Succession Network

●通信事業者の抱える問題点

今日の各通信事業者が保有してい る通信ネットワークの8 割は音声主 体である。しかし、そこを通る通信 トラフィックに目を向けると、8 割 はデータのトラフィックであり、残 りの2 割のトラフィックが音声であ る(図1 )。また、今日の通信ネット ワークは音声に最適化されている か、データに最適化されているか、 の2 タイプであり、音声とデータが 混合したものを扱うようには設計さ れていない。つまり、このような通 信ネットワークで音声とデータの双 方を扱う場合、インフラにかかるコ ストも増大してしまうのである。各 通信事業者やISP は既に次世代のネ ットワークを見つめているはずであ る。それは、上記のように矛盾が生 じるネットワークではなく、パフォ ーマンスもコストも効率がよい、音 声とデータが統合して扱えるネット ワークである。

しかし、実際の利益を見ると、そ の大部分は音声ネットワークから得 ているのが実状であろう。現在、急 速に伸びつつあるデータトラフィッ クは、利益と言う点では非常に小さ いものである。

音声とデータの融合した新しいネ ットワークを構築することは必要不 可欠なことだが、それに併せて収益 も上げていかなければならない。今 日の各通信事業者はこの2 つの矛盾 点に直面しているのである。

●Succession's Unified Service Architecture

―低コストで、様々なサービスが提 供でき、データネットワークを音声 と同じ収益まで引き上げる。

これは、通信事業者の次世代ネット ワークに求める理想像である。そこで、 ノーテルネットワークスは次世代に 向けて各通信事業者の抱える矛盾を 解決し、その高収益を実現すすべく、 「Succession's Unified Service Architecture 」(図2 )を発表したので ある。

このアーキテクチャは、音声とデー タが統合したネットワークを提供す るものであり、よって同社の競合他社 が提唱している、オーバーレイのよう な、つまり、既存の回線にデータか音 声を被せるような方法ではない。あく までも、「統合」したネットワークを 目指したものである。

これまで通りの、各通信事業者の重 要な収益源である音声通信に加えて、 急増するエンド・ツー・エンドのIP 通信サービスも提供できるのである。 また、電話網上にデータ通信網を平 行して構築できるため、新規に発生す るコストもない。ネットワークの年間 運用コストは最大約45 %、資本コス トは最大約50 %の削減を達成するも のである。

●Succession's Unified Service Architecture の選択

図2 に示すとおり、Succession N e t w o r k 内では、I P 、ATM 、 SONET/SDH およびWDM ネットワ ークコンポーネントで構築された高 性能なパケット・バックボーン・ネ ットワークによる広帯域アーキテク チャを提供している。この広帯域ア ーキテクチャは標準に基づいた ATM ネットワークによる信号処理 機能を実現する。

同社がATM をSuccession Network に採用する理由を以下に述べる。

・現時点では、ATM こそが要求さ れたサービス品質を提供できる唯 一の実績あるパケット・テクノロ ジーである。
・コネクション重視のネットワーク である点も見逃せない。
・世界の大手通信事業者達は既に ATM により、様々サービスを展開 している。少なくとも、その品質 は保証しなくてはならない。


しかし、通信事業者やISP の中に は、IP への需要も必然的に存在する はずである。そこで、ATM だけでな くIP のパケット・バックボーン・ネ ットワークもサポートしている。将 来、IP ネットワークが、音声とデー タ共に、顧客が十分満足するサービ スと品質を提供できるレベルに到達 した場合には、バックボーンをATM からIP 移行することも可能である。 また、あまり厳しい品質を問わない 場合は、最初からIP のバックボーン を提供することもできる。

ATM かIP かは、通信事業者、ISP の ケース・バイ・ケースの選択になる。

●Succession Network の構成

Succession Network は、高性能 で信頼性の高い

・Succession Call Server
・Succession Network Manager
・Succession Multi- Service Gateway
・Passport ATM 15000


という4 つのエレメントでネット ワークを構成する。以下から、各エレ メントを具体的に紹介していきたい。


<Succession Call Server >
キャリアグレードの呼処理コンポ ーネントである。中継とルーティン グ処理を担当し、最先端のテレフォ ニーサービスを提供するのに不可欠 なものである。このSuccession Call Server はATM ドメインと TDM ドメインの橋渡しをするもの で、Succession Multi-Service Gateway (後述)と連動してネット ワークのコアATM 部分のシステム 及び接続のコントロールを図る。ま た、キャッチホンや転送、電話会議 といった音声のあらゆるサービスを 保持しておくことも可能である。そ の処理性能は最繁時で200 万BHCA までの呼を処理することができ、将 来的には、400 万BHCA の呼処理を 実現する予定である。呼処理能力と 信頼性が非常に高い製品である。 一方、IP サーバは高度な呼配列オ プション機能等の組み合わせによ り、パーソナルエージェントや統合 メッセージ処理などのアプリケーシ ョンサービスの提供を可能にする。

<Succession Network Manager >

Succession Network Manager は ユニファイド・ネットワークのため の、OAM&P インタフェース機能 を提供するものである。このプラッ トフォームには、S u c c e s s i o n Network Manager 及びATM Network Manager からの情報を統 合するIntegrated Network Manager (INM )レイヤが含まれ る。これによって、OAM&P は完 全に統合され、音声通信とデータ通 信を標準準拠のサポートシステムか ら管理することが可能となる。以下 に、その代表的な機能を示す。

・Telecommunication Management Network (TMN )およびQ3 、Simple Network Management Protocol (SNMP )インタフェース機能
・既存のネットワークとの互換性を 保証
・ネットワークエレメント管理機能
・装置およびサービスの登録機能
・高信頼性、大容量の課金情報ネッ トワークシステム
・既存のインタフェースの継続利 用、セキュリティ機能
・音声・データ通信に対する統合化 された障害管理機能。高速および、 リアルタイムの監視信号の補足、 格納、出力機能を提供
・GUI とWeb ベースのクライアン トインタフェースを提供


これらの機能により、通信事業者 が基幹ネットワークに関する詳細な 画面を見ることなく、サービスを効 率よく管理できるようになっている。

<Succession Multi- Service Gateway >
各通信事業者は今まで既存ネット ネットワークに莫大な投資を行って きた。Succession Network を利用 するにあたって、キャリアがその既 存のネットワークを一夜にして捨て 去ることはまず、不可能である。つ まり、Succession Network と既存 のネットワークは共に有効利用をし ていく必要がある。そこで、両者を 結びつけるのにゲートウェイは必要 不可欠なのである。このゲートウェ イによってIP 、TDM 、ATM インタ フェースに、データアクセス、IP と 音声の統合、ネットワークレベルで の狭帯域と広帯域の相互運用機能を 低コストで提供する。また、専用線 のトラフィックをATM バックボー ンに直接接続することで、クロスコ ネクト装置やチャネルバンク装置を 設置する必要がなくなる。あらゆる、 ATM ネットワークインタフェース をサポートし、非交換型の特別サー ビス展開を可能にして、専用線サー ビスの運用効率を向上させる。

Succession Network ではMulti-Service Gateway としてMG 4000 とMG 5000 という2 製品を提供し ている。これらはあらゆる既存ネッ トワークからのトラフィックを ATM コアスイッチであるPassport 15000 へ伝送する。

<Passport 15000 ATM コアスイッ チ>
Passport 15000 ATM コアスイッ チはSuccession Multi-Service Gateway からのトラフィックを広 帯域コアネットワーク上にルーティ ングするものである。Succession Network は標準に基づいたATM プ ロトコルを採用しているので、マル チベンダ環境も実現している。ただ し、他社製品を使用する場合、1 秒 間に100 SVC を実現できるパフォー マンスを備えている必要がある。そ のパフォーマンスさえクリアしてい れば、製品は問わない。

Passport 15000 ATM コアスイッ チは10 Gbps から160 Gbps 以上まで の速度に対応し、高レベルの信頼性 (99 .999 %)、冗長性を保つように設 計されている。

●世界の大手キャリアが選択

【AT&T 】
AT&T は企業、政府官庁、一般消 費者など8000 万以上の顧客を擁す る世界最大の音声およびデータ通信 のプロバイダである。このAT&T が 高度音声スイッチング・システムの サプライヤ候補としてノーテルネッ トワークスを選んだ。

ノーテルネットワークス社の局用 電話交換機であるDMS-250 を中心 としたシステムが、今後、 Succession Network へと進化して いく予定であり、今回の契約により 将来、パケットベースのプラットフ ォームが提供されることになる (DMS-250 がAT&T 回線網への使用 認定に合格することが条件)。

A T &T 副社長であるD a n Sheinbein 氏は「ネットワークのマ ルチベンダー化を推進するために続 けている作業の一環として、ノーテ ルネットワークスのDMS-250 を使っ て長距離回線網をサーキットベース からパケットベースのスイッチング 方式に進化させることが可能かどう かの評価を行っている」と語った。


【フランステレコム】
フランステレコムのCNET 研究 開発センタが同社のSuccession Network のテストを開始している。 フランステレコムのある重役は「当 社は世界でも最大規模の通信事業者 であります。次世代ネットワークは 通信事業者としての当社が、音声・ 映像・データを統合する将来のマル チメディア・サービスを管理できる ようにするための戦略的な分野と捉 えています。だから こそ、フランステレ コムの研究開発セン タであるCNET が現 在市場に投入されて いる最も高度な次世 代ネットワーク・ソ リューションの分析 を行うことにしまし た。CNET では1999 年頭以来、その研究 所においてノーテル ネットワークスの Succession Network のテストを続けてい ます」と語っている。

このSuccession Network の強味 は、上記のように世界の大手キャリ アから絶大なる支持を集めている点 である。これは、音声とデータを伝 送可能なパケットベースのネットワ ークという点に多くのキャリアが注 目していることを表している(図 3 )。

また、ノーテルネットワークスは 長い歴史の中で、数々のキャリアに 多くの製品を提供し続けてきた。そ の、実績と信頼性は他社の追随を許 さないものであり、これが、世界の 大手キャリアが同社を選択する理由 なのである。