●トレンド●
CTCが大幅なシステム管理コストの削減を実現する
統合型ハイエンドLinuxサーバーを国内で初めて販売


■大規模システムのTCO削減に対するニーズが急増


BladeFrameTM の概観
(左:背面、右:前面)

 昨今、企業における情報化投資のニーズは、熾烈な企業間競争の中で、他社に勝るコンピテンシを確立するために、より多くの先進的で高度かつ複雑なアプリケーションを導入している。しかし、情報化投資の予算は横ばいであることから、システムの運用にあたり、より少ない予算でより多くの業務を成し遂げる必要性を感じ、リソース利用効率の低さや柔軟性の欠如、システム管理負荷の高さ、ダウンタイムの長さなどが改めて課題として注目されるようになり、システム管理コスト(TCO:Total Cost of Ownership)の削減に主眼に置く企業が増加してきた。とくにシステムの規模が大きいほど、ハードウェア/ソフトウェアの管理・運用コストが莫大であることから、こうした傾向が顕著に表れているのである。

 伊藤忠テクノサイエンス梶i以下、CTC)では、このような大規模システムにおけるTCO削減に対するニーズに対応するために、従来のサーバー製品と全く異なったアーキテクチャーにより高い信頼性と高度な運用機能を実現した、イージェネラ社の統合型ハイエンドLinux サーバー「BladeFrameTM」(ブレードフレーム)の日本国内における包括的な販売契約を締結し、国内初の販売代理店として同製品の販売を開始した。

■革新的なアーキテクチャーによりシステム導入コストを大幅に削減

 現在、サーバー市場を賑わしているブレード型サーバー(第1世代)は、主にWebサーバーなどのフロントエンドや軽量の業務サーバー等をその適用領域としており、基幹データベースサーバー等のハイエンド領域への適用は「次世代」の課題といわれている。それは、第1世代ブレード型サーバーは、「サーバーを小型化し、形状を揃え、高密度の集積化を可能とする」ことを設計目標としており、イージェネラ社がもつようなVirtualization(仮想化)機能をもたないことに起因している。

 一方、イージェネラ社が提供するディスクレス・ブレード、RDMAベースの高速ブレード間通信、PAN(Processing Area Network)アーキテクチャーによる管理機能をもつBladeFrame は、これまでのサーバーとはまったく異なったアーキテクチャーにより、高い信頼性とTCOの大幅な削減を実現する統合型ハイエンドLinuxサーバーである。OSとしてはRedHat Linuxを、CPU はIntel XeonTMを採用している。主な特徴は次の通りである。

24枚のブレードにより最大構成96CPU、搭載メモリ288GBまで拡張可能
 OSにはRedHat Linux OSを採用。1枚のブレードにIntel社製プロセッサXeon2.0GHzCPUを4個、メモリは最大12GBまで搭載可能。このブレードを専用ラックに最大24枚収納することで、1台のスペックは最大96CPU、メモリは288GBまで拡張が可能。管理および仮想化のためのソフトウェア(PANマネージャ)がすべてのブレードを管理するとともに、仮想LAN/SANスイッチを提供する。これら24枚のブレード間の通信には、Intel社をはじめとした企業によって設立された業界団体が推進するRDMA(*)ベースの次世代インタフェースを活用し、バス速度2.5Gbpsの超高速通信を実現している。
*RDMA :低負荷、低遅延、高速の通信を可能とする次世代プロトコル標準。インフィニティバンド、10ビットイーサネット等とともに使用するなどの用途が見込まれている。実際の策定メンバーとして参加している企業は、Adaptec、EMC、Intel、Broadcom、Hewlett-Packard、Microsoft、Cisco、IBM、Netwrok Appliance。

革新的なアーキテクチャーによりシステム導入コストの大幅削減を実現
 BladeFrameTM の各ブレードはディスクレス構成である。OSやアプリケーション、データなどはすべて外部接続されたRAIDディスク上に置かれる。BladeFrameTM上ではサーバー、ネットワーク、ストレージはすべて仮想化され、PANマネージャソフトウェアにより制御される。このソフトウェアがBladeFrameTM内の仮想サーバーを各ブレードに動的に再配置することで、1台のBladeFrame上にWebサーバー、アプリケーションサーバー、データベースサーバーといった3層構造を仮想的に展開する。これにより、サーバー台数や設置場所の大幅な削減をはじめ、CPU利用率を従来の2倍以上にまで引き上げることで、ハイエンドサーバーによるシステム構成と比較して2分の1以下のコストで新規導入を図ることが可能となった。

フェイルオーバー機能により高可用性を実現
 フェイルオーバー用のプールブレードを設定しておくことで、仮に1枚のブレードに障害が発生した場合でも、業務やサービスを停止することなく、PANマネージャソフトウェアがプールブレードに自動的に業務を移行する。さらに、ディスクレス構造などにより、ブレード本体の部品点数を最小化し、障害発生率を最小限に抑える。これにより、ミッションクリティカルな業務やサービスに対しても高い信頼性を発揮することができる。

拡張性、汎用性に富んだLinuxOSを採用
 オープンソースOSであるLinuxは、ネットワーク機能やカスタマイズに対する柔軟性に加えて、高いコスト効率が注目されている。さらに近年、Linux上で稼動するアプリケーションが急増したことからフロントエンドからバックエンドへとニーズが拡大している。BladeFrame はRedHat LinuxアドバンストサーバーOSを採用し、高スペックかつ高可用性を実現するハードウェア、ソフトウェアとの組み合わせにより、業務の基幹系システムなどのミッションクリティカルシステムにLinuxOS搭載システムを求めるニーズにも対応している。

米国金融機関をはじめとした豊富な導入実績
 イージェネラ社は、2001年秋から米国にて同製品の販売を開始しており、すでにクレディ・スイス・ファースト・ボストン証券会社、J.P.モルガン・チェース・アンド・カンパニーなどの金融機関をはじめ、大手情報サービス事業者や政府機関、医療法人など、約100システムの導入実績がある。


図1 BladeFrameTMの特徴

 伊藤忠テクノサイエンス
 営業部門Linuxセールスチーム
 チーム長 浦川 隆氏

■大規模Linuxビジネスの領域に本格参入

 CTCは、今回のイージェネラ社との提携に先行して、2002年11月に「Linuxセールスチーム」を新設し、システム検証やマーケット調査を実施してきた。現在、同セールスチームを中核とした体制は、SE、営業を含めて約30名となっている。今後の展開について、同セールスチームのチーム長である浦川隆氏は、次のように語っている。

 「今後は、大手システムインテグレーターをはじめ、分散する複数のサーバーを統合することでTOCの削減を考える金融機関や大規模データセンター等のさまざまな業種のユーザーに対して、BladeFrameを核としたシステムの販売を積極的に展開していきます。また、Linuxに強みを持つISV(独立系ソフトベンダー)やシステムインテグレーターなどのパートナー企業との協力のもと、LinuxOS対応のビジネス・アプリケーション開発を強力に推進していきます。障害対応や問い合わせなどの保守・サポートについては、CTCグループでフィールドサービスを行うCTCテクノロジー鰍ェ担当します。30名のコアチームを中心に全国約80ヵ所の保守・サポート拠点の技術者とともに、全国サポートを展開し、CTCが現在注力しているサービス事業とも連携させて、24時間365日の監視サービス、運用サポート、ユーザー教育などの強化を図って参ります。

 また、今回の大規模Linuxビジネスへの本格参入に伴ない、社内のLinux関連技術者の育成にも注力していく。具体的には、Webアプリケーションやデータベース構築ビジネスなどで培った技術をもつSEをはじめとして、2003年度中にSolarisとLinuxの両方に対応可能な技術者を100名に増やす。

 さらに、2003年4月以降には、CTC、イージェネラ社、パートナー各社と共同で「エンタープライズLinuxソリューションセミナー」を開催し、最新の製品情報や導入事例、システム性能評価の発表、BladeFrameTMでのソリューション紹介等を行っていく。

 CTCでは、以上のような取組みを通じて、大規模Linuxビジネスの領域で、コンサルティング、SIの積極的な展開を図りながら、2003年度30億円、3年後の2005年度には100億円の売上目標をめざしていく。


図2 大規模LinuxビジネスにおけるCTCの販売・保守サポート体制

<お問い合わせ先>
伊藤忠テクノサイエンス(株)
Linuxセールスチーム
TEL:03-5226-1620
E-mail:egenera@ctc-g.co.jp

 

 


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