●NTT東日本ブロードバンドビジネス部の取組みPart2

ブロードバンド時代に対応したコンテンツ流通市場の創出に向けて


■ブロードバンドにおけるコンテンツ流通の現状

 急速な進化を遂げているブロードバンド市場において、コンテンツの違法複製や不正利用に対する危惧、また、課金・認証システムの使い勝手の悪さや著作権の保護・管理の煩雑さがコンテンツの流通を阻んできました。コンテンツの著作権保護・管理を正確・安全に行わなければ、著作権者からの利用許諾を得られず、ブロードバンドネットワークにコンテンツを流通させることは困難です。

 NTT東日本、NTT-ME、日本テレビの3社は、正確・安全な著作権の保護・管理の仕組みを提供する、オープンで中立なコンテンツ流通市場の確立を目指して、2000年9月に、潟rーバット企画(2001年7月、商号を潟rーバットに変更)を設立しました。また同年10月にはブロードバンドビジネスフォーラムを設立し、約250社のコンテンツホルダ、配信事業者(ISPなど)、システムベンダなどとブロードバンドにおけるコンテンツ流通の仕組みづくりに取り組んできました。

■ビジネス検証(配信トライアル)

 ブロードバンドビジネスフォーラムでは、2001年5月からコンテンツホルダや配信事業者、ベンダなど、約90社の参加により、インターネットに向けた映像コンテンツ配信のビジネス検証(配信トライアル)を行いました。その結果、「著作権保護技術がまだ不十分であること」、「著作権等の取引きの仕組みが確立していないこと」、「有料でのネットコンテンツ視聴が普及していないこと」などの課題が明確になりました。

■コンテンツ流通市場の創出に向けて

・著作権の保護・管理の仕組み

 潟rーバットでは、コンテンツホルダが危惧しているコンテンツの違法複製や不正利用、著作権保護・管理の煩雑さを解決するため、コンテンツホルダから提供されたコンテンツをデジタル化し、コンテンツホルダの要望に応じて、電子透かしを挿入する、DRMによる管理を行うなど、コンテンツの権利保護・管理を行い、コンテンツが流通しやすい環境を提供しています。これにより、コンテンツホルダは違法複製の心配がなくなることで、安心してブロードバンドコンテンツの提供ができるようになります。一方、配信事業者は、豊富なコンテンツを著作権保護・管理の問題に煩わされることなく配信できます(図1参照)。コンテンツの視聴料は、レベニューシェア方式で分配されるため、コンテンツホルダ、配信事業者に対し、利用数データに基づいた透明で迅速な収入分配が可能になっています。


図1 ビーバットを用いたコンテンツ流通市場

 ブロードバンドにおけるコンテンツ配信の環境はまだ未整備ですが、総務省の著作権等のクリアランスシステム開発・実証、日本経済団体連合会のブロードバンドコンテンツ流通研究会が取り組んでいる著作権取り引きの仕組み作り等、環境整備に向けた動きが活発化しています。

・ブロードバンド市場の啓発
 インターネットユーザに対してブロードバンドでのコンテンツ配信の認知度を向上するためには、魅力あるブロードバンドコンテンツの存在をアピールすることが重要です。潟rーバットはエイベックスグループと協力して、2001年7 月に浜崎あゆみのインターネットライブを実現しました。このライブ配信は、S 席をブロードバンド(384 Kbps)として1,600円で9,000人分、A席をナロードバンド(56 Kbps)として800円で15,000人分用意した日本最大規模の有料ストリーム配信で、これ以降、他の事業者により活発にライブのネット配信が試みられるきっかけとなりました。ライブ配信では同時に多数のアクセスが長時間持続するため、ネットワーク負荷が重く品質を担保するのが困難ですが、チケットを前売り形式にすることでネットワークの容量に見合った視聴数制限を行い、高品質なライブ配信を実現しました。日本で初めて本格的に有料でのブロードバンドライブ配信を成功させ、メディアにも大きく取扱われたことで、インターネットユーザにも、またコンテンツ関連の業界関係者にもブロードバンドの可能性をアピールできたと思います。

 現在、潟rーバットは、27チャンネル、約200タイトル程のコンテンツをほぼひと月ごとに更新しながら配信しています(図2参照)。コンテンツ配信に際し、ジャンルやコンテンツの提示の仕方、ビットレートや画質、インタフェース画面の使い勝手、Web サイトのデザイン、配信期間、料金など、コンテンツの視聴を普及拡大させるための最適な方法を追求してきました。また、配信事業者とも密接に連携し、各配信事業者の会員向けメールでのコンテンツ紹介や特集ページの作成など、告知活動により、さらにブロードバンドコンテンツ配信の認知度を向上させる取り組みも実施しています。


図2 スーパーストリームTV (http://www.b-bat.tv

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(こちらは2003年1月号になります)

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