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〜百貨店ソリューション〜
百貨店システム構築を終えて


ゼロから興すシステム構築

――まず、今回、百貨店ソリューショ ンとして展開したわけですが、その 経緯から教えてください。

熊倉百貨店自体は地元密着型百貨 店であり、1 店舗としての規模はか なりのものでした。ただ、構築以前 の情報システムでは、データを鳥瞰 的に捉えて、分析することは非常に 困難な状況だったんです。たとえば、 統合された売上データを見たくても、 各フロアごとのデータしか出てこな い。さらに、そのデータを統合して 分析するツールもなかったわけです。
関根その売上データも、各フロア で閉じられてますので、経営戦略と してのデータとして活用することが できないんです。さらに言えば、そ のデータを経営に携わる方々が見る 術が無かったようですね。それで、 「今あるシステムが2000 年以降耐え られない。どうすればいい?」とい う要請とともにプロジェクトがスタ ートしたわけです。

――なるほど。顧客である百貨店側 はどのようなシステムを要求して きたんですか?

熊倉 要求というより、こちら側 で提案させて頂きました。プロジ ェクトの第1 フェーズで、「どの ようなシステムにするか」という 枠組みだけは検討しておりました ので、我々はシステムの機器やソ フトなどを選定する基本設計以後 全てを担当する中での段階で具体 的な提案を行ったわけです。
関根我々が実際にヒアリングを 行い、現状のシステムを分析して 理想のシステム像の絵を描いてい ったわけです。先程も申しました が、「これを作ってくれ」という 強い注文は無かったので、互いに検 討を繰り返して、システム構築を進 めていったんです。
浅田逆に百貨店の方は、トップダ ウンで進めていく考えがあったの で、現場の方の意見を吸い上げるこ とはあまりしなかったようですね。 確かに、ERP などを導入する場合な どは、BPR を前提としてトップダウ ンで進めることも多いですから。

百貨店に特化したシステム構築

――システムの詳しい概要をお聞かせ ください。

関根主に店舗系システムと会計・ 給与といったバックヤードシステ ム、さらに、店舗系のサブシステム と分けられますね。
熊倉まず、店舗系システムは基幹 システムとして商品管理・在庫管理 などを行うサーバを置き、そこにス トアシステムが繋がります。ここは、 POS レジなどを管理しています。 また、それらデータを分析するため に保管しておくデータウェアハウス サーバがあります。これら、基幹系 システムが全体のシステムの中核と いえます。
関根それらに付随して、百貨店に はよく見られる友の会のシステムが あります。また、お中元、お歳暮な どを管理するギフトシステムがあり ます。今回の百貨店は日曜雑貨・食 料品も扱っていますので、EOS (Electronic Ordering System )シ ステムも導入しました。あとは、 店内へのお客様の入出などを逐一 チェックする人流計測システムと 勤怠情報を管理するカード発行機 を設置しました。これらのシステ ムは1 つのパッケージになってい るんですが、元々各システムは単 体で提供していたものなんです。
熊倉その中でも基幹システムと ストアシステムを分けることは難 しいです。あとのシステムは各自 独立したシステムです。
関根このご時世に百貨店が全シ ステムをそっくりそのまま一括導 入することは余程のことがない限 りありません。たとえば、新店舗 オープンなどあれば別でしょうが。 今はほとんどが、各部分部分のシ ステムのリプレースという形で入 っているベンダさんが多いですね。

公正な評価と判断で パッケージを選択

――使用したパッケージは評価が断 然に高かったからですか?

熊倉確かにそうですが、お客様 の予算との兼ね合いなどもこの選 定基準に考慮しました。しかし、 使用したパッケージの評価が突出 していたというわけでもないんで す。有名どころのパッケージは選 定候補に入れましたが、その他の パッケージでも甲乙付けがたいも のもいくつかありましたから。
浅田評価自体は0 、3 、5 と3 段階に分けて行っています。0 が 大幅なカスタマイズが必要で、3 が 簡易なカスタマイズ、5 がほぼノー カスタマイズという具合です。


――やはり、顧客に合わせて項目自体 を練り直していくんですか?

熊倉そうじゃないと、メジャーな パッケージに偏ってしまいますから。 「パッケージありき」ではなく「顧客 ありき」で選定しているんです。メ ジャーなパッケージが全てのお客様 に最適であるとは言えませんからね。
関根あらかじめお客様に、「これ をサポートしてなければダメ」とか 「これは最低限欲しい」という要望 を反映させた評価項目を作成してい くんです。
熊倉だから毎回同じ評価項目が全 く同じものになることはほとんど無 いんですよ。

――このようにパッケージを明確に評 価することは、他のベンダも行って いるんですか?

関根パッケージ選定の段階から入 っていけば、それなりに評価選定を 行っているところもあると思いま す。多くの場合は、お客様があらか じめ3 〜4 種類のパッケージ候補を 選んできて、その中から選択してい くパターンが多いんですね。だから、 スタートの時点で何のパッケージを 使うのかは、だいたい決定している んです。逆に、今回の百貨店の場合 は、システム全体をゼロから全て興 す必要があったので、ここまでコン サル的要素が盛り込めたわけです。
浅田たとえば、ある企業の社長が 「どうしてもこのパッケージを入れ る!」と決断している場合、評価を 行っても意味がないし、あまり構築 自体も成功することも少ないと思い ますよ(笑)。
熊倉評価を行って も、どうしてもそのパ ッケージのほうにいか ざるをえないじゃない ですか。せいぜい、そ れ以外の製品を2 〜3 種類、対抗馬として添 えるだけですよ(笑)。

パッケージ選択

百貨店ならではの システム構築

――やはり苦労した点はパッケージの 選定ですか?

熊倉苦労というより、逆に面白か ったと言えますよ。様々なパッケー ジをどういう項目で評価していくの か、という部分は我々も初めての経 験だったので暗中模索でした。また、 どうしても、パッケージに対する先 入観が出てしまうので、ひとつひと つのパッケージの評価を数値化して いきました。あまりカスタマイズを 要しない製品が条件にあったので、 そのような評価も付け加えたりしま したね。

――百貨店ということで特殊な技術が 必要でした?

関根普通の企業と違い、特殊な機 器がたくさん存在します。たとえば、 紙幣入金機や自動包装値付機や対面 用PR 付秤など…。これらの機器選 定も我々が行ったんです。店舗全体 のシステム変更ですので、このよう な機器も任されたんです。また、 POS レジやPC の搬入の調整なども 行いました。逆に、ここまで任され ることは他ではありませんよね。

「システム構築もNTT コム」を伝える

――今後の展開はどうお考えでしょう か?

熊倉大手の百貨店はシステム構築 などは既に済んでいると思います。 しかし、たとえば、県内に1 店舗し か持たない大型のディスカウントス トアや百貨店などは、各地にたくさ んあると思います。今後はそのよう な方面を対象にしていきたいです ね。あとは、NTT コムがそういっ たSI 事業をやっている、というこ とを皆が知らないというのが現状だ と思います。たとえば、回線関連は NTT ( ※現在はNTT 東日本およびNTT 西日本) で当たり前だけど、情報シ ステムの構築サービスも提供してい るとは誰も思っていないんでしょう ね。あくまでも、「情報システムを 回線関連でサポートするのがNTT 」 という固定概念があるんです。多く の人に、「ここまでやっている」と いうことを知ってもらわなければな らないですね。

――その他にNTT コムだからこそ発 揮できる強味はありますか?

熊倉先程、インフラ系=NTT につ いて述べましたが、逆に我々はそれ が優位な点にもなるということを認 識しています。我々はパッケージな どを自社で開発していませんので、 各社各様のパッケージを公平に評価 し、お客様に合わせた 製品を提供することが できるんです。もし、 既にパッケージが決ま っているお客様に対し て、我々が競争してい かなければならないな らば、それは非常に厳 しいことです。つまり、 お客様がパッケージを 選択する段階で必要に なるスキルを提供していこうと考え ています。やっぱり、メーカ系列の 業者さんが入ると、自社で製品を持 っているので、評価の必要がなく決 まってしまうじゃないですか。我々 ならば「白紙」の状態から選べるん ですよ。
浅田やっぱりメーカ系列の場合、 コンサルをするにも自社の製品を前 提にしたコンサルになってしまいま すからね。我々の場合は、客観的な 評価ができるという点は強味だとい えます。あと、我々の強味といえば、 「インフラ=NTT 」を最大限に利用 していきたいですね。

――それはどういうこと でしょうか?

熊倉今回の百貨店も そうですが、配線工事 などのインフラ系と業 務システム構築などの 情報系が一環の流れで 構築可能になりますよ ね。今回は、支店(現 NTT 東日本)がイン フラ系を、我々がシステムの構築に 携わったんですが、これをもっと互 いにシームレスに行えれば、インフ ラから情報系まで全てを提供するこ とができるわけです。百貨店に限ら ず特別な作りや特殊な装置が必要と なってくる場合、インフラと連動し てシステムを構築してあげれば、お 客様の理想に限りなく近いものが提 供できるはずです。
浅田たとえば、NTT として一貫 して構築が可能ならば、電源の配置 なども機器類との兼ね合いを考慮し て、お客様の利便を最優先した作り にしてもらうことが可能ですね。あ とで、「こうしてもらいたかったな ぁ」という言葉も聞かなくて済みま すからね(笑)。
関根インフラと情報システムは必 然的に別々の業者が携わることが大 半ですからね。我々はNTT コムとし てインフラを扱っている強味があり ますから、それを他社との差別化と して展開できればと思っています。

――なるほど、本日はありがとうござ いました。

<お問い合わせ先>
NTT コミュニケーションズ
ソリューション事業部
第二営業部
システムインテグレーションチーム
TEL :03- 3539- 5710
熊倉利昌
toshimasa.kumakura@ntt.com
関根幸雄
yukio.sekine@ntt.com