大容量コンテンツ流通プラットフォーム
~GTRAX(ジートラックス)~


コンテンツ交易市場による新たな コンテンツ流通モデルの開拓

現在、様々な分野において、ネッ トワークを活用したコンテンツ交易 のニーズが高まってきている。

アナログメディア代表格である書 籍出版・流通の分野にも大きな構造 変革が生まれつつある。大手書籍販 売会社では書店での店頭販売に加え、 書籍検索機能の充実した電子商店 (WWW サイト)によるネットワーク 販売高を急激に伸ばしている。コン ビニエンスストアの発達した国内で は、ネットで注文した書籍をコンビ ニで受け取る日本型の流通も始まっ ている。出版物の制作プロセスでも、 デジタルネットワークによるコラボ レーション環境が整備されつつある が、書籍がテキストや静止画などデ ジタルメディアに極めて親和性の高 いオブジェクトから構成されている 事を考えると、今後は書籍コンテン ツの一部をデジタルネットワーク上 で流通させ、さらに映像・サウンド などを含めた新しいスタイルのネッ トワーク出版の可能性も見えてくる。

製造業においては、3 次元CAD ファイルなどの大容量ファイルをネ ットワーク上で共有し、遠隔地の工 場と設計事務所などでコラボレーシ ョンしたいというニーズがある。現 在では、イントラネットの整備によ って、オフィス間をネットワークで 結ぶ企業は当たり前になってきてい るが、大容量の3 次元CAD ファイ ルなどは、宅配便等で「記録媒体の 運送」という手段を使って流通され る場合がある。

NTT コミュニケーションズソリ ューション事業部では、このような コンテンツ流通のニーズや様々な可 能性を踏まえ、ネットワーク上での

良質なコンテンツ 流通を促進する ために、バーチャルな環境としてデ ジタルコンテンツの商取引(交易) の場を開設することとした。ソリュ ーション事業部では、これらのコン テンツが流通する市場を「コンテン ツ交易市場」と称し、コンテンツを 所有する人、創造する人たち、これ らを利用する人たち、その仲立ちを する人たちの参加を積極的に支援し、 コンテンツ流通ビジネスを成立させ ることを目指している(図1 )。

共通プラットフォーム上での ソリューションビジネス

ソリューション事業部第三営業 部では製造業のお客様向けシステム インティグレーションを提供してい るが、個々のお客様のニーズを掘り 下げ、共通ニーズを汲み取ることに より、ユーザにとって効率的で経済 的な機能を共通コンポーネント化 し、業界業種の枠を超え提供してい る。付加価値のあるアプリケーショ ンを共通プラットフォーム化とし て、業界内、業界横断的に提供する 事により、個社毎にシステムインテ ィグレートするよりも、選択肢の広 いソリューション提供と、お客様の 求めるプライスへ近づけることが可 能となる。お客様の中には、シビア なリアルタイム性や双方向性は必要 なくとも安全確実に送信できるサー ビス、転送するコンテンツの容量に は依存しないサービス料金などが求 められている(図2 )。

「GTRAX 」とは

デジタルコンテンツの流通の代表 的な例として印刷出版物が上げられ る。

コンテンツビジネスの第一弾とし て印刷・出版・広告業界を中心とし たデジタル・コンテンツ業界に対し てNTT コミュニケーションズでは、 製版・印刷用感光材料を中心とした 印刷機材のトップメーカである富士 写真フイルム梶Aプリプレスから刷 版までの印刷機器の国内トップメー カである大日本スクリーン製造鰍ニ 提携しネットワークソリューション のトライアル提供を開始した。

この提携により、これまで両社が 印刷製版・広告・出版業界向け商品 の開発・製造・販売で蓄積した技 術・ノウハウを生かして業界に対し て最適なシステムが広く提供可能と なった。

印刷出版物の流通にあたっては発 注から納品までの印刷物制作工程で はDTP で制作されたデジタルファ イルをいかに安全に、経済的に、あ るいはタイムリーに相手に届けるか がポイントとなる。現状では、この クライアント・広告代理店、印刷会 社の企画部門、デザイン部門、製版 部門、印刷部門および加工部門とい うワークフローでは人手を介した確 認や宅配便・バイク便を使用した電 子媒体の輸送という形態をとってい る。その結果として印刷出版物のコ スト高、工場における生産能力低下、 納品リードタイム短縮の限界といっ た課題がある(図3 )。

「GTRAX 」は、これらの印刷・ 出版・広告業界が抱える課題を解決 すべく、発注者(クライアント)か ら印刷・出版会社までコンテンツが 流通し、取引できるコミュニティを 形成することを目的としてスタート した(図4 )。

NTT コミュニケーションズでは、 GTRAX 用にリソース予約機能を中 心とした新機能を盛り込んだ通信ア プリケーションを開発した。コンテ ンツの発信者は宛先を指定しコンテ ンツを送信し、受信者は自分宛に届 いたデジタルコンテンツをGTRAX サーバからダウンロードすることに より、画像、文字データ等の様々な 素材を「安全に」、「確実に」、「効率 よく」送受信することを可能とした。 また、スムーズにアクセスするため に全国110 ヶ所以上のアクセスポイ ントを用意している。

「GTRAX 」を活用することで企 業、地域格差の壁を越えて、互いが 保有するデジタル機器をシームレス に統合することで、より柔軟なデー タの送受信が行えるようになる。そ の結果、
●プリント・オンデマンドによる納 期短縮
●電子入稿、ネットワークを利用し たオンライン校正によるトータル コスト削減
●One To One Printing によるお客 様別要求への回答(中間工程の中 抜き)
●コンカレントパブリッシングによ るコラボレーション

という効果を得ることができる。

サービスメニュー

「GTRAX 」で提供するサービス メニュー(図5 )のうちの4 つの基 本サービスについて以下に示す。

@GTRAX コンテンツ配送サービス

「GTRAX 」ではコンテンツサー バを経由して大容量のデジタル・デ ータをコンテナとして安全・確実に 送受信することが可能となる。

クライアントから印刷会社の企画 部門への印刷用画像の電子入稿/オ ンライン校正においては「安全性」 「確実性」が重要課題となり、個人 レベルでの機密保持の仕組みが求め られる。

「GTRAX 」は、ネットワーク自体 がCUG (クローズド・ユーザ・グ ループ)を使用した閉域性に加えて 暗号化によるセキュリティをサポ ー トしている。「GTRAX 」自体がCA (認証局)となり鍵管理を行い、個 人レベルのセキュリティ管理をす る。PDF ファイルと連携させた「電 子署名機能」をサポートする予定。

さらに、「GTRAX 」の代表的な機能 としてお客様事業所に設置したプリ ンタに対して最終印刷物に近い画像 が出力できるリモートプリント機能 をサポートしている。このリモート プリント機能により発注者であるお 客様と印刷会社(主に営業マン)との 間での人手を介した色校正データの やりとりが不要となり、「スニーカー ネット」からの真のデジタルコミュ ニケーションへの進化が生まれる。

一方、既存のISDN 等のダイアル アップを利用してモバイル環境から でも手軽に二次元CAD データや粗 画像データ等の企業の生産活動に必 要なコンテンツデータを送受信でき る(図6 、表1 )。

AGTRAX イントラネット/エキス トラネットサービス

「GTRAX 」では企業内および企 業間の各種の情報共有を促進するた めにセキュアなIP-VPN 環境を用意 している。「GTRAX 」に参加した お客様はGTRAX ネットワークを利 用して、同一のCUG (クローズ ド・ユーザ・グループ)内でIP リ ーチャブルな環境でのイントラ/エ キストラを構築できる。

また、「GTRAX 」では大容量サ イズのデータを随時送受信するユー ザへの適用を考え、お客様事業所内 に設置できるホームサーバを用意し ている。ホームサーバを利用するこ とにより、お客様が自社のWWW サーバ等を利用して商品情報、納期 情報等のビジネスに直結する情報を 外部に対して公開することも可能と なる。結果として「GTRAX 」内の 各発注者とのオンラインで商品注文 が可能となり、より多くのビジネス チャンスを獲得することに大きく貢 献できる(図7 )。

BGTRAX コラボレーションサービス

発注者、編集プロダクション、印 刷会社、広告代理店等が印刷出版物 を作成するにあたり、ネットワーク を利用してデータベースを中心とし て製作物の進捗管理を実施しながら、 コンカレントにレイアウト変更等の デザイン作業をすることができる。 「GTRAX 」ではジョブチケット の発行機能を装備しており、印刷出 版物のワークフローについてコンカ レントな進捗管理が可能となる。 また、コンテンツサーバ上で素材 データベースを共有可能とするアー カイブ環境を提供することにより、 印刷出版物作成にあたりコンカレン トエンジニアリングの環境を提供で きる(図8 )。

CGTRAX インターネット接続サー ビス
インターネットの急速な普及によ り、印刷会社が出版会社とホームペ ージ上で新しい出版物を提供した り、編集プロダクション、個人デザ イナーからの電子入稿、校正データ 送受信等の業務形態が数多く見うけ られる。 一方では海外取引先からの出版物 の受発注にもインターネットは利用 されている。「GTRAX 」では、こ れらの不特定多数のインターネッ ト・ユーザとのコンテンツ情報流通 を実現する。

導入効果

「GTRAX 」により全国をカバー する一大コミュニティが形成され る。これにより印刷物の発注にあた り「時間」と「距離」という課題が ネットワークを利用することで取り 除かれる。

一方、印刷会社は各社のコミュニ ケーションのボーダレス化が進めら れ、各工程がガラス張りになり真の オープンな競争が始まる。

この効果により超短納期での印刷 物制作が可能であり、印刷会社の営 業員が人手を介して確認していた色 校正等の工程がデジタル・ネットワ ーク化され印刷物そのもののコスト 削減にもつながる。広告用出版物の 例で考えるとCTP (Computer To Plate/Print )を活用している印刷 会社にお客様が「GTRAX 」を使用 して注文をすると、校正出力料金と 運送会社の返送料金が不要となり、 従来と比較して30 %近い費用削減 効果が期待できる。

さらに『GTRAX 』上のネットワ ークデータベースの活用により、企 画から製版・出版・印刷までの全工 程を通じて同時並行による効率的な 製作物進行が可能になる。印刷物の 進捗状況を各工程の作業者が把握す ることによりさらなる納期短縮・省 コストに貢献すると確信している。

これからの展開


「GTRAX 」は印刷・出版・広告業 界に適したアプリケーションとコミ ュニティを提供するだけではなく、 デジタル・コンテンツの流通を支え るマーケットサイトを提供する。

お客様に合わせた個別アプリケー ションが使用できるようにプラグイ ン機能を準備しており、自由にカス タマイズすることや他のマーケット サイトとのリンケージをたやすくサ ポートしている。

各業界のコンテンツクリエーター 達にとって新しい価値を表現・発表 できるとともに、マーケットサイト への参加(出店)をしやすくするこ とにより、コンテンツを扱う業界全 体の発展を得ることができる。 「GTRAX 」はあらゆるお客様にと って新たな「仲間」や「仕事」との 出会いの場ともなる。


<お問い合わせ先>
NTT コミュニケーションズ株式会社
ソリューション事業部
電話:03- 3500- 9540 (代表)
E- Mail :gtrax@ss.bch.ntt.co.jp