンスに優れた 料金体系になっている。

図2 「DreamNet」の料金


図2 「DreamNet」の料金


また、最近ではNTT ドコモの 「ブラウザボード」や「モバイルギ ア」といった携帯情報端末をバンド ルした料金プランも提供を開始。ど こでも、いつでもインターネットに アクセスするモバイル利用層の拡大 に向け、積極的に取り組んでいる。

一方、従来未開拓であった、ダイ ヤルアップ接続サービスの企業等で のビジネス利用についても、手軽に リモートアクセス環境を実現する 「DREAM RAS 」や、各種団体等の 大口一括加入、ビジネスアワーの料 金割引プラン等も提供。同社の専用 線IP 接続サービス「InterVia 」と あわせ、多様化するビジネスニーズ に応えている。特に、図3 に示す DREAM RAS サービスは、全国に 展開するDreamNet のアクセスポ イントを、自社イントラネットの一 部として利用できるもので、莫大な 設備投資を必要とせず、外出先から のモバイルイントラネットを実現で きるサービスとして注目されてい る。

さらに、海外からインターネット を手軽に利用できる「ワールドワイ ドローミングサービス」についても、 全世界をカバー、まさにワールドワ イドなモバイルインターネット環境 が提供されている。

図3 DREAM RASの仕組み


  図3 DREAM RASの仕組み



サービスの多様化が今後の鍵

前項で、新世代情報サービス事業 本部のISP 事業の現状を紹介した が、わが国のISP 業界は、コンテン ツ(情報提供)主体、インフラ(設 備提供主体)と、それぞれ特徴を持 つ数多くのISP 業者がひしめき、熾 烈な競争を展開している。このよう な競争環境下でさらに飛躍するため には、良質なインフラ提供(アクセ スライン)サービスだけでは限界で、 ユーザの利便性を向上するコンテン ツ、EC 等、「サービスの多様化」 が不可欠であると考えている。事実、 伸びているISP 事業者 は、

・パソコン、ブラウザ のバンドルによるユー ザウィンドウの確保
・キャラクター、コミュ ニティなど魅力あるコ ンテンツの提供、連携
・オンラインショッピ ング、決済代行等、 EC サービスの提供


といったように、IP アクセスサービスにとどまらない、 ユーザの利便性を向上する各種サー ビスの提供に力を入れたビジネス展 開を行っている。 新世代情報サービス事業本部で は、以下のように、業界の動向に対 応したビジネスモデルの拡大を図 り、本特集の「ECSP 」の稿でも述 べたように、「DreamNet 」を軸に、 EC サービス(場のビジネス)とISP サービスを統合した形でのインター ネット統合サービス「edream 」を 展開していこうと考えている。

@ユーザウィンドウの高速・常時接 続化、多様化
・接続ライン→高速、常時接続、固 定・移動
・PC 、PDA 、PDC 、情報家電


Aコンテンツビジネス確立、多様化
・生活関連/コンシューマ情報提供
・広告、物販メディアとして確立


Bビジネスモデルの複合化
・接続ビジネス+キャリアサービス ・ユーザウィンドウの取り込み (PC+ISP →FreePC 等) ・コンテンツとユーザウィンドウの 一体化

アクセスサービスから 統合インターネットサービスへ

このように、新世代情報サービス 事業本部におけるISP 事業は今後、 アクセスサービス「DreamNet 」か らインターネット統合サービス 「edream 」へのパラダイム・シフト を基本に展開していく方針だ。(図4 )

図4 インターネット統合サービス「edream」のイメージ


図4 インターネット統合サービス「edream」のイメージ


その背景には、以下に述べるよう な3 つの基本戦略がある。

@会員数の拡大
コンシューマビジネスを新世代情 報サービス事業本部のビジネスの主 体にしていくことが必要で、NTT データとしても、今後コンシューマ ビジネスに注力していかなければ大 きな飛躍は期待できない。その突破 口となるのが、新世代サービス事業 本部のISP およびECSP 事業である と捉えている。このコンシューマビ ジネスのベースとなる会員数の拡大 が最優先の目標である。

A収益構造の拡大
これまでのIP アクセスチャージ 中心のビジネスを、会員そのもの (顧客ベース)から収益を得る構造に 拡大する必要がある。エンドユーザ 課金に加えて、ECSP 、コンテンツプ ロバイダ等からも収益を確保する。

BNTT ドコモとの戦略的資本提携 の強みを活かす
DreamNet サービスを提供するに あたり、NTT データはパートナー として、NTT ドコモを選んだ。こ の戦略的連携により「モバイルに強 い」コアコンピタンスを確立 (DreamNet に会員、コンテンツが 集まってくる仕組みを確立)、会員 増→コンテンツ増→会員増のグッド サイクルを実現。

そのためには、

・会員に対して、あらゆるユーザウ ィンドウで自分の必要とする情報 を利用することができる、高度に パーソナライズ可能な環境を提供 する。つまり、携帯電話(i モー ド)、PDA 、情報家電、BS デジタ ル放 送等どんな端末からでも、 各端末に最適化された形で利用で きるよう「メディアポータル」へ の展開
・顧客データベース(個人情報、購 買履歴、パーソナライズ情 報他)、 課金・決済システム、コミ ュニケーションシステム、パ ーソナライズシステムをベー スにした顧客ベースシステム を確立して、ECSP 、コンテ ンツプロバイダに対しても、 DreamNet 会員へのサービス を提供できる環境を準備する


ことが必要であると考えてい る。

モバイルポータルから メディアポータルへ

新世代情報サービス事業本 部におけるISP ビジネスの基本 戦略の一つに、シームレスインター ネットサービスがある。これは、い つでも、どこでも、どんなアクセス 手段でも接続できる環境の提供だ。 アクセス端末、ネットワーク、ゲー トウェイに分散された各種変換・制 御機能を最適な形で協調制御し、不 安定な移動通信環境においても安定 したマルチメディア通信を実現する ような環境の提供が不可欠になる。

図5 にメディアポータル実現まで のロードマップを示す。

図5 メディアポータル実現のロードマップ


図5 メディアポータル実現のロードマップ
当面の目標 として、2001 年には「モバイルに 強い」ISP として、メディアとして 認知される100 万人を達成、さらに 2003 年にはメディアポータルとし てさらに大きく飛躍し、ISP トップ 3 の達成を目指している。

当面の目標である100 万の会員獲 得の具体的な戦略として、現在すで に提供しているものも含め、次のよ うなサービスを検討している。

@DreamNet のユーザに対して、i モ ード用にホームページを簡単に作 れるような仕組みや、通常のコン テンツをi モード端末から見るこ とができるようなゲートウェイに よる変換サービス、i モード端末 へのメール転送サービスの実施。 また、NTT ドコモのmopera との 相互乗り入れサービスの提供。
ADreamNet によるパケットメー ル、Web メールの提供、メー ル・フィルタリングサービスの実 施。
B新世代情報サービス事業本部の ECSP ユーザへのメールアドレス 提供。
Cホームページ作成を容易にするた めのJava ベースのツール、さら には素材集(画素)を提供。
Dメーラ、Web 、FTP の設定が一 挙にできる統合型サインアップ・ ツールの提供。


以上紹介したように、今後、有線 系、無線系、放送系への拡大、さら にコンテンツ強化のためにECSP 事 業との連携から一体化、各業界の有 力コンテンツ業者との連携を進め、 ISP ビジネス規模の拡大を図ってい きたいと考えている。


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