NTT Comが、損保ジャパン日本興亜の全国のコールセンターにおける人工知能(AI)の本格導入を支援

アドバイザー(オペレータ)の支援機能を全国の拠点に導入するとともに、音声による自動通話対応を見据えた共同実験を開始

NTTコミュニケーションズ, 損保ジャパン日本興亜 2018年3月19日

NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は3月19日、損保ジャパン日本興亜向けに構築した音声認識AIを活用した「アドバイザー自動知識支援システム」を、既に導入済みの一部コールセンターに加え、2018年3月から全国のコールセンターへの本格導入に加え、両社がNTTグループのAI技術「corevo®(コレボ)」を活用して将来の音声自動通話対応を見据えた共同実験も開始すると発表した。

導入範囲の拡大

損保ジャパン日本興亜は、2016年2月1日から自動車保険・火災保険・傷害保険などの一部のコールセンターにおいて、NTT Comが構築した「アドバイザー自動知識支援システム」を導入している。このシステムは、顧客とコールセンターのアドバイザーとの通話内容をAIによる音声認識技術(NTTグループの音声マイニングシステム「ForeSight Voice Mining」)でテキスト化し、そのテキストデータに基づいて、アドバイザーが使用するパソコン上にリアルタイムで最適な回答候補を表示するもの。「アドバイザー自動知識支援システム」の導入後、AIの学習を深めた結果、音声認識精度が当初の80%台から95%に近づき、認識した質問に対する回答候補の表示精度も80%を超える成果が得られた。この状況を踏まえ、同社では3月から「アドバイザー自動知識支援システム」を全国のコールセンターに本格導入することとしたもの。

共同実験の概要

NTT Comと損保ジャパン日本興亜は、コールセンターのさらなる機能強化を図るため、NTTグループのAI技術「corevo®」を活用して以下の共同実験を行う。

①顧客の用件の自動抽出

現在のシステムでは、複数の発言のうちどの発言に関連したQ&Aを表示するか、アドバイザーが自分で選択する必要がある。本実験では、アドバイザーが選択しなくとも、会話の中でどの発言が重要なポイント(顧客の用件)であるかをAIが自動で把握し、その用件に関わる回答候補をアドバイザーに表示するとともに、回答の正確さや迅速さの向上効果を検証する。また、重要なポイントが自動表示されることにより応対履歴の入力作業が効率化されるため、その効果についても検証する。

②知識の自動獲得と文章の自動作成

一般に、コールセンター業務を支援するAIは、事前に用意されたQ&A形式のデータベースから適切な回答を探し出す。このため、Q&Aがカバーしきれていない質問への対応は困難である。本実験は、文書の構造(表も含む)をAIが自動的に認識する技術を用い、パンフレットやご契約のしおりなどの既存文書をAIが“読む”ことで、そこに書かれている内容を新たな知識として獲得し、回答文を自動作成するという革新的なもの。これにより、Q&Aにない質問に対応することも可能になる。また、人間がQ&Aを作成する際の業務負荷軽減も見込まれることから、その効果を検証する。

共同実験のイメージ

今後の方向性

両社は、「アドバイザー自動知識支援システム」の利用によるAIの学習および共同実験を通じて、電話をいただいた顧客に対してAIが音声で回答する「AIによる自動通話対応=バーチャルアドバイザー」の実現を目指す。超高齢社会の到来による労働人口の減少により、コールセンターの人材確保が難しい環境になることが予測されるが、バーチャルアドバイザーの実現により、簡単な問い合わせについてはアドバイザーが対応することなくAIによる正確かつ迅速な回答が可能となる。一方で、アドバイザーが回答することが好ましい問い合わせについては、AIではなくアドバイザーが回答する「ヒト」と「機械」が融合したコールセンターを目指していく。

損保ジャパン日本興亜は、今後もAIをはじめとした先進技術活用の検討を進め、一層の顧客対応品質の向上を図っていくとしている。

両者が目指すコールセンター像

詳細はNTT Comによるニュースリリースを参照
http://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2018/0319_2.html