私が気になる3つの技術



NTT 東日本
取締役 法人営業本部
システムサービス部
中嶋 登喜雄


NTT 東日本法人営業本部では、お 客様とのコラボレーションを通し 「攻めの経営」をサポートするマーケ ットオリエンテッドなソリューショ ン「Tm@solution 」を展開している。 一見法人向けソリューションとは無 関係に見えるコンシューマ向け技術 も、マーケットのベネフィットを生 み出すためのソリューションにおい て重要な意味を持ちつつある。

IP アクセス網の高度化、 多様化

インターネットの爆発的な普及 は、EC の発展を加速する。基盤とな るネットワークは、より高速、安価 に提供されることが不可欠であり、 xDSL 、無線アクセス等の新技術が 続々と登場している。

こうした多様なアクセス手段を利 用した社内、社外、SOHO 、モバイル 等の各シーンにおいて、手段の違いを 意識する必要のない環境が望まれる。 又データを安全に伝えるために、VPN (暗号化・認証)技術等も重要である。 NTT 東日本として、特に法人のお 客様向けにビジネスプラットフォー ムの構築をお手伝いする新サービス 「Ephelio (イフェリオ)」を過日発表 した。本サービスにより、高速、安価、 高性能のIP ネットワークを実現し、 ビジネス・ライフスタイルを変化さ せていきたい。

情報端末

ネット対応ゲーム機、インターネ ットアクセス携帯端末、BS デジタル STB 等多くの情報端末が市場に登場 してきており、次世代情報端末とい われるゲーム機には、USB 、IEEE 1394 など家庭内ネットワークの基礎 となる技術が搭載されている。共通 するキーワードは、インターネット、 エンタテイメント、モバイル等があ るが、今後の課題はUbiquitous (い つでも、どこでもの意)と いわれるネ ット接続環境の確立であり、これは 前述した多様化するIP アクセス網に 対するインタオペラビリティの確保 とも大きく関係する。

一方、情報端末の普及という観点 から、バリアフリーがキーワードで ある。たとえば、VCWEB (NTT 研究 所の技術)は音声によるホームペー ジ操作が可能であり、キーボードを 補間する技術に対する期待は大きい。

ネットビジネスにおける One to One Marketing

ネットビジネスの強みは、顧客の 一人一人を識別し、顧客毎にパーソ ナライズされた商品プロモーション やレコメンドができることである。 ネットビジネスにおいて差別化を図 る上でOne to One Marketing 技術の 積極的な活用が、今後最も重要な課 題になると思う。

顧客のプロフィールや購買履歴等 を元にしたデータベースマーケティ ングは、流通業や広告業等において 既に定着しつつあるが、分析行為は オフラインのバッチ的プロセスで行 なわれている。また顧客もセグメン トと呼ばれる類似特性グループとし て扱われるので、真の意味でのOne to One とは言えない。

ネットビジネスにおいて求められ るOne to One Marketing には、オン ライン性、リアルタイム性が欠かせ ない。レコメンデーションエンジン は、こうしたニーズに対応する有力 な技術であり、4 月からNTT 研究所 成果を元に商品化したAwareness Net によりソリューション展開を開 始した。

個々の要素技術については正に日 進月歩であり、最新技術を取り入れ つつお客様にソリューションを提供 していくことが我々の使命である。 一方、純粋な「技術」からやや逸れ るが、新たなビジネスモデルの創造 こそより注目し、取り組むべき課題 であると痛感している。




NTT 西日本
通信機器事業部長
吉沢 謙作
家庭内のワイヤレス/ 配線共用技術

モバイルが売れている。固定電話 の世界でもワイヤレスによるパソコ ンの利用がトレンドである。このた めか我が社の商品「i ・トレンビ ー・シリーズ」の人気が高い。やは り、家庭内ではワイヤレスである。 一度でも線の無い機器に慣れてし まうと、もう線が付いているのが邪 魔な気がしてくる。情報家電が騒が れているが、近い将来Bluetooth 、 PHS 、無線LAN 等の電波が部屋の中 を飛び交い、より快適な情報通信が できる環境が当たり前に受け入れら れるようになるだろう。

一方、ワイヤレス資源は有限であ り品質の面も考えると有線に軍配が 挙がる。その場合、既設配線をうま く使うことも重要になってくる。昨 年の暮れに標準化された新しい HomePNA のように、同一配線内に 10 Mb/s 程度の高帯域信号を重畳する ことで電話とデータ配線を共用する 技術がある。これは、既存システム との干渉等の課題があるようだが、 いずれ解決され、快適なデータ通信 環境実現とすっきりした配線の両方 を実現できるだろう。これからは、 このように「使い勝手を良くする技 術」は重要ではないかと思う。

ホームサーバ

ネットワークが競争時代に入り、 アクセスラインが多様化している。 今まではアクセスラインが低速の (細い)ため、端末側からは複数の内 線の情報を「集線」して使う発想が 一般的であった。しかし、アクセス ラインが高速な(太い)時代には集 線ではなく「速度整合」の発想で考 える必要がでてくる。一般的に、家 庭内に情報通信機器が増えてくると、 それらの機器を集めてアクセスライ ンに繋ぐ機器を設けた方が効率的に なる。この時、機器によってはアク セスラインより太い情報量を持つも のと、細いものが混在し、これらの 速度を合わせて繋ぐことで提供され るサービスを効率的に利用すること ができる。実現手段としては、メモ リを内蔵し、それぞれの太さに合わ せて出し入れすることが基本である。 最近、ホームサーバ・ホームゲー トウェイと呼ばれる装置が議論され はじめており、ネットワークと端末 の接点としてこのようなコンセプト の重要性は増すと考えられる。この ような「機器の利用の仕方を良くす る技術」もまた重要であると考える。
ヒューマン・インターフェース


「URL 」、「メールアドレス」等、マ シンに合わせたインタフェースを表 す言葉が世の中に溢れている。ユーザ はこれらを覚え、マシンに合わせてキ ーボード入力等をしないとコミュニ ケーションできない時代になってい る。本来ヒューマン・インタフェース はユーザにとって使い易いものでな ければならないが、たとえばパソコン の世界では、機器の性能向上に目が行 っており、人はそれを使いこなすこと を要求されている気がする。最近は Webphone 等に代表されるようにサー バと端末が連携することでヒューマ ン・インタフェースを向上させる試 みが出始めた。ユーザが意識しない間 に端末の機能が最新版に変更された り、単にWeb 画面等を見る時でさえ、 サーバ側のコントロールでユーザに 合った情報が自動的に表示されたり する。更に、音声で対話による利用も 可能になってきている。このように、 機械が人間に合わせて動作する「人 間にとって使い易いシステム作り」 が今後の主流になれば、デジタルデバ イドを克服する一助ともなり、IT の 恩恵をより多くの人々が得られるよ うになると考える。これもまた「使い 勝手を良くする技術」である。