NTTコミュニケーションズ

グローバルIoT Enabler/IoTビジネス共創のためのモバイルプラットフォーム

デジタルトランスフォーメーションに貢献するNTT Com MVNx 基盤の強化

(2018年1月号掲載)

NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)では、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)とMVNE(Mobile Virtual Network Enabler)の両方の事業を推進するMVNxとして9年間の実績を有しています。
今後も拡大を続けるIoTビジネスを国内外でお客さまと共創し、デジタルトランスフォーメーションに貢献するために、グローバルIoT EnablerとしてNTT Com MVNx基盤の強化を検討している内容についてご紹介いたします。

「eSIM」技術の取込により国内外でのIoTビジネス拡大に貢献するグローバルIoT Enablerへ

NTT Comは、MVNxとしてコンシューマ向け、法人向け双方のモバイルサービスの提供で9年の実績を誇っています。

今後の国内外でIoTビジネス展開するにあたり不可欠となってくるグローバルでOne SIM、One ContractといったグローバルIoT Enablerとしての環境整備だけではなく、これまでキャリア貸与が前提の従来型SIMやローミングSIMでは対応が困難だった海外での大容量通信や、遅延にセンシティブなアプリケーションの利用、ローミング規制国への対応等の課題を解決するキーテクノロジーとして「eSIM」に注目し、2017年7月から国内MVNO初として実証実験を開始しました(図1参照)。

図1 従来型SIMとeSIMの違い

 

モノ売りからリカーリングビジネスへの変革に対応する「eSIM」コンシューマモデル

GSMAで標準化された「eSIM」にはM2Mモデルと、コンシューマモデルの2つがあります(図2参照)。

図2 eSIM利用の2つのモデル

 

M2Mモデルは、コネクティッドカーや車載機を中心に一度セルラー回線を組込後、SIM の差替えが困難な場合においてもキャリアを変更できる利点から「eSIM」拡大の牽引役になっています。

一方で、GSMAの「eSIM」標準にはセルラー回線のアクティベーションが必要になった時点で行うコンシューマモデルも定義され、製造業を中心にモノ売りを主体としてやってきた事業者様が、LTEの常時接続を付加価値としてAdd-Onするといった、顧客接点を継続するリカーリングビジネスへ変革するフットスタンプとして注目しています。

SIMのセキュアエレメントを活用した新たな付加価値の提供

NTT ComがグローバルMVNx 基盤の環境整備を強化していく中、SIMカードの機能を活用した新たな付加価値提供についても検討しています。SIMカードは、セキュアチップに分類される耐タンパー性を備えたもので、セキュアエレメント(SE)と呼ばれる領域へアプリケーション(Javaアプレット)を追加することが可能です。「eSIM」の実証実験の中でも、セキュリティソリューションを展開するパートナー企業とSE内のJavaアプレットを使って、接続デバイスの正当性を担保する仕組みを試験しています。

その他の新たな付加価値の一例として、グローバルレベルでモバイルネットワークの品質状態を把握するソリューションの実現が考えられます。GPSなどの位置情報やデバイス・回線単位でのセルラー/Wi-Fi双方のネットワーク状態(セルIDやSSIDの接続状況、電波強度など)をSE内のQoSアプリへ蓄積し、定期的にサーバへ品質情報をアップロードさせることで、ネットワークの品質状態を時系列に、かつ、グローバルレベルで把握することができるようになります(図3参照)。

図3 ネットワークQoS情報のダッシュボード操作イメージ

 

今後国内外でIoTビジネスを展開するにあたり、通信環境が不安定な国などに対しても通信状況をお客さまと共有することができ、通信が安定している接続方式への変更や、通信キャリア自体を切り替えるなど、グローバルレベルでの安定した通信サービス提供の実現が期待できます。

MVNx=「格安SIM」イメージから脱却し、デジタルトランスフォーメーションを加速

NTT Comは、MVNO/MVNE 事業者として現在200万以上の契約回線を有していますが、MVNx =「格安SIM」というイメージから、サービスや品質に疑問を持つお客さまに対し、弊社で調達したSIM を提供することにより、価格だけではない付加価値を創出していきたいと考えています。例えば、SIMカードをスマホに挿入すれば、事前に導入されたJavaアプレットが起動して、必要な設定やアプリのインストールがスムーズに完了するようなソリューションが実現できるかもしれません。また、セキュアチップというSIMの特徴を活かして、自宅や自動車等のキーロックとしての利用の他、決済・公共カードの代用として利用するようなサービスも考えられます。お客さまのニーズに応じた新たなサービス展開により、更なるデジタルトランスフォーメンションに貢献していきます。

NTTコミュニケーションズ
ネットワークサービス部
オープンネットワークサービス部門
【左側】主査 堀 優
【右側】藤原 康行

 

MVNO/MVNE事業のサービス企画・開発業務に従事

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