エンタープライズWebを支える日立のアプリケーションサーバ
-コズミネクサス-
Cosminexus


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「個別」から 「連携」への流れ

従来、企業の情報システムは大き な進化を遂げてきた。そして、基幹 システム、部門単位のシステム、電 算システムなど、さまざまな業務が 情報システムのフローチャート上で 行われてきたのである。

しかし、今日の企業のIT 戦略の 流れは、「個別」システムを「連携」 する傾向が強い。たとえば、Web ベース化やERP パッケージの導入、 e ビジネスの浸透などが、オープン スタンダードなシステムを望んでい るのである。

従来の企業情報システムは、前述 のように業務、部門単位のアプリケ ーションを利用している。言うなら ば、孤立した個別システムが多数存 在しており、システム相互間による 連携は皆無な状況であった。これで は、各業務・部門単位でしかシステ ムを利用できないため非効率的であ り、システムの変更を施す際も非常 に大がかりな作業を要する。

今日の企業システムに求められて いるのは、各業務アプリケーション 間の連携による統合された企業シス テムである。そして、多彩なアプリ ケーションをビジネスプロセスで結 合し、統合を実現できる技術が必要 不可欠なのである。

統合企業システムを 実現するEAI

現在、統合された企業システムを 実現するEAI が注目されている。 このEAI は、企業内のさまざまな アプリケーションをビジネスプロセ スで結合して全社的に統合する技術 である(図1 )。



図1 EAI とは?

図1 EAI とは?

このEAI は、

@接続
ATransformation
BFlow 制御

という基本機能により実現される。

まず、@は、電話サービスで例え ると電話線を各端末に接続するレベ ルである。つまり、レガシーシステム への接続を実現する。アダプタやラ ッパーといったツールを利用して、 既存システムへの接続を行うのであ る。しかし、この時点では、あくまで 「接続」が完了しただけであり、「連 携」というEAI の最大の特長をフル に発揮することができない。そこで、 AのTransformation レベルの実現が 必要不可欠になってくるのである。 Aで実現できるのは、相手の言語を 理解して接続を行うこと、つまり、異 種アプリケーション間のデータを変 換することである。レガシーシステ ムを有効に活用しつつ、全社的な統 合を実現させるには、このデータの 変換が重要な役割を果たす。



@、Aのレベルまで実現できれば、 あとは、企業システムとして効率よ く活用するのみである。そこで、各 アプリケーションの連携に併せて、 ビジネスプロセスを確立させる必要 がある。それが、BのFlow 制御で ある。

盛り上がるEAI 導入

米国の企業ではパッケージ製品 (ERP など)の導入が盛んであり、そ れらアプリケーションの統合のため にEAI ツールの導入が盛んである。

一方、日本でもEAI への関心が急 速に高まりつつある。たとえば、企 業提携、合併などによる業務統合へ の対応や電子政府などのOne Stop サービスの拡大などが、あげられる (図2 )。



図2 21 世紀の企業情報システム

図2 21 世紀の企業情報システム


では、実際にEAI 技術を適 用して動き出しているものを以下に 列挙する。
・Web- レガシーインテグレーション
・金融Hub&Spoke
・コンビニ等他業種統合サービス
・ERP のコンポーネント化

日本のEAI 市場は世界市場から 見て1 割程度とされている。ゆえに、 これから大きく伸びる市場でもあ り、可能性が無限に広がる技術とも いえよう。その証拠に、世界的にも 今後、EAI ビジネス市場は年率25 % 以上の成長を続けていくと予測され ている(図3 )。

図3 EAI ツール市場の動向

図3 EAI ツール市場の動向




ビジネスプロセスベース・ インテグレーション

前述の通り、従来の企業システムは サブシステムを個別に開発していた。 そのため、エンタープライズシステム の課題として浮き彫りになっている のが、
・業務が分断
・変更が困難
という2 点である。

たとえば、サブシステム間に複数の 人手が介入しているため、一貫したシ ステムの流れを作り出すことはでき なかった。また、業務の流れをアプリ ケーションごとに作り込まなければ ならないため、変更などは非常に困難 な作業を要するのである。

そこで、日立製作所では従来の企業 システムのもつ課題を解消するため に、ビジネスプロセスベース・インテ グレーションを提唱している(図4 )。

図4 ビジネスプロセスベース・インテグレーション

図4 ビジネスプロセスベース・インテグレーション


これは、ワークフロー技術の応用であ り、業務の流れを全体的に捉えビジネ スプロセスを設計するものである。そ して、ビジネスプロセスとビジネスロ ジックを分割して開発することによ り、システム実体にマッピングし、全 社的な統合を可能にする。

この、ビジネスプロセスベース・イ ンテグレーションにより、ビジネスプ ロセスとビジネスロジックが一貫し たシステムの流れを形成してくれる。 よって、無遅延企業システムによるリ アルタイム経営の根幹となるのであ る。

日立製作所では、これらの企業シス テム構築に対し、さまざまなEAI 製品 を提供している。以下から、企業シス テムの構築基盤である、「Cosminexus 」 を解説していこう。

エンタープライズWeb システムを 実現する「Cosminexus 」


Cosminexus は企業のエンタープ ライズWeb システムの構築基盤とな るアプリケーションサーバである。 Cosminexus の大きな特長は、
・柔軟性
・堅牢性
・スピード
をバランス良く兼ねあわせたアプリ ケーションサーバであることだ。

エ ンタープライズ環境での使用に必要 不可欠な要素を盛り込み、さらに、バ ランス良くまとまっているツールと いえる。たとえば、柔軟性でいえば、 ビジネスプロセスを鳥瞰的に捉えて、 開発・実行・変更する環境に、同社 の製品技術のひとつである

「WorkCoordinator 」と「アプリケー ションフレームワーク」が対応する ことができる。また、堅牢性に関して は、同じく「TPBroker 」、スピードに 関しては、多様なシステムを迅速に 統合させるラッパー群が対応する。

この3 大要素が、Cosminexus の根 幹となるものであり、これらの機能 を有効的に利用することにより、先 進的なEAI 環境が実現するのである。

WorkCoordinator による ビジネスプロセス開発

Cosminexus の大きな特長のひとつ にWorkCoordinator によるビジネス プロセスの開発・実行・変更がある。 このWorkCoordinator はビジネス プロセス開発を支援するツールであ り、多様な異種システムの連携を可 能とするCORBA ベースのワーク管 理システムである。

このワーク管理 技術を利用して、企業の求めるあら ゆるビジネススタイルにも対応し、 たとえば、図5 にもあるように、 コラボレーションタイプのビジネス プロセスや従来の通りの伝票回覧タ イプのビジネスプロセスなど、柔軟 なシステム設計が容易になるのであ る。 従来のシステム開発はサブシステ ムを個別に開発していたため、シス テム間の連携に人手が介入したり、 ファイル転送やバッチ処理で業務が 分断されて、ビジネスプロセスが自 動的に流れない問題があった。


図5 さまざまなビジネスプロセスに対応

図5 さまざまなビジネスプロセスに対応



また、 接続のための業務の流れをアプリケ ーションに作り込まなければならな かったため、システムの変更も大変 な作業が必要だったのである。 そこで、WorkCoordinator では、基 幹システムをビジネスプロセスベー スで開発する手法を実現したのであ る。この開発手法ならば、業務をビジ ネスプロセスとして鳥瞰的に捉える ことができ、それを実システムにマ ッピングすることできるのである。 さらに、業務を流れと業務ロジック に分割して設計・開発することも可 能になる。

一方、ワークフロー技術は事前に 定まった手順やルールを定義してお き、人から人へ文書や情報、作業を 伝達することでビジネスプロセス処 理を自動化することができる。この ワークフローの技術を利用して、ア プリケーションの流れの制御を行え ば、プログラマーは接続部分を意識 せず、業務ロジックの開発に 専念できるようになるのであ る。つまり、ワークフローは 流れの制御と業務ロジックを 分離する技術なのである。

たとえば、従来の、単純な ワークフロー技術では、図 5 に示した伝票回覧タイ プのフロントエンド中心の アプリケーションの定型処 理しかできなかった。

図5 さまざまなビジネスプロセスに対応

図5 さまざまなビジネスプロセスに対応


しかし、 WorkCoordinator を利用し てビジネスプロセスを開発す れば、フロントエンドのワー クフローに、業務ロジック (DB への連携等)を容易に対 応させることができるため、 業務処理の一貫したシステム が実現するのだ。業務処理を 一定地点で分岐させたり、 DB と連携させたり、基幹系 システムに反映させたりする ビジネスプロセスを容易に構 築できる。また、構築後もビ ジネスプロセスが変更になっ たり、流れが追加されたりし た場合でもWorkCoordinator ならば柔軟に対応することが できるのである。

WorkCoordinator の具体的な ワーク管理基盤機能は
・デファイナ
・フロー制御
・モニタ
・ユーティリティ
の4 つの機能群で構成されている。

また、上記のようなビジネスプロ セスを開発し、実行するに当たり、 Cosminexus ではアプリケーショ ン開発を容易にするツール「アプ リケーションフレームワーク」を 提供している。たとえば、クライ アント側は、プログラミングレス でJava アプレットの開発が行え る「Ramm/Java 」、サーバ側は 顧客との連携や情報発信を容易 にするWeb 情報発信フレーム ワークを、そして、DB などへ と連携し、WorkCoordinator を有 効的に利用できるようにする基幹 業務フレームワークなどの3 ツー ルを揃えて、企業のビジネスプロ セス構築を支援している(図6 )。

図6 アプリケーションフレームワークの概要

図6 アプリケーションフレームワークの概要




TPBroker ファミリで 信頼性高いシステムを実現


Cosminexus はメインフレーム の実績が豊富な日立の製品らし く、高機能であり、高信頼性を実 現している。これは高信頼アプリ ケーション通信基盤である TPBroker ファミリーが利用され ているからである。たとえば、多 数のクライアントの同時アクセス もOTM (Object Transaction Monitor )により、負荷を考慮し てリクエスト配信サーバを選択する ロードバランス機能で安定した性能 を実現している。

また、セキュアな企業内システ ム(図7 )の実現に対しても、TP Broker ファミリーが担っている。

図7 TPBroker ファミリーによるセキュア

図7 TPBroker ファミリーによるセキュア


以 下にその例をあげる。
・ドメイン管理:外部からの不正ア クセス防止
・きめ細かいアクセス制御
・暗号化機能
・運用コスト低減:アクセス権限管 理、履歴管理等の一元化
・セキュリティ管理のカスタマイズ可 能:セキュリティ管理用API の提供

また、OMG Security Service に 準拠している。

既存基幹システムと 連携させるラッパー群

企業内には、従来の既存システム やソフト資産が数多く存在する。そ れらをアプリケーションに取り込む ためのラッパー製品として、「Object Wrapper 」を提供している(図8 )。

図8 Object Wrapper による既存資産との連携

図8 Object Wrapper による既存資産との連携


この製品は、既存システム(たとえ ば、メインフレーム環境など)や各 種データベース資産などをWeb 環 境から利用できるようにするもので あり、その際、両者のデータ変換を 行うものである。

Object Wrapper は、既存システムに あるアプリケーションやデータをラ ッピング技術により、オブジェクトと して取り扱うことが可能になる。それ により、システムを大幅に変更するこ とや、インタフェースやベンダ間の相 違などを意識することなく、シームレ スに既存システムにアクセス、利用が 可能になるWeb システムを構築する ことができるのである。

Object Wrapper の製品群は大き く分けて3 つのカテゴリーに分類す ることができる。まずは、メインフ レームとのオンラインアクセスを可 能にする「オンライン・ラッピング」、 アプリケーションを経由せずにデー タベースに直接アクセスできる「DB アクセス・ラッピング」、バッチ処理 にアクセスする「バッチ・ラッピン グ」である。また、ERP パッケージ との連携も可能であり、これは業界 標準ともいえるSAP 社のR/3 に対 応したラッパーを提供している。

Cosminexus Version3 のポイント

日立は1999 年12 月にCosminexus Version 3 を発表している。Version 2 までは基幹業務を中心としたバック エンドシステムの支援を核としてい たが、Version 3 ではインターネット による基幹業務連携・全社的統合を 支援し、インターネットビジネスの スタートから企業改革までに対応し た製品ラインナップを提供すること になる(図9 )。

図9 Cosminexus Version 3 の新機能

図9 Cosminexus Version 3 の新機能


インターネット環境 がさらに強化されたCosminexus の 製品ラインナップは以下の通りであ る。
・Web Edition
・Standard Edition
・Enterprise Edition

以下から上記各製品の特長を紹介し ていきたい。

エントリー向けWeb アプリケー ションサーバWeb Edition


Web Edition は旧標準版とLight 版を統合し、Java 開発実行環境を 搭載した低価格の新製品である。企 業内のWeb 開発・管理機能の強化 に主眼が置かれ、登場した製品であ る。その搭載機能をまとめると、
・Web オーサリング機能
・Java Servlet/JSP
・WWW サーバ(UNIX 版のみ)
・Java 開発環境

となる。 Web オーサリング機能はドラッ グ&ドロップでリッチなWeb ペー ジの作成と大規模なWeb サイト管 理が可能になる。

Java Servlet/JSP はプレゼンテ ーションとロジックを分離して、 Web AP の生産性、保守性を向上す るものである。

WWW サーバは基幹業務向けに信 頼性の高いWeb サーバを提供。SSL によるセキュリティも確保する。 Java 開発環境は、ウィザードに よりAP の雛形を自動生成し、Java によるAP 開発を容易なものにして いる。

「既存システムのWeb 化を簡単 に」という企業には、Web 開発環 境が強化されたWeb Edition は最適 といえる。

最新Java 開発・実行環境に 進化したStandard Edition

Standard Edition は、旧標準版と Light 版を統合し、最新のJ 2 EE (Java 2 Platform Enterprise Edition ) を標準サポートしたコンポーネント AP サーバとして機能強化された(図10 )。

図10 Standerd Edition の強化機能

図10 Standerd Edition の強化機能


アプリケーションサーバの開 発・実行環境の標準仕様である J 2 EE/EJB を統合してあるため、ビ ジネスロジック開発に集中し、業務 システム構築を短期間で実現し、さ らにビジネスロジックの再利用を促 進する効果がある。

Standard Edition の大きな特長 は、このJ 2 EE とEJB をCORBA と 統合し、実績のある分散オブジェク ト実行環境とエンタープライズサー ビスを提供する。

さらに進化したエンタープライズWeb を実現するEnterprise Edition

Enterprise Edition は旧Enterprise 版の機能強化バージョンであり、よ り完成されたEAI を実現する製品と して今後製品化する予定である。特 に、BPI (Business Process based application Integration )をさらに支 援するために新たな機能拡張を図る 予定である。

たとえば、既存システムとのイン テグレーション部分での支援を強化 している。従来、既存システム、デ ータベース、各種パッケージなどと ラッピング技術により連携していた が、その際にEB (Enterprise Bean ) として明確化し、ワークフローと連 携させる。この時、部品化は手作業 で行われることが多かった。これは、 ラッピング技術でオブジェクト化で きるといっても、その先のアプリケ ーションレベルの変換まではできな かったからである。

そこで、Enterprise Edition では 異種アプリケーション統合機能を強 化し、既存システムやパッケージを ビジネスロジックとして部品化し、 簡単にビジネスプロセスに組み込む ことが可能になるのである(図11 )。

図11 Enterprise Edition の強化機能

図11 Enterprise Edition の強化機能


また、企業間による連携も考えて XML データ交換も支援する予定で ある。

Version3 の製品体系


Cosminexus Version 3 では、実行 環境と開発環境が製品として大別さ れている。実行環境は「Cosminexus Server 」であり、拡張製品として、 Object Wrapper (既存システム連 携)、WorkCoordinator (ワーク管理)、 JP 1 シリーズ(運用管理)、Document Broker (文書管理)、などがある。一 方、開発環境は「Cosminexus Studio 」であり、拡張製品には RammWare for Java (Java クライ アントフレームワーク)、Web for Enterprise (情報発信フレームワー ク)がある。

これは、2 つに分けることにより 各ベンダがさまざまな形態でパッケ ージを提供できる利便性がある。

適用モデル 〜金融商品システム〜

図12 はある企業の金融商品システ ム例をVersion 3 のJava で適用した モデルである。

図12 金融商品システム構築モデル(Java 適用)

図12 金融商品システム構築モデル(Java 適用)


使用しているツール は"Cosminexus Version 3 Enterprise Edition (以下Cosminexus )"である。 従来、このシステムは以下のような 問題に直面していた。
@頻繁な制度改正でシステム変更・ 修正が多発
A数理計算をバッチ処理させている ため、結果入手に時間がかかる
B報告書などの帳票を紙・FAX で 送信しているため、手間がかかる

そこで、Cosminexus を導入し、全 国の営業支店をワーク管理で結び、 個人情報管理システムと数理計算シ ステムを連携させ、リアルタイムで 結果を取得できる新システムに移行 したのである。

その結果、各営業支店 からWeb でアクセスで き、時間をかけずに処理 結果を得られる新サー ビスを提供することが 可能となった。月300 人 で半年かけて行ってい た新サービスを、月30 人 で2 ヶ月という短期間 で開発することができ たのである。

ここまで容易なシス テム移行を可能とさせ たのはCosminexus の強 力なワーク管理技術と ラッピング技術である。既存システ ムである個人情報管理システムと数 理計算システムのデータをラッピン グし、ワーク管理でWeb アプリケー ションとして統合することで、従来 の手間の掛かる統合作業が大幅に削 減可能となる。

また、拡張性にも優れているため、 将来の制度変更や体制変更もビジネ スプロセスの変更で容易に対応でき る。オープンスタンダードな環境か らビジネスプロセスとビジネスロジ ックを全社的に統合できる

Cosminexus ならではのシステム構 築モデルといえよう。

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