写真1 セミナー会場
セミナーレポート@
Webサービス時代のシステム統合を考える
−HITACHI Cosminexusフォーラム・セミナー開催−


■予想を上回る多くの来場者が参加


 鞄立製作所(以下、日立)が主催する「Cosminexusフォーラム・セミナー」が、3月6日、東京・青山ダイヤモンドホールにて「Webサービス時代のシステム統合を考える」をテーマに開催された。

 近年、企業内、そして企業を越えたシステム統合が重要な課題としてクローズアップされており、Webサービスに対する注目も高まっている状況の中で開催された今回のフォーラム・セミナーに対する関心は高く、会場には主催者側の予想を上回る多くの来場者が詰めかけていた。

 セミナーは、開会の挨拶、基調講演に続き、2つの会場に分かれて、「最新技術動向と日立の提案」と「ケーススタディ」についてのセッションが行われた。「ケーススタディ」では、次のようなCosminexusと連携製品を用いたシステム構築事例が紹介された。

@竃村総合研究所の八木晃二氏は、「社会・IT環境の変化とこれからのシステムアーキテクチャー」と題し、同社が提案するソリューション事例等を紹介した。A鞄立エイチ・ビー・エムの平田重樹氏は「芥BMにおけるBPRに基づく販売・購買システムの再構築」と題し、基幹業務プロセスの統合化・開発ノウハウとWebアプリケーション構築事例を紹介した。B潟jッセイコムの高橋修氏は「電子自治体サービスにおける施設予約システムの紹介と構築事例」と題し、政府のe-Japan計画を機に発展している公共サービスとそれを支えるWebアプリケーションのソリューションノウハウを紹介した。

 また併設された展示会場では、Cosminexus Version5の製品デモンストレーション(写真2参照)をはじめとした、各企業による連携ソリューション事例の展示や、オープンシアターによるミニセミナーが行われた。


写真2 Cosminexus Version5の製品デモ

■環境の変化に柔軟に対応する「Adaptive Enterprise」を目指す

 システム統合をいかに進めるべきかについて、「Webサービス時代の基幹システム統合を考える」と題しアイ・ティ・アール代表取締役/米国META Groupアナリストの内山悟志氏による基調講演が行われた。

 講演では、激変する現在のビジネス環境に柔軟かつ迅速に対応していくためには、適応性の高いITインフラの構築とシステムおよび業務の連携と統合が強く求められていること、そして、経営の高度化を目指すIT活用の本質についての解説が行われた。内山氏は、まず企業組織を生命体に例え、「外部の情報を収集して、それに基づいて計画を立てて行動するような計画的行動と、人体が危険を察知した時に反射神経によって回避するように、問題が発生したことをいち早く感知し自動的に解決策が実行されるような環境変化に応じた『適応力の経営(Adaptive Enterprise)』が必要である」と説明した。また、Adaptive Enterprise実現のためには、「AdaptiveなITインフラ、つまり、リアルタイムで低コストな連携性や新規システムの迅速な組み込みが可能なITインフラが不可欠である」と語っていた。

 次に内山氏は、欧米の企業社会では、IT予算の内システムの統合関連にかかる割合が半分を越えたことに言及し、「今後、企業内および企業間のシステム統合の必要性がますます高まるだろう」と述べ、システム統合の基本コンセプトと留意点について説明した後、激変する今日のビジネス環境の中で、ITを活用して企業内および企業間のビジネスプロセスの価値を高めていくためには、「システム統合にとどまらず、ビジネスプロセスの統合を目指していくことが求められ、このビジネスプロセス統合には、Webサービスの利用が非常に有効だ」と述べ、講演を締めくくった。


写真3 内山悟志氏による基調講演

■Webサービスの最新技術動向

 基調講演に続き、「最新技術動向と日立の提案」に関する3つのセッションが行われた。最初のセッションでは、日立・ソフトウェア事業部主任技師の大場みち子氏(工学博士)による「Webサービスの最新技術動向〜Webサービスインテグレーション」と題した講演が行われた。この中で大場氏は、Webサービスのビジネス・インパクトについて次の3点をあげ、システム統合においてのWebサービスへの期待を語った。

@所有から利用へのITマネジメント:インターネット上に公開されたWebサービスを利用することで素早くシステムを構築することができる。

Aシステム統合の効率化:
SOAP/XML等の標準技術を利用して、アーキテクチャーやプラットフォームのいかんにかかわらず、社内外のシステムの効率的な統合が可能。

Bコアコンピタンスを活かした新規ビジネス開拓:
強みのあるビジネス分野のシステムをWebサービス化し、他社に提供することで新たなビジネスを開拓する。

 次に大場氏は、SOAPやWSDL、UDDIといったWebサービスの基盤技術がほぼ安定し、SOAPミドルウェア製品が多数登場していることと、上位のIntegration等の基盤技術が着実かつ急速に進歩していることに言及し、Webサービスがシステム統合の基盤になりつつあることを説明した。そして今後は、アプリケーションに近い課題を併行して解決していく必要があること、対象に応じた基盤技術の選択とノウハウの蓄積が必要であることを指摘した。

■“変革の時代の申し子”

 2番目のセッションでは、日立・ビジネスソリューション事業部の湯浦克彦氏による、Webサービス時代の企業システム等についての講演が行われた。この中で湯浦氏は、「Webサービスは企業システムを、迅速に、低コストで、柔軟に拡張していく優れた手段、いわば変革の時代の申し子である」と述べ、Webサービスの価値を再認識させた。そして、標準化と顧客指向の開発体制を財務諸表の標準化の事例とともに紹介した。また、システム設計に関しては、特別今までと違うシステム設計ではなく、EAIやレガシー解析等、正統派システム開発に立脚することの重要性を説明した。

 3番目のセッションでは、日立・ソフトウェア事業部の山田健雄氏による、Cosminexusによる各種コラボレーション事例と最新機能の紹介が行われた。Cosminexus連携商品は2003年2月現在、43プロダクトあり、通信をはじめ金融、流通、自治体と幅広い分野で適応されていることが紹介された。

 

 


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