●NTTデータの金融サービス向けビジネス戦略

 劾TT データ
 金融ビジネス事業本部
 金融戦略情報ビジネス
 事業部
 第二金融戦略営業部
 保険企画担当 部長
 影山 五良氏



【保険会社共同ゲートウェイ
操作性の統一・セキュリティの強化を図る生損保業界の新インフラ


■生損保業界を結ぶ共同ゲートウェイ


 生損保業界は、これまで損保VANプロトコルや各社個別のシステムインタフェースを利用して代理店を結び業務を行ってきたが、Webベースでの展開が主流の時代となり、新たな共通インフラ構築のニーズが高まってきていた。従来の方式だと、複数の保険会社と取引のある代理店の場合、それぞれにIDを発行し、接続する保険会社ごとに毎回ログインする必要があったが、共同ゲートウェイでは、共通IDによって一度ログインすると、各保険会社に容易に接続できるようになり、操作性が著しく向上された。

 NTT データは、このような保険販売代理店と複数の保険会社のシステムとを接続する際の操作性の統一やセキュリティの強化を図ることを目的に、保険会社各社に呼びかけを行い、「保険会社共同ゲートウェイ推進協議会」を設立し、標準仕様を策定した。そしてそれを基に2002年4月には「NTTデータ保険会社共同ゲートウェイ(以下、共同ゲートウェイ)」としてサービスを開始した。

同システムの大きな柱は、統合認証機能である。代理店の利用者は共同ゲートウェイ用のIDとパスワードを入力した後、アクセスしたい保険会社を選ぶ形になっている。このIDの発行も、従来は各保険会社によって手続きが異なっていたため、代理店側での新規利用者のID申請や異動時の変更を行う場合にはそれぞれに申請する必要があったが、代表会社が標準事務に則って取りまとめを行い、共同ゲートウェイと各保険会社のシステムがスムーズに利用できるように処理が一本化された。また、契約情報などのデータファイルを効率的に転送する機能もあり、保険会社は共同ゲートウェイに向けてまとめて一度だけファイルを転送すれば、そこから各代理店に振り分けが行われる。さらに、データをWebベースの資料にして代理店の閲覧を可能にするようなサービスを行っているASP事業者へは、各保険会社から転送されたファイルを取りまとめて転送する機能もある。

 これらの処理をセキュアに行うために、共同ゲートウェイはクローズIPネットワークによってセキュリティを確保、各種認証や不正アクセスの防止などが施されている。(図1参照)


図1 保険会社共同ゲートウェイの概要

■保険会社、銀行などのほとんどが利用するシステムに

 保険の銀行での窓口販売において、損害保険は2001年4月に、生命保険は2002年10月にそれぞれ解禁になり、多くの銀行がこの業務に参加したが、従来からNTTデータは様々なネットワークシステムにおいてほぼ全ての銀行とのつながりがある。今回の窓販解禁にあわせても共同ゲートウェイに都銀、信託、地銀、信用金庫等のほとんどが接続され、NTTデータはこれらの金融機関と保険会社をつなぐシステムを構築するのにマッチしたベンダーだったというわけである。

 稼動しはじめた共同ゲートウェイは関係各社に受け入れられ、保険会社側としては、生命保険会社は、日本生命や第一生命、住友生命をはじめとする22社、損害保険会社も東京海上や損保ジャパン、三井住友海上をはじめとする12 社、そして3社のASP事業者が利用している。また代理店側へのID発行はすでに約7万程度発行済みで、このうちの大半は各担当者に個別IDを付与している大規模金融機関のものとなっている。つまり、保険商品の窓口販売に参加している金融機関のほぼ全てがこのシステムを利用しているということになる。また、一般代理店もすでに約3000社が利用し、今年度末には5000 社程度まで利用が拡大する予定である。

 これまで損害保険は窓口販売、生命保険は訪問販売というのが主要なチャネルになっていたが、最近では生命保険の窓口販売も増えつつある。需要のあるところで活用されるシステムだといえる。

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(こちらは2003年2月号になります)

(この続きの内容)
■金融ゲートウェイを視野に入れた今後の展開

 

 


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