●特別企画・フレッツサービスの広域化がユーザにもたらすメリット

 東日本電信電話
 サービス開発部長
 河辺 侯一氏

地域IP網広域化の意義
−利用者の利便性向上を第一に考えた業務拡大−


■県間フレッツサービスの提供で、企業・利用者の利便性が向上

 一方、NTT東西会社は、フレッツサービスについて、インターネット接続に加え、企業通信やコンテンツ配信、映像コミュニケーション等に利用できる独自の付加価値サービスを提供している。これが、今回の広域化の対象になっている「フレッツ・オフィス ワイド」、「フレッツ・グループアクセス」(NTT東日本)、「フレッツ・グループ」(NTT西日本)、「フレッツ・コネクト」(NTT東日本)、「フレッツ・コミュニケーション」(NTT西日本)、「フレッツ・オンデマンド」(NTT東日本)、「配信代行サービス」(NTT西日本)」等だ。

 図2 にフレッツサービス広域化に伴うサービスイメージを示す。


図2 フレッツサービス広域化に伴うサービスイメージ

 「フレッツ・オフィス ワイド」は、これまでの同一都道府県内での通信から、地域IP網の県間接続によって、都道府県をまたいでの通信を可能にしたサービスで、例えば、本社が東京にあり、社員宅が東京、神奈川、千葉、埼玉にある場合、従来の「フレッツ・オフィス」では、東京の社員宅のみ本社にある社内イントラネットにリモートアクセスすることが可能であったが、「フレッツ・オフィス ワイド」を利用することによって、新たに、神奈川・千葉・埼玉の社員宅からも東京の本社にある社内イントラネットにリモートアクセスすることが可能となるわけだ。

 したがって、県をまたいだ複数の拠点を結ぶ広範囲な企業ネットワークが安価に構築できることから、経済性、利便性ともに大いに高まることになる。「フレッツ・グループアクセス」(NTT東日本)、「フレッツ・グループ」(NTT西日本)は、小規模ながら、特定のグループでのセキュアなIP通信が複数の県をまたいで行えるようになる。「フレッツ・コネクト」(NTT東日本)、「フレッツ・コミュニケーション」(NTT西日本)は、広域化されたエリアのフレッツ・アクセス・サービス利用者同士でテレビ電話のような映像通信が行えるようになる。「フレッツ・オンデマンド」(NTT東日本)、「配信代行サービス」(NTT西日本)」はビデオ等のコンテンツ配信が行えるサービスで、配信エリアの拡大で、コンテンツ提供事業者が用意する様々なコンテンツを県をまたいで視聴することが可能になる。これにより、コンテンツ提供事業者にとってビジネスチャンスが拡大するほか、利用者の利便性も向上する。

 フレッツサービスの広域化について、NTT東日本・サービス開発部の河辺侯一部長は次のように語っている。

 「今回のフレッツサービスの広域化は、お客様第一主義の考えに則して、いずれもエンドユーザ様、コンテンツ事業者様等、使う側からの、県をまたいで広く通信を行いたいという強い要求に応えるものです。併せてNTT東西会社としても、県ごとにばらばらにあったIP網がつながるということで、トータルのネットワークのコネクティビティ(接続性)が向上し、より効率的なビジネスが展開できることになります。

■競争と協調でグループ全体としてより良いサービスの提供が可能に

 地域IP網の広域化で、NTTグループ内競争を懸念する声もあがっているが、今回の県間サービスは、あくまでもIP通信サービスの分野である。確かに、IP通信の世界では、競争のケースはあると思われる。しかし、IPサービスはまだまだ新しい領域である。競い合って付加価値の高いサービスを開拓・提供することで、ユーザの選択肢は広がる。また、競争しながらも、ある部分では協調することにより、最終的にはNTTグループ全体としてより良いサービスを提供できるようになるものと思われる。

 

 


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