読者からの質問

質問(1 )音声とデータの融合が話題になっていますが、何が便利になるのでしょ うか?我が家ではISDN 回線で、電話もインターネット接続も同時にで きていますが、さらに何が変わるのでしょうか?

電話は、主に音声による通信を行うもの であり、電話端末同士の接続が主体となる リアルタイム通信です。データ通信は主に コンピュータ間での通信を行うものであり、 いくらかの遅延が伴うリアルタイム通信です。ISDN は アナログ信号でなくデジタル信号を利用することによ り、アナログ信号の電話回線の2 本分を1 本分の回線で 利用できます。この2 本分を別々の用途に分けて使うこ とができます。電話を使いながらインターネット接続も 同時に行うことができます。

インターネットは文字情報だけでなく、動画像、音声 等も含む情報のやり取りが可能なネットワークであるこ とからその利便性が広く認められています。特に距離に 関係なくローコストであることから通信コストを削減す る手段の一つとしてインターネットを利用する動きも活 発化してきています。インターネットはローコストで利 便性の高いネットワークですが、ネットワーク自体はリ アルタイム、大容量、高品質、高セキュリティなどには 強いとは必ずしもいえないネットワークです。これらの 技術の進歩によりデータ通信が主だったネットワークサ ービス上に音声データもやり取りできるようになり、コ ンピュータを利用しながら同一のネットワーク上で音声 なども同時に利用することもできるようになりました。

質問(2 )ケーブルテレビ(CATV )でインターネットができるそうですが、使 い物になるのでしょうか?

CATV でインターネットを常時接続して 使えるネットワーク環境として注目を集め ています。インターネットは従来電話回線 を利用していましたが、料金面から常時接 続して利用するには非常に困難でした。CATV (有線テ レビジョン放送)は元来通信と言う位置付けではありま せんが、同軸ケーブルをCATV センタから家庭に敷設 します。特にCATV センタから利用者への一方向の情 報転送をリアルタイムに行いその情報量は動画像ですの で、電話網よりも大容量であると言う特徴があります。

ただし、課題があります。CATV センタから接続するイ ンターネット回線の接続費用は非常に高額となりますの で、この部分でどれだけ広帯域な回線を用意しているか により使えるCATV かどうかが決まることになります。

ただ、インターネットでのコンテンツはアクセス系が高 速広帯域に移行してきていることを背景に音声や動画な どのストリーム系を中心としたリッチコンテンツにシフ トしてきています。このようなコンテンツでは常時広帯 域な回線を必要としますので、従来のようなネットワー ク設計では対応しきれなくなることは明白です。今後は リッチコンテンツについてはCATV センタにコンテン ツサーバを設置することによりインターネット接続に必 要となる帯域を少なくするような工夫が必要となりま す。

このような対応をされているCATV であれば問題 ないといえます。

質問(3 )ERP 、CRM 、SFA は説明を聞くとみんな同じように思えます。それ ぞれの違いを教えてください。

ここ5 〜10 年にわたり、企業は社内の業 務効率化のためにビジネス・プロセス・リ エンジアリング(BPR )を実施し、エンタ ープライズ・リソース・プランニング (ERP )と呼ばれるソフトウェアを導入し、業務効率化 に大きく貢献してきています。

ERP は会計管理、生産 管理、人事管理、販売管理など社内処理に関するバック オフィスを中心としたアプリケーションが中心でした。 その次のステップとしてフロントオフィスつまり顧客と の関連についてのアプリケーションに注目が移ってきま した。これが顧客との関係をうまく管理するためのもの がCRM (カスタマー・リレーションシップ・マネジメ ント)です。これはヘルプデスクソフトウェアといわれ ているものであり、顧客からの製品や技術的なことに関 する質問に効率よく対応するための機能が含まれていま す。

これとは別に、セールスのフェーズにおいてセール スマンの活動を色々な面で支援するためのアプリケーシ ョンがセールス・フォース・オートメーション(SFA ) です。ただ、SFA は効果が今ひとつ明確でなかったこ とも背景にありますが、もともとヘルプデスクもSFA も同じ顧客に対する活動を支援するものであることか ら、これらを統合する流れがここ数年でおこり、CRM に統合されてきています。

端的に言えば、CRM はERP からの拡張で、ヘルプデスクソフトウェアやSFA の融 合と言うことになります。企業活動の中心として顧客を 中心として考えていることが特徴です。

今後、バックオ フィス系はERP 、フロントオフィス系はCRM と言うこ とになり、これらは統合されていく方向性にあるといえ ます。

質問(4 )ASP が話題になっていますが、今までの情報システムと何が違うので しょうか?

従来の情報システムは企業内の情報シス テム部門が企業の業務に合致するシステム を独自に構築し提供してきました。当然、 構築に当たり、業務パッケージを導入した り、従来システムの拡充や改造、さらには新規開発した りする場合があります。

最近、企業は大規模なERP を 導入することにより企業資源の統一的管理と効率的利用 を目指すようになってきました。しかしながら、業務に あわせてパッケージのカスタマイズが必要となりそれな りの期間および費用がかかるようになってしまいます。

ASP (アプリケーション・サービス・プロバイダ)とは、 企業にオンラインで業務アプリケーションの機能を提供 するものであり、企業は端末とWeb ブラウザさえあれ ば、即座にERP システムの機能を利用することができ ます。

企業はそれぞれの業種、業態および業務上の必要 に合ったシステムのアウトソーシングサービスとして利 用することが可能となってきました。このため、企業資 源の効率的活用と業務への集中化が実現されるようにな ってきています。

(回答 NTT アドバンステクノロジ潟<Lキズ・ビジネス編集局)