NTTデータ

銀行口座を利用したスマホ決済サービス

銀行口座とスマホアプリを連動させてスムーズな決済オペレーションを実現した新たなキャッシュレス決済手段を提供

(2017年10月号掲載)

スマートフォンをはじめとしたモバイル端末の普及拡大やFintech推進の加速に伴い、スマートフォンを軸とした決済サービスの重要性は高まりを見せています。
NTTデータは、2018年度上期をめどに銀行口座とスマホアプリを連動させたスマホ決済サービスの提供を開始します。
サービス開始に先立ち、2017年9月には、サービス展開の可能性と運用検証を目的とした実証実験を実施しました。
利用者や加盟店、金融機関のニーズに応えたサービスの提供をめざしています。

「ミレニアル世代」にはモバイル接点の確保が重要

EC 市場規模の拡大や、スマートフォン(以下、スマホ)を中心としたモバイル端末の利用拡大、そして、FinTech 推進の加速などに伴い、スマホを軸とした決済サービスの重要性が高まっています。国内のスマホ保有率※1(2016年7月時点)は、今や全体の70%を超え、特に2000年以降の成人世代である「ミレニアル世代」は90%以上が保有しています。また、2017年7 月に発表された調査結果では、スマホ利用者の約2 割が既にスマホ決済を利用しており、約9割が継続利用意思を持ち、さらに半数は今後の利用意向があると回答しています。今後、加盟店や金融機関にとって、次世代の消費の牽引役となる「ミレニアル世代」に対し、モバイルを活用した利便性の高い決済サービスの提供を軸に、モバイル接点を確保していくことが重要になります。

スマホを軸とした決済サービスが普及拡大

昨今、スマホを活用した決済サービスが相次いで登場しています。技術面では、プロセシング処理の安全性を高めるトークナイゼーションの導入や、タブレット端末・QRコードのような汎用製品・技術の採用といった点で、従来のおサイフケータイから進化しています。また、読取方式は、加盟店側の決済設備状況に応じて、従来のNFC に加え、QRコード、Bluetooth など複数方式が提供されています。

決済手段については、現在提供されているスマホ決済サービスの多くは、クレジットカードをベースにしたものや、一旦バーチャル口座にチャージをして利用するものが多く、銀行口座からダイレクトに資金を移動させる決済サービス(デビットカード決済)はあまり普及していません。しかし、決済時に即時に銀行口座から引き落とされる銀行口座決済は、学生をはじめとしたクレジットカードを持たない/持てない層や、堅実に買い物をしたい層など、幅広い消費者層に受け入れられると思われます。

スマホひとつで“ いつでも、どこでも、簡単に”お買い物ができる新たな決済サービスを提供

NTT データは、銀行口座とスマホアプリを連動させたスマホ決済サービス(以下、本サービス)の提供を、2018年度上期をめどに開始します。本サービスは、利用者自身が所有する銀行口座をあらかじめ専用のスマホアプリに登録しておくことで、複数の加盟店でスマホ決済が可能になるサービスです。指紋認証や暗証番号等でセキュリティを担保し、使い勝手を損なわず、安心して利用することができるので、利用者は、現金やカードを持ち歩かなくても、スマホさえあれば決済が可能になります。1度登録を行えば、決済時に口座番号を入力する必要がありません。

図1 銀行口座を利用したスマホ決済サービスのサービスコンセプト

 

本サービスは、NTTデータがこれまでCAFIS ※2 で培ってきた「決済サービスの実績」、「多様性」、「安全・安心」をコアに、各種ノウハウを活用することで、加盟店や金融機関、利用者のニーズに応えることを目的としています。銀行口座決済をはじめ、多様な決済を可能とすることで、国内のキャッシュレス化を推進し、さらには、決済機能とともに、送客やマーケティング機能などの消費の前後をカバーする各種ソリューションを“All-in-One” で提供したり、決済に関連するCLO ※3 サービスやポイントサービスも含めた総合的なサービスを提供することで、加盟店の顧客接点強化や売上拡大を全面的にサポートしていきます。

このような特長を通じて、加盟店では、本サービスを自社のスマホアプリ施策と直結した買物プロセスに自然な流れとして組み込むことで顧客接点の強化が可能になります。一方、金融機関においては、自行が開拓した加盟店だけでなく、他行開拓の加盟店でもスマホ決済が可能となり、自行カードホルダーの利便性の向上が期待できます。

12金融機関の口座を利用して都内大型商業施設等で実証実験を実施

NTTデータは、本サービスの提供に向けた実証実験を2017年9月に実施しました。ここでは、大型商業施設内の一部店舗において、あらかじめ自身の口座情報を登録した「スマホ決済アプリ」を用いて銀行口座と連動したスマホ決済を実施し、その実行性の検証などを行いました。また、利用者がパスワード等の入力に代わり自身の生体情報(顔、声紋、指紋等)をもとにスピーディーに認証を行うことができるFIDO ※4 技術の採用に向け、その商用化に向けた有効性も検証しました。また、利用者が登録する口座情報は、NTTデータの決済プラットフォームにてトークン※5 化して、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基準(PCIDSS)に準拠した環境下で管理し、決済時もトークンを利用することでセキュアな取引を実現しています。

NTTデータは、今回の実証実験で得た結果等を踏まえて、2018年度上期のサービス提供をめざします。

 

  • ※1 出典:https://marketing-rc.com/article/2016073/.html
  • ※2 CAFIS:NTT データが提供する、多種多様な決済手段を支える国内最大の決済ネットワーク。
  • ※3 CLO:Card Linked Offer の略。利用者属性や決済履歴に基づいて、クーポンや特典等のお得情報を配信する仕組みのこと。
  • ※4 FIDO:パスワードなしでサービスを使える新しい認証。「素早いオンライン認証」を意味する英語”Fast IDentity Online” の略で、多要素認証というパスワードに代わる新しい認証技術のひとつ。 主に生体認証などが利用される。
  • ※5 トークン:カード番号などの機密データを乱数により生成する別の文字列に置き換えたもの。

 

NTTデータ
ITサービス・ペイメント事業本部
カード&ペイメント事業部
課長代理 入倉 草平

 

安心安全な決済サービスを実現するとともに、将来的には、NTTデータが提供するCAFIS Arch ※6 端末等への機能搭載など、加盟店の既存決済端末やネットワークインフラをそのまま活用することで加盟店や金融機関での導入しやすさを追求していきます。

 

※6 CAFIS Arch:NTT データが提供する、多様な決済機能を提供するクラウド型総合決済プラットフォーム。

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