●NTT東日本ブロードバンドビジネス部の取組みPart2
 東日本電信電話株式会社
 理事 法人営業本部
 ブロードバンドビジネス部長
 清水 博氏


INTERVIEW】
B2BからB2B2Cへ
着実な努力の積み重ねが大事


■世界一素晴らしいインフラ上でいかにして知恵を出していくのか


―はじめに、昨今のブロードバンド市場の状況と各企業の取組みについて、どのように捉えていますか。

清水 この1年間でADSLが急速に拡大し、ネットワークのブロードバンド化が進みました。ブロードバンドというものが一般の方々の目に見えるようになったことが、この1年の大きな展開といえるでしょう。もう一つ感じることは、コンテンツをもつ事業者の方々が「動き出したな」ということです。

―それは、何故ですか。

清水 インフラが整備されたことで、これまでリアルで利用されていたコンテンツをネットワークへ移行しようとする動きが出てきたからです。これまでネットワークと関わりのないコンテンツ事業者の方も、そろそろ世の中全体がネットワークへと移行していくのではないかと考えているようですね。

―我が国では、10MBや100MBといったブロードバンドを安価に利用できる環境が整いましたが…。

清水 素晴らしい環境は着実に整いつつありますが、それをフルに活用するだけのコンテンツがネットワークにのっていないのが現状です。つまり、現在はハード面だけが進んでしまっている状況ですので、生活の中、あるいはビジネスシーンで利用できるコンテンツがあまりなく、「何を使えば進むのか」ということが、まだまだ立ち上がってきていないのです。

 世界的に見ても、リアルの世界でやっていることを、ネットワーク環境で行うというビジネスモデルがなかなか出てきていません。そこに向けて、「いかにして知恵を出していくのか」ということが、私たちブロードバンドビジネス部のミッションなのです。

■まずはビジネスモデルの確立を

―多様化するユーザニーズについて、どのように対応をしていこうとお考えですか。

清水 常時接続の普及を受けて、個人向けのコンテンツが広がりを見せていますが、私たちは今、ブロードバンドビジネスにおいて、びっくりするような市場が現れることはないと考えています。そのため、ビジネスモデルとして、「誰がどういうコンテンツをどのように使うか」ということをきちんとイメージして、「お金がどのくらい動くのか」、「それに見合う投資はどのくらいか」ということを設定し、さまざまな業種やビジネス、生活の中に展開していく。このような努力の積み重ねが、今、大事なのではないかと考えています。

―つまり、キラーコンテンツではなく、一つひとつのコンテンツを積み重ねていくということでしょうか。

清水 例えば、放送会社などにはキラーコンテンツとなる素材がたくさんあると思います。しかしそこには、著作権という大きな問題がありますので、なかなかキラーコンテンツにはなりにくいのです。米国の場合は、権利に関する意識が伝統的に強くて、多くのものが再利用を前提につくられていますので、デジタルでの蓄積利用も比較的簡単です。日本でも映画は、映画館で上映された後の再利用を前提につくられていますので、手続きさえ踏めばコンテンツ化は可能です。ただし、ビデオで見るよりも安く利用できるという付加価値がないと難しいでしょう。

■常にお客様に「接する」という強み

―NTT東日本におけるブロードバンドビジネスについて、その「強み」は何でしょうか。

清水 よくインフラを持っていることを「強み」といわれる方がいますが、これから必要となるのは、ITのデジタルなインフラですので、それは、特別な強みにはならないと思います。私たちの最大の強みと思っているのは、「要素技術」です。それは、ニーズと技術とのマッチングの「巧みさ」というものです。

―その「強み」は、どこから生じてくるのでしょうか。

清水 私たちには、たくさんのお客様に「接する」という強みがあります。私たちのお客様は、皆さんが潜在的にお客様になりうる方々、または、すでにお客様になっている方々ですので、このようなお客様をもっていることが、強みであり、財産なのです。このお客様を通じて何千万というコミュニケーションを形成することができます。この広がりは、さまざまなビジネスを生み出してくれます。

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(こちらは2003年1月号になります)

(この続きの内容)
■きちんと的を絞った活動を推進

 

 


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