●次世代キャリアインフラの基盤技術、MPLSの今後

【東陽テクニカ】
大規模キャリアネットワークをエミュレート
IP-VPNネットワーク・テスト・ソリューション
SPIRENT Communications社SmartBits/AX4000テストシステム


■企業ネットワークを支えるIP-VPNサービス

 近年、家庭では12MbpsのADSLや100MbpsのFTTHなど、これまでのアナログモデム接続やISDNとは比較にならないほど高速化されており、アクセス回線のブロードバンド化が進んでいる。また企業においては、これまでの企業間ネットワーク接続の主流であった専用線接続サービスから、離れた拠点を高速でかつ安価にネットワーク接続するIP-VPNサービスや広域イーサネットサービスへと変貌をとげている。

 IP-VPNサービスではプロトコルをIPに限定しているが、管理面ではキャリア側で管理してくれるため、非常にシンプルになっている。回線速度はBRI、PRI、ATMなど比較的低速な回線から選択できる。一方、広域イーサネットサービスではレイヤー2レベルでのネットワークを提供されているため、多様なネットワークを構築することも可能である。反面、ユーザーがネットワークを構築する際には十分なスキルが必要とされる。回線速度はEthernetが主流である。最近では用途に応じて両サービスを利用する企業も増えつつある。これらのサービスはユーザーごとにVPNという形で帯域が提供され、あたかも独自のネットワークであるかのように手軽に利用できるというメリットがある。これらのサービスを実現する基盤技術として注目を浴びているものに、「MPLS(Multi Protocol Label Switching)」がある。企業間を結ぶプロバイダ・ネットワークでは、このMPLSとルーティングプロトコルを組み合せることによりVPNを実現している。

 このようなネットワークの発展に伴い生じてくるさまざまな課題を解決するには、緻密な評価、測定、解析に基づいたネットワーク設計と機器の導入が不可欠である。


図1 SmartBits/AX4000テストシステム

■大規模仮想ネットワークを実現TeraRouting Tester

 SPIRENT Communications社が提供するルーティングプロトコルテストソリューションの一つであるTRT(TeraRouting Tester)ソフトウェアは、SmartBitsの次世代モジュールTeraMetricsカードを使用することにより、大規模仮想ネットワークをエミュレーションすることができる。TeraMetricsカードにはコントロールプレーン専用Linuxを実装しており、ルーティングプロトコル、IPsecやMobileIPなどの各種プロトコルに対応できるようになっており、10 Mbpsから10Gbpsまで幅広い回線スピードに対応している。また、現在対応しているルーティングプロトコルには、BGP-4/BGP-4+/OSPF/RIP/RIPng/IS-IS/IS-ISv6がある。

 このTRTにより、SmartBitsの各ポートを被試験機器(DUT)に接続している複数のルータとして振舞わせることができる。これらの仮想ルータはDUTと隣接関係を確立し、ルーティング情報を交換しながらコントロールプレーンやデータプレーンの性能試験を行うことができる。


図2 TeraRouting TesterとTeraMetricsモジュール

【Flap Schedule機能】

 試験項目としては、ルート、セッション、リンクフラッピング試験に加え、HelloパケットやKeep Aliveパケットの送信中止など異常系の試験も可能になっている。これらの試験はFlap ScheduleとしてInterval等を自由に定義でき、実ネットワークで発生するさまざまなネットワークイベントを繰り返し試験することができる。


図3 Flap Schedule設定例

【フォワーディング評価機能】

 データプレーンのフォワーディング性能試験では、アドバタイズされたルートに対するテストデータがユーザー指定のフレームレート、バーストサイズで送信される。アドバタイズされたルートへのデータ送信は、オートコンフィグレーション機能によりデータトラフィックへのインポートが容易にできる。送信されたトラフィックの解析結果は、エクセルによりリアルタイムでグラフ表示される。また、データ解析のトラッキング方法としてPrefix長、Flap Status、ユーザー定義のグループごとにパフォーマンス解析が可能である。収集できる解析結果としては、以下のようなデータの収集ができる。

リアルタイム解析結果表示
・受信フレームレート
・遅延グラフ
・レポートカウンタ
・セッション、Adjacency、エミュレートしたルータごとのルーティングプロトコルカウンタ
・Flapイベントログ

測定結果表示
・送受信フレームレートカウンタ
・遅延時間グラフ
・ストリームごとのフレーム解析
・ポートカウンタ

【トポロジーエディタ機能】

 TRTソフトウェアには、複雑なネットワークトポロジーを簡単に設定できるOSPFトポロジーエディタ機能が用意されており、評価に必要なネットワークトポロジーをオブジェクトベースのエディタ画面に自由に作成できる。作成したグラフィカルなトポロジー図は、インポートすることによりLSA情報としてリストされ、SmartBitsからDUTに対して送信される。これにより、大規模な仮想ネットワークも作成可能で、コントロールプレーンの負荷試験としても十分に対応できる機能を備えている。また、必要なLSAタイプ、エリア情報を入力するだけで自動的にネットワーク構成図を作成してくれるLSAジェネレータ機能も実装している。


図4 トポロジーエディタ

 これらの機能を使用してコアルータの性能試験を長期にわたり行うことができ、安定性の確認などに有効なソリューションを提供することができる。

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(こちらは2003年1月号になります)

(この続きの内容)
■IP-VPNネットワークの接続性確認QoSパフォーマンス評価試験

 

 


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