●NTT 東日本ブロードバンドビジネス部の取組みPart 1

ブロードバンドフォーラム支援活動を通じたビジネストライアルについて


■はじめに

 ブロードバンドビジネストライアルにおける重要な課題の一つに、有料ビジネス検証があります。

 従来、ビジネス検証の中心は、技術的可能性の検証、いわゆる「できるかできないか」の検証であり、「売れるか売れないのか」の検証は、専ら、ユーザアンケートに頼るものでした。しかし、ビジネス検証のパートナー企業からは、実際にコンテンツを販売し、ビジネスが成立するかどうかの検証を行うことが、プラットフォームの検証を行う上での基本機能として要望される状況に至り、ビジネスインキュベーションにおいて、迅速に有料トライアルを行える仕組みの重要性が増しています。

 これを踏まえ、2002年7月、NTT 東日本は、迅速に有料ビジネス検証を行うことができる仕組みを整備するために、コンテンツホルダとともに任意団体である「ブロードバンドフォーラム」を設立しました。

■ブロードバンドフォーラムとは

 ブロードバンドフォーラムは、日本のIT産業を興隆させるブロードバンドモデルの確立を目指し、コンテンツプロバイダなどへのテストセンタ開放による事業立ち上げリスクの低減などを目的として、広く、ブロードバンドによる文化振興活動を支援するために設立された民間の任意団体です(図1参照)。


図1 ブロードバンドフォーラムによるビジネストライアルのイメージ

■ビジネストライアルの内容

・「カード屋」トライアルについて

 ブロードバンドフォーラム上で展開する有料ビジネス検証の第一弾として、ストックビジュアル国内最大手のアマナ社等とともに、eグリーティングカードのマーケットプレース「カード屋」トライアルを2002年10月30日に開始しました。このトライアルでは、eグリーティングカードを無料の画像つきメールとしてではなく、画像そのものでメッセージを伝える媒体として使用することを想定し、キャプションを画像につける従来にない楽しみをエンドユーザが味わえるように工夫しています。

 また、画像により、エンドユーザのキャラクタ、プロフィールを表現し、コミュニティ形成のツールとして提供する「コミュニティカード」、画像への投票に際して、投票券としてコンテンツを販売し、購入者へプレミアを提供する「投票券販売」など、従来の配信型コンテンツビジネスとは一線を画したさまざまなコミュニケーション型コンテンツビジネスのトライアルを行っていることが特徴です。

■コミュニケーション型コンテンツとは

 現在のブロードバンドサイトのほとんどは、動画コンテンツを配信し、エンドユーザが鑑賞する配信型コンテンツビジネスです。配信型コンテンツビジネスでは、コンテンツの内容が、ビジネスの成否を握っており、コンテンツコストと収益のアンバランスがボトルネックとなり、従来のB2C向けのビジネスモデルを見直す動きが顕在化しています。

 また、コンテンツの配信においては、旧来からの映画、TV、パッケージメディアという配信事業との競合を回避できず、ブロードバンドは、いまだ、コストおよび媒体価値の面で旧来のメディアを凌駕できているとは言いがたい面もあり、各社とも新たなビジネスモデルを模索している状況にあります。

 通信をビジネスのドメインとするNTT東日本として、新たなコンテンツビジネスモデルとして、注目しているのが、「コミュニケーション型コンテンツビジネス」です。コミュニケーション型コンテンツビジネスとは、双方向のコミュニケーションによりコンテンツ消費が発生するコンテンツビジネスであり、コミュニケーションの発生する場をコンテンツ消費の土台にするビジネスです。このビジネスの成否を握るのは、「場」を形成する「通信事業者=コミュニケーター」であり、NTT東日本の通信ノウハウをコアコンピタンスとして発揮することができます。

この続きをお読みになりたい方はこちらから雑誌をお買い求めください。
(こちらは2002年12月号になります)

(この続きの内容)
■おわりに

 

 


Copyright:(C) 2002 BUSINESS COMMUNICATION All Rights Reserved