●NTT東日本ブロードバンドビジネス部の取組みPart2

放送のデジタル化に伴う通信プラットフォーム事業の展開


■放送のデジタル化


 2000年12月1日よりBSデジタル放送が開始されて以降、1年半で約158万台のBS デジタル放送受信機が市場に出荷され、各家庭に普及しつつあります。また、2002年4月よりBSデジタル放送を行う衛星と同位置(東経110°)の通信衛星による110°CSデジタル放送も順次、サービスが開始されました。さらに2003年からは、地上波のデジタル化(3大都市圏から)が開始される予定です。このように放送のデジタル化が着々と進められています(図1参照)。


図1 放送のデジタル化のスケジュール

 デジタル放送の特徴として、「高画質」、「多チャンネル」、「双方向性」などがあげられます。このうち「双方向性」とは、従来の放送では、放送事業者から情報(映像、音声など)を視聴者に一方的に配信するものでしたが、デジタル放送受信端末(以下、デジタルテレビ)に通信回線を接続することにより、視聴者からも情報を送ることができる機能のことです。この機能を実現するために、視聴者からの情報を伝えるための通信インフラの提供、およびそのトラヒックの集約・トランザクション処理を行う通信プラットフォームを構築する必要があります。以下では、これらに対するNTT東日本の取組みを紹介します。

■通信プラットフォームの仕組み

 放送のデジタル化に伴い、テレビがネットワークに接続されます。各家庭に普及している現行の地上波放送受信用アナログテレビは約4,500万台ですが、これらのアナログテレビがデジタルテレビに置き換わり、通信回線によりネットワーク化されることで、通信トラヒック収入を得ることが可能となり、また、新たなビジネスも生まれてくると予想されます。現に、パソコンがネットワーク化されたことにより、さまざまな情報を収集することが可能となり、eコマースなどさまざまなビジネスが生まれ、ビジネスチャンスが拡大しています。パソコンと比較して普及台数が格段に多いテレビがネットワーク化されれば、その影響は計り知れません。さらに、デジタルテレビの他にも家電の情報端末化に関する開発が家電メーカ各社で行われており、デジタルテレビはこれらの情報家電に先駆けてネットワーク化され、大きな付加価値を創造する可能性があります。

 このようなデジタルテレビの可能性の一端として、現在、BSデジタル放送で行われている双方向サービスのイメージを表したものが図2です。例として、オンラインショッピングの場合を用いて説明します。放送事業者から配信されるテレビショッピング番組に連動するデータ放送により、商品情報や商品の注文フォームを配信します。視聴者は、リモコン操作により商品情報を確認し、注文フォームに従って購入したい物を注文します。注文内容は、通信回線を通して、トランザクションセンタに集約され、必要な集計処理等を行い、サービスプロバイダ等に届けられます。サービスプロバイダ等は注文された商品を物流ルートにのせて、注文した視聴者のもとに届けます。このように、視聴者はデジタルテレビのリモコン操作のみで気に入った商品を手に入れることができるのです。


図2 全体サービスイメージと想定市場

 このような双方向サービスの他、ペイ・パー・ビュー(PPV)などの有料放送を行うための仕組みとして、登録した視聴者のみに番組を提供する限定受信管理や、視聴者情報を管理する顧客管理を行う必要があります。そのため、これらの業務を行うためネットワークやシステムを用いた通信プラットフォームを構築し、提供することが必要となりました。

■通信プラットフォームの構築、提供

 2000年、このような仕組みを提供する通信プラットフォーム事業者として、NTT東日本が中心となり、NTTグループ各社のノウハウを結集するため、各社が出資をするNTTメディアクロスを設立しました。

 NTTメディアクロスでは、主に

・通信回線を通じて視聴履歴情報を収集し、有料放送事業者に提供
・限定受信方式用IC カード情報のデータベースへの登録等の情報処理
・双方向サービスのトランザクション処理


を業務としており、すでにBS デジタル放送および110°CS デジタル放送において、視聴者と各放送事業者を結ぶ最も重要な通信プラットフォームを構築し、サービスを提供しています。

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(こちらは2003年1月号になります)

(この続きの内容)
■放送関連サービスの事業展開

 

 


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