NTTインフラネットのITソリューション

NTT アウトソーシング事業を支える BPR システム群の導入

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NTT インフラネット株式会社
技術開発部システム開発担当
Tel 03- 5645- 1031
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基盤設備業務に関わる主要課題と BPR による課題解決

NTT インフラネットは、平成11 年1 月25 日に発足、同年4 月に営 業開始した。会社設立に当たっては、 業務の大幅なリエンジニアリングが 大前提であった。具体的には、約 550 名相当の通信土木業務関連稼働 の削減を図った上での新会社発足が 前提であり、これを実現するために、 新会社設立の約1 年前に「基盤設備 業務事業化プロジェクトチーム」を 発足させ、業務のBPR も含め、リ エンジニアリングシステムの開発・ 導入を推進した。1 年という短期間 にも関わらず、13 業務のBPR と関 連システム群の導入により、基盤設 備業務の大幅なリエンジニアリング を実現し、NTT インフラネットは 発足した。

●基盤設備業務BPR のポイント

前述の課題を達成するためには、 NTT 、新会社双方で以下の着眼点 に基づいたBPR の実現が不可欠で あった。

NTT におけるBPR の着眼点は

・最少の人員で設備運営のPDCA (Plan /Do /Check /Action ) を廻せる仕組みづくり
・QCDMS (Quality /Cost / Delivery /Morals /Safety )の適 正な評価と実践の仕組みづくり
・ルールの明確化、責任の明確化、 規制緩和の実施等


であり、一方新会社におけるBPR の着眼点は

・新会社の間接稼動の激減化
・設備運営の最大限の効率化とイン キュベート化を図った最大限の業 容拡大
・お客様に対する迅速かつビジネス ベース提案の仕組みづくり


である。この両者のBPR の相乗効 果が、基盤設備業務のBPR の最大 のポイントであった。

●BPR の対象範囲とシステム構築 の基本的考え方

BPR の対象範囲は、図1 に示すよ うに、ファシリティーマネジメント (計画・保全・設備管理)分野5 業 務、エンジニアリングマネジメント (設計・建設)分野4 業務、受発注 業務、経営マネジメント、ドキュメ ント共有、各種共通業務の計13 業 務に及んでいる。

図1 BPR の対象範囲



NTT インフラネットの営業開始 である平成11 年4 月までに、短期 でできる限りのシステム開発を実施 するため、以下の基本方針に基づい たシステム構築が実施された。

・使えるもの(ソフト等)はすべて 使い、新たに作る無駄を省く。
・コストを最低限に抑えるために、 ソフト資産の有効利用、共用化を 実施する。
・既存システム、およびNTT 開発 中のシステムと整合を図り、将来 の拡張性を考慮し、無駄を省く。

具体的なソリューション

●設備計画、管理業務のBPR とシ ステムの導入

設備計画、管理業務(ファシリテ ィーマネジメント)のリエンジニア リングに関わるシステム群として、

・グランドデザインサポートAP
・管路マネジメントAP
・スペースユーティリティーマネジ メントAP
・ユーザビルマネジメントAP
・プラントレコード管理AP


<グランドデザインサポートAP >

グランドデザイン業務のBPR の ポイントは、

・整備の優先順位付け等による効果 的建設投資計画の策定・提案
・投資評価シミュレーション等によ る建設投資の効果の分析可能な仕 組み作り
・責任分界点(販売/ケーブル/基盤) の明確化とシステマチックなルー ル管理

に集約される。本アプリケーション は、効果的な建設投資計画の策定・ 提案をサポートするものであり、こ れにより、基盤設備整備の必要性、 プライオリティー等を多角的に分析 し、質の高いグランドデザイン (GD )・設備計画提案を可能として いる。

グランドデザインサポートAP の 主要機能を以下に示す。

@ルート整備のプライオリティー自 動決定機能及び地図表示機能 (図2- 参照)
A基盤GD ルートの地震等に対する 信頼性評価機能及び信頼性の高い ルートの選定機能
B基盤GD ルートの整備率の集計及 び整備進捗状況の管理機能(図 2- 参照)
C各種管理指標をインフラネット支 店ブロック単位、NTT 本社・支店 単位に算出・集計する機能
D基盤GD ルート整備状況図の地図 上へのビジュアル表示機能及び作 成機能


図2 グランドデザインサポートAP の主要機能



<管路マネジメントAP >

管路マネジメント業務のBPR の ポイントは、

・管路点検結果のデータを確実かつ 効率的にデータベース化する仕組 み作り
・整備の優先順位付け等による効果 的な管路設備整備計画の策定・提 案

に集約される。本アプリケーション は、効果的な管路点検計画・補修計 画策定・提案をサポートするもので あり、これにより、基盤設備保全デ ータベースを用いた定量的なプライ オリティー付けや一定投資範囲で整 備可能な工程の抽出など質の高い整 備提案が可能となる。

管路マネジメントAP の主要機能 を以下に示す。

@基盤GD やケーブル入線計画を考 慮した管路点検、補修のプライオ リティー自動決定機能および一定 投資範疇での工程抽出機能(図 3- 参照)
A効果的な更改提案を行っていくた めの基盤設備の各種データ(管路 点検補修工程箇所、不良設備等) の地図上へのビジュアル表示機能
B説得力ある更改提案を行うための 不良設備写真管理、表示機能 (図3- 参照)
C点検補修計画策定結果の支店、ビ ル、工事計画ルート単位の算出・ 集計機能(図3- 参照)
D整備ルート毎の整備率集計機能お よび進捗管理機能


図3 管路マネジメントAP の主要機能



<スペースユーティリティーマネジ メントAP >

通信事業者からの地下設備共用申 し込み関連業務におけるBPR のポ イントは、

・マンホール内ダクト指定、とう道 内ケーブル棚位置指定のルール化
・ルート信頼性(地盤の強さ等)を 加味した戦略的ルート選定


に集約される。本アプリケーション は、通信事業者からの設備共同収容 申し込みにおいて、最適なルート及 びダクトを自動的に選定しかつ瞬時 にビジュアル表示する(図4 参照) ものだ。

図4 スペースユーテリティーマネジメントAP の主要機能



これにより、NTT のケー ブル敷設計画・社外工事計画・基盤 保全情報・災害に対する信頼性等の 各種情報を参照してルートを選定す ることが可能となるとともに、効率 的なダクト予約・管理が実現でき る。

スペースユーティリティーマネジ メントAP は、その他に、NTT ケー ブル計画時のルートの自動選定やダ クト自動選定機能も兼ね備えてい る。また、今後は、プラントレコー ド管理AP と本AP とのシステム間 接続を図ることにより、効率的なダ クト指定、管理業務が可能となる。

<ユーザビルマネジメントAP >

本アプリケーションは、ビルオー ナーへの総合的提案の仕組み作りの 一環として、お客様ビルMDF (Main Distribution Frame )〜第 1 マンホールの地下引き込み部のフ ァシリティーマネジメントを実現す ることを目的としたものである。

図5 に示すように地図や直線図に ユーザビル位置を表示するととも に、お客様ビル内設備や引き込み管 路の詳細情報を表示できる。

図5 ユーザビルマネジメントAP の主要機能



<プラントレコード管理AP >

基盤設備図面管理業務のBPR の ポイントは、

・基盤設備等図面の管理方法におけ る電子化手法の全国統一

・既導入システムとのデータフロー スルー化


に集約される。本アプリケーション は、基盤設備図面管理に関わる全国 標準システムとして導入され、これ により基盤設備図面のペーパーレス 化、エリアフリー化が図れ、またデ ータベース維持管理業務において は、タイムリーなデータ更新、二重 管理の廃止、補修正作業の効率化が 可能となる。

プラントレコード管理AP は以下 の機能を備えるとともに、通信建設 会社CAD との接続機能、Optos (Outside plant Provisioning and inTelligent Operating Systems ) との接続機能を実現している。

@地図上での図面類の検索機能
A投入データの誤りチェック機能
Bデータのセキュリティを担保する ための図面管理者の承認・更新機能

図6 プラントレコード管理AP の主要機能



●渉外、エンジニアリング業務の BPR とシステムの導入

渉外およびエンジニアリング(設 計・建設)業務のリエンジニアリン グに関わるシステム群として

・戦略折衝サポートAP
・支障移転フロースルーAP
・特殊設計サポートAP
・価格交渉サポートAP
・ドキュメント共有AP

の5 つのシステムが導入された。

<戦略折衝サポートAP >

道路管理者等に対する渉外業務の BPR のポイントは、

・事前情報収集から各種会議情報、 工事情報までの一元管理によるお 客様対応の質的向上
・折衝情報の共有化による問い合わ せ対応等の効率化
・折衝キーパーソン情報の一元管理


の3 点に集約される。

本アプリケーションは、道路管理 者に対する渉外情報等をNTT グル ープ全体で共有化し、活用していく 仕組み作りを実現するためのシステ ムであり、これによりお客様対応の 迅速化、タイムリーな情報提供が可 能となる。

戦略折衝サポートAP の主要機能 を以下に示す。

@NTT グループ間での折衝情報の 共有機能
A各種キーワードによる必要情報の 検索機能
B折衝状況集計機能
CQ &A 情報及クレーム情報等の共 有化機能

<支障移転フロースルーAP >

支障移転業務のBPR のポイントは、

・移転情報収集から工事設定までの 業務の一元実施及びこれによるお 客様への迅速な対応とNTT への タイムリーな工事提案の実施
・施工管理システムとのデータ流通 によりNTT グループ全体のエンジ ニアリング業務の効率化への寄与
・工区グルーピングによる集約効果 の創出
・有償移転費用シミュレーションの 簡便化による木目細かいお客様対 応の実現
・項目、単金の統一による地域差の 分析の実現およびこれによる節減 額全体の底上げ


の5 点に集約される。

本アプリケーションは、道路の形 態変更等に伴う支障移転の受付から 発注までの一連の業務のフロースル ー化、シングルインプット化を実現 するものだ。これにより支障移転関 連業務の効率化、お客様対応の質的 向上が図れる。

以下に支障移転フロースルーAP の主要機能を示す。

@受付前の事前移転情報の登録機能 及び概算工事費の簡易算出機能
A複数の工事区間を容易に集約でき るグルーピング機能
B有償率・節減率の支障移転管理項 目の自動算出機能
C有償計算機能及び必要書類の自動 作成機能
D統一化された算出ルールに基づく 節減額算出機能
E施工管理システムへの移転情報送 信機能(工事発注の効率化)
F施工管理システムからの工事情報 受信機能(工事進捗状況の自動把 握)


図7 支障移転フロースルーAP による支障移転情報の把握と工事提案



<特殊設計サポートAP >

中口径管路設計業務のBPR のポ イントは、

・実施検討前の適切な技術検討(調 査等)期間設定のルール化による 計画精度の向上
・プラントレコード管理AP 、グラ ンドデザインAP 等とのデータ流 通による実施設計作業の効率化
・価格交渉サポートAP との接続に よる見積り価格算定の効率化

の3 点に集約される。

本アプリケーションは、中口径管 路設計業務のフロースルー化、シン グルインプット化を実現するもの で、これにより、中口径管路設計業 務の大幅な効率化が可能となる。

特殊設計サポートAP は他システ ムとのデータ流通機能の他、以下の 主要機能を持つ。

@CAD 機能を活用した製図機能及 び工程量自動抽出機能

A知識DB 及び工事実績DB の活用 による非開削設計判定機能


図8 特殊設計サポートAP による工程数量の算出と詳細設計図の作成



<価格交渉サポートAP >

価格交渉業務のBPR のポイント は、

・新施工管理方式に基づく業務の変 革への対応
・甲乙がともに納得できる工程算出 方法の確立
・AI 化による設計変更の減少 ・データ流通による業務の効率化 (シングルインプットの徹底)

に集約できる。

本アプリケーションは、工事会社 との工程共有化ならびに過去の統計 データをフィードバックするAI 機 能等により算定業務及び価格交渉業 務を効果的、効率的に実施するもの だ。価格交渉サポートAP の主要機能 を以下に示す。


@過去の統計データに基づく、設計 条件の設定機能
A主工程の投入による算定用工事 FD の自動作成機能
B工事会社の見積り価格に対する価 格交渉ポイント表示機能
C見積り根拠シミュレーション機能
D参考価格、見積額の統計処理によ る乖離状況の把握・分析機能
E詳細設計データに基づく算定FD 自動作成機能


図9 価格交渉サポートAP のフローとシステム化の範囲



<ドキュメント共有AP >

基盤設備に関わる技術資料等のド キュメントは、圧倒的な量・質が蓄 積されており、これを電子データで 流通させることにより様々な効果を 得ることができる。

本アプリケーションは、標準実施 方法、マニュアル、仕様書などのド キュメントデータの電子化及びデー タベース化により、配布時間の短縮、 アクセスの容易化など流通性向上を 図るものである。

以下にドキュメント共有AP の主 要機能を示す。

@サーバサイドプログラミングを用 いた設計業務における工法選定、 計算等の自動化
A技術資料への設計ツール組込みに よる設計支援機能
B技術資料検索機能及びオンライン Q&A 機能


なお、本アプリケーションは、後 述する社内情報流通システムへと統 合化することになっている。

●受発注業務

NTT インフラネット設立に伴い、 NTT と新会社間の受発注を行うシ ステムが導入された。このシステム は、フロースルー化、シングルイン プット化の徹底により、会社設立に より新たに発生する受発注稼働を究 極的にゼロにすることを目標に構築 された。

受発注業務のBPR のポイントは

・施工管理システムや経理システム などNTT 各システムとのデータ フロースルー化
・インフラネット社経営マネジメン ト等各システムとの連動化
・接続会計分計業務の効率化


の3 点であった。

図10 にNTT とNTT インフラネッ ト間の受発注システムのフロー概要 を示す。

図10 NTT 〜NTT インフラネット間受発注システムのフロー



また、受発注システムの主 要機能を以下に示す。

@業務完了報告書や請求書の自動作 成機能
A接続会計別の費用の自動分計機能
BNTT の新経理システム(IRIS 端 末)用送信データの自動作成機能
C請求処理後の受注工程及び委託費 に関する情報の経営マネジメント システムへの自動送信機能
D受注先機関の事前設定による受注 先を意識しない発注機能
E発注・受注の承認に関するワーク フローの変化への対応機能
F委託費の算定式の組込むことによ る委託費の自動算出機能
G見積り額の算定式の組込みによる 標準的見積書の自動作成機能


また、本システムはWeb ブラウ ザを通して簡単に電子受発注ができ ることから専用の受発注端末が不要 である。

受発注システムにおいては、共通 プラットフォーム化によりグループ 全体として最大の効率化が図れるこ とからNTT インフラネットでは、 関連会社を含めたシステムの開発を 進めているところである。
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