●最新ブロードバンドソリューション●
総論 ブロードバンドサービスを支える技術とソリューション 1.CDNの主な機能 CDNは、リッチコンテンツに対して、ミラーサーバー(Mirror)やリバースキャッシュ(Reverse Cache)技術を用いてネットワーク上にオリジナルコンテンツと同一内容のデジタルコンテンツを中継するコンテンツサーバー(キャッシュサーバー/ミラーサーバー)を複数分散配置することによって、ネットワークトラフィックと配信サーバーへの要求の負荷分散を図る仕組みである。つまり、ユーザーのリクエスト毎に中継ネットワークを経由してセンターにあるオリジナルのコンテンツを配信するのではなく、ユーザーのアクセスに対して最適なキャッシュサーバー/ミラーサーバーが代理で配信することによって、中継ネットワークや配信サーバーのボトルネックを回避しているのである。 CDNは、コンテンツ提供者とユーザーの間に位置し、動画や音楽といったリッチコンテンツを途切れることなく、しかもストレスを感じさせないような待ち時間で届けるために、次のような機能を持つ[2]。 @リクエスト・ルーティング(ナビゲーション)機能 ユーザーからのアクセスを、多数のキャッシュサーバー/ミラーサーバーの中の最も最適なサーバーへと導く機能である。目標とするサーバーに誘導する代表的な方法として ・DNS ベースのリクエスト・ルーティング がある。 Aコンテンツ配信管理機能 キャッシュサーバーやミラーサーバーへ、デジタルコンテンツを配信・管理する機能である。ユーザーからの要求に基づき、コンテンツをロードし蓄積すると同時に、複数のキャッシュサーバー/ミラーサーバー間で通信を行い効率的・戦略的にコンテンツの配信制御を行う。なお、キャッシュサーバー/ミラーサーバーの配置方法として、ユーザーに近いところ(ホップ数の少ないところ)から配信可能にするためネットワークのエッジに多数のキャッシュサーバーやミラーサーバーを設置するエッジモデルや、IX(インターネット・エクスチェンジ)やiDCに集約して設置するセントラルモデルがあり、コンテンツ配信サービスが前提とするネットワークの形態により使い分けられている。 Bアカウンティング機能 課金やシステムの最適運用のためにコンテンツの利用状況を測定、記録、管理する機能である。 Cコンテンツ・ネゴシエーションとコンテンツ・アダプテーション機能 ユーザーの利用環境、デバイス、さらには属性・嗜好を調べ(ユーザーネゴシエーション)、それを基にコンテンツを調整する機能。ワンツーワンマーケティングの手法を取り 2.CDNのピアリング 複数のCDNを結合して大規模なCDNを形成しようというのがCDNピアリング(peering)の考え方だ。 そのためには、ピアリングするCDN間では、リクエスト・ルーティング、コンテンツ配信、アカウンティングのピアリングが必要になる。理想的は、点から面へコンテンツ配信を図るために、異種CDNを相互運用して、インターネットルーティングと同じような分散協調処理を実現することにあるといえる。 なお、非サーバー型のPtoP(Peer to Peer)によるデータ交換システムが話題になったが、CDNにおいてもPtoP
型CDNがでてきている。米国のChainCast社、Kontiki社の他、わが国でも「シェアキャスト」のような、PtoP型ストリーミング配信ソリューションが開発されている。さらに、PtoPを基本にインターネット上の共有空間を自由自在に作り出すことや、作り出した空間を利用者の要望に応じて簡単に変化させたり、映像や音声などのストリーミングデータや各種アプリケーションをリアルタイムに共有することを目的にした「SOBAプロジェクト」(SOBA:Session
Oriented Broadband Appli-cations)が、京都大学・中島玲二教授をリーダーに、慶應義塾大学、東京工業大学、東京大学、早稲田大学の各研究グループとオムロン、NTTコムウェアの産学協同プロジェクトとして進められている。 この続きをお読みになりたい方はこちらから雑誌をお買い求めください。 (この続きの内容) |
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