NSP(Network Service Provider)

浜崎 達彦
劾TT データ新世代情報サービス事業本部
ネットワークコンピューティング事業部長

<お問い合わせ先>
ネットワークコンピューティング事業部
企画担当
Tel 03- 5546- 8782

企業通信環境の変化と 通信業界の動向

今後の企業情報システムの方向性 として、インターネットを活用した 事業の拡大とコスト削減があげられ る。いかに迅速に新しいビジネスを 展開するか、お客様との密接なリレ ーションをいかに手短に作り上げる か、取引先チャネルの拡大をどのよ うに行うのか等々がきわめて重要に なってきている。このような状況に おいて、ネットワーク利用の形態は、 図1 に示すような推移を経るものと 思われる。


図1 企業におけるネットワーク利用の推移


図1 企業におけるネットワーク利用の推移

初期のインターネットの活用は、 ホームページで自社の会社案内・商 品案内、メールの利用にとどまって いた。しかし最近では、社内情報シ ステムとの連携によってインターネ ットをより使いやすくするために、 イントラネットという形で企業ネッ トワークと統合化する方向、さらに は関連企業を含めたエクストラネッ トの方向に進んでいる。この企業内 統合ネットワークは、基本的にイン ターネットと同じ構造のIP ネットワ ークへと進化するものと思われる。 2 〜3 年後には、米国の自動車部品 エクストラネット「ANX (Auto-motive Network eXchange )」の例 にみられるように、個別の自社グル ープ内ネットワークと統合されたコ ミュニティ(業界e ビジネスコミュニ ティ)への発展、さらに4 〜5 年後に はコミュニティ同士のネットワーク が相互に連携してサービスを提供す るe ビジネスコミュニティの形成へ と推移していくものと思われる。

一方、このような企業通信環境の 変化に対応して、通信業界も大きく 変化しようとしている。従来の伝統 的キャリアに加え海外キャリアも含 めた新規の通信事業者、IP 事業者 等が参入して、長距離、データ通信 に関しますます競争が激化すること が予想される。Last One Mile と称 されるアクセス系に関しても、同軸、 光ファイバ、無線、銅線と多種多様 化してきている。提供するサービス についても、インフラの提供にとど まらず、コンテンツの領域にまで進 出し始めており、そのための提携、 合従連衡が今後も繰り広げられるこ とになろう。

また、近い将来の通信インフラ環 境は、図2 のようにキャリアのIP ネ ットワークと、既存ネットワークサ ービスの両立になるものと思われる。

図2 通信インフラ環境の動向(2002年)


図2 通信インフラ環境の動向(2002年)


企業にとっては、ますます選択の 幅が広がるとともに、次世代ネット ワークの在り方をも見据えた対応が 必要になる。

なお、IP ネットワークは、

・さらなる「広帯域+低価格」通信 サービスを利用可能になる
・ネットワーク機器にかかるコスト 負担が少なくてすむ
・音声統合で、今までにないネット ワーク・テレフォニー型アプリケ ーションが実現可能
・プロトコルがTCP/IP に統合さ れ、管理・運用が簡易になると同 時に、トラブル時の解析もIP を 対象にするだけで良い


といったメリットがある反面、

・帯域保証の技術、機能が不十分
・音声統合には遅延対策が必要
・リスク回避に配慮したマイグレー ションが必要

といった不安もある。このため、音 声統合を含むIP ネットワークの設 計、構築、移行には、データ系と音 声系を融合したノウハウが必要で、 下記のようなネットワーク・インテ グレーションが可能な「N S P (Network Service Provider )」が最 適と言えよう。

@電話網とデータ網、TDM やPBX など、併存、一部移行、全面移行 について、ユーザの状況に合わせ たソリューションを実現。
A順次登場する新しいIP ネットワー クの技術、低価格なIP 通信サービ スをいち早く適切な形で取り入れ るための柔軟性、拡張性の確保。
B現行ネットワークと同レベルの信 頼性、セキュリティ、パフォーマ ンスをインプリメント。
C単なるデータ系インフラではな く、音声系の新たなアプリケーシ ョンを意識した、サービス提供型 のIP ネットワークとして構築。


ネットワークビジネスの 新たな展開

上述した企業通信環境の変化、通 信業界の動向を踏まえ、NTT デー タ・新世代情報サービス事業本部で は、図3 に示すようなネットワーク 関連ビジネスの展開を考えている。

図3 NTTデータのネットワーク関連ビジネスの今後の展開シナリオ


  図3 NTTデータのネットワーク関連ビジネスの今後の展開シナリオ

今までは、「NS (ネットワーク・ サービス)」と「NI (ネットワー ク・インテグレーション)」という 2 つのセグメントに分け、さらにそ れを回線リセール、キャリアサービ ス、セキュリティ、企業内ネットワ ーク構築といった分野に細分化して ビジネスを展開していた。

しかし今後は、「NSP (Network Service Provider )」としてのNTT データの強みを、お客様に対して今 まで以上に訴求しやすくすると同時 に、ますます重要となるセキュリテ ィ対策、サーバホスティング、サー バのアウトソーシングといったニー ズに対応するためにその部分を切り 出して、本特集の別稿で紹介する 「CSP (Computer Service Provi-der )」、「SSP (Security Service Provider )」といった形で、新たな ビジネス戦略を策定し、積極的な展 開を図っていく方針だ。

NTT データのNSP ビジネス戦略

●NTT データのNSP ビジネスの 特長

NTT データ・新世代情報サービス 事業本部のNSP ビジネスの展開は、

・DaTa-NET と回線総合代理店サ ービス(リセール)の相乗効果で お客様に最適なネットワーク・サ ービスを提供
・DaTa-NET は、キャリアではや り切れないような多種多様なシス テムニーズに最適なソリューショ ンを一つのネットワーク上で展開
・DaTa-NET で培われた技術ノウ ハウを活用し、お客様毎に最適な プライベートネットワークのソリ ューションをDaTa-NET とリセ ールの組み合わせで提供


することを基本方針に、ネットワー ク回線の提供から、ネ ットワーク環境構築に 向けたコンサルティン グ、設計・運用まで、 豊富な構築・運用実績 を活かし、多様なニー ズに対応するソリュー ションを提供する。

NTT データのNSP ビジネスの最大の特 徴は

@キャリアサービス、 ネットワークイン フラ提供といった 基本サービスから、 新世代事業本部の ECSP 、CSP 、SSP 、ASP サービ スと連携した付加サービス、およ び業務アプリケーションまで、ネ ットワークインテグレーションサ ービスも含めトータルなソリュー ションを提供できる
A特定のキャリアやハードウェア、 ソフトウェアベンダにとらわれ ず、マルチキャリア、マルチベン ダにより、真にお客様の立場から 効率的で使いやすいネットワーク サービスを提供する
B新しい技術動向、お客様のビジネ ス動向を常に意識しながら、 WAN/LAN を含めネットワークイ ンフラとしての最適な機能を提供 する

ことにある。図4 にサービスのイメ ージを示した。

図4  NTTデータのNSPサービスのイメージ


図4  NTTデータのNSPサービスのイメージ


●NSP ビジネスの3 本柱

実際のNSP ビジネスは、図5 に 示すように、

@回線総合代理店ビジネス (Switch-less Re-Sale )
AD −NET (Switched Re-Sale )
Bネットワークインテグレーション サービス(NI+)

の3 つの柱からなっている。@、A は、

・マルチキャリアネットワークサー ビス(MCS )
・共用ネットワークサービス (DNS )
・付加価値ネットワークサービス (ENS )


をベースにしたネットワーク提供 サービスであり、総称してDBN (NTT DATA Multi Business Network )と呼んでいる。

図5  NSPビジネスの3本柱


図5 NSPビジネスの3本柱

●回線総合代理店ビジネス (Switch- less Re- Sale )

本サービス(図6参照)は、お客様(約900 社の 実績)のエージェントとして、 NTT 以外のNCC 、地域系NCC を 含めたキャリアが提供する多数の回 線サービスの中から、料金施策まで も考慮に入れ、もっとも適したサー ビスを選択し、経済的に提供するサ ービスだ。NTT データならではの 特長として以下のような点があげら れる。

・ワンストップショッピングサービ スの提供(回線のベストチョイス、 申請〜請求までの手続きを一括し て代行)
・情報システムニーズにマッチした ネットワーク インフラの提 供
・特定のベンダ にとらわれる ことなく、回 線に適した通 信機器の販売 やレンタル、 データセンタ におけるハウジング、お客様ネッ トワークの評価・分析、コンサル ティングサービスも提供


図6  回線統合代理店ビジネス(Switch-less Re-Sale)


図6 回線統合代理店ビジネス(Switch-less Re-Sale)


●D −NET サービス (Switched Re- Sale )

D-NET(図7参照) は、全国をカバーする24 時間フルサポートの、完全二重化さ れた高信頼/広帯域のATM バック ボーンネットワーク・インフラで、 新世代情報サービス事業本部のISP ビジネスのインフラとしても利用さ れている。このバックボーンネット ワークをベースにした共同利用型サ ービスがSwitched Re-Sale サービ スだ。複数の回線やチャネルを束ね るバルク効果と、新しい技術の導入 によってコストヘッジをしながら、 個別のシステムニーズにマッチング させていくことが最大の特長であ る。キャリアのサービスは、特化し たニーズにはなかなか対応し難いと いった面があるが、そこをもう一歩 踏み込んで、特化した機能をネット ワークの中に埋め込んでサービスを 提供している。DaTa-NET の主な 特長を以下に示す。

@電話からインターネットまで、多 彩なインタフェースを用意
全国90 のアクセスポイントには、 電話、X.25 パケット、フレームリ レー、アナログ専用線(V.24 )、高 速デジタル専用線、ATM 、TCP/IP 、 インターネット接続のためのインタ フェースが用意されている。このよ うに一つのノードの中に、あらゆる インタフェースを集約してオペレー ションしている。

Aレガシープロトコルの吸収
多くの企業の情報システムは、メ ーンフレームとクライアント/サー バ・システムが混在しており、 BSC といった古い手順によるレガ シーシステムと、インターネットを 使いたいといったニーズにも対応し ている。

Bシステムに応じた高信頼性機能の 提供
回線バックアップ機能、二重化/ 迂回機能、負荷分散によるロードシ ェア機能など、システムに応じた高 信頼性機能の提供。

CVPN (Virtual Private Network ) 機能の提供。

D課金機能の提供。


図7高速・広帯域バックボーンネットワーク D-NET

図7高速・広帯域バックボーンネットワーク D-NET

●ネットワークインテグレーシ ョンサービス(NI +)

NI+(Network Integration Plus ) (図8参照)は、NTT データがこれまで手がけ てきた数多くの実績と豊富な技術・ ノウハウを結集し、お客様個々の課 題解決に向けてトータルなソリュー ションを提供するネットワークイン テグレーションサービスだ。図8 に 示すように、イントラネット、エク ストラネット、さらには統合ネット ワークまで、企業内ネットワークの コンサルティング、設計・構築、ア ウトソーシングをトータルソリュー ションとして提供する。

常にユーザ個々の現状での情報化 ニーズはもちろん、次期ネットワー クビジョンの策定も視野に入れたコ ンサルティングサービスから、さま ざまなニーズに対応し、将来のビジ ネス環境や事業の変化にも迅速に対 応できるような柔軟なネットワーク の設計・構築、さらには365 日、24 時間サポートする維持管理サービス まで、トータルソリューションを提 供する。

以上、NSP ビジネスへの取組み について概要を紹介した。今後とも キャリアの動向、ベンダのロードマ ップを常に把握しながら、お客様の ニーズにフレキシブルに対応でき、 しかもリーズナブルなコストに抑え た最適なソリューションを提供すべ く努力していきたいと考えている

図8 ネットワークインテグレーションサービス(NI+)

図8 ネットワークインテグレーションサービス(NI+)



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