-年頭にあたって-
 株式会社NTT データ
 代表取締役社長
 青木 利晴氏


ITで日本企業の再生飛躍を支援

新年、明けましておめでとうございます。

1.マーケットの動向について
 昨年は日本の経済環境は大変厳しく、ITサービス産業全体の伸びも鈍化傾向にありました。それに伴いITサービスにおける投資ニーズは全体的に横ばいに推移してはいるものの、各個別の分野内においては投資ニーズが顕在化しているところもあります。

 公共分野においては、財政再建等により緊縮財政の環境下にありますが、e-Japan戦略の推進により、公共予算に占める情報化投資は微増しています。また、中央省庁においては、電子政府の推進について窓口申請業務が一段落し、行政内業務処理へシフトし始めています。さらに地方自治体においては、電子自治体の導入が本格化し、医療、教育のIT化への広がりが期待されます。

 金融分野においては、大型の統合/再編が一段落しIT 投資は減少傾向にありますが、その一方でアウトソーシング等のコストリダクション、ならびに各金融機関における経営の高度化に対する新たな価値創造・マーケット創造に向けた戦略的IT投資の増加が期待できると考えています。


2.NTTデータの経営課題


 このような背景から、NTTデータとして今後さらに成長していくためには「外部環境の変化に柔軟に対応」し「お客様と共に新たな価値・マーケットを創造する」ことが重要と考え、3つの方針として「大規模SIの強化」と「中小規模SIの利益確保と拡大」および「新規ビジネスの推進」に取り組んでいます。

3.経営課題への取組み

3.1 大規模SI の強化
 当社の強みである「大規模SI 」については、大規模顧客毎のニーズに適切かつ迅速に応える得意技(コアコンピタンス)の強化および営業体制の強化を通じてビジネスの拡大を進めています。具体的には、大規模CSS(クライアントサーバーシステム)の構築の実績を生かし、ミッションクリティカルなオープン系システムの開発力強化を進めています。
 また、大規模顧客と新しいマーケットを共に創造していくことによりビジネスを拡大しています。

3.2 中小規模SIの利益確保と拡大
 ITの潜在需要が高く、市場の拡大が期待される中小規模SIについては、ERP(Enterprise Resource Planning)、SCM(Supply Chain Management)、CRM (Customer Relationship Management)等のミドルマーケット向け得意技の品揃え強化・確立を目指しています。
 さらに、パッケージ型商品に関しては、自社製ERPパッケージビジネスの「SCAW事業」を子会社であるNTTデータシステムズに譲渡し、ノウハウの集約を図るとともに、SAPについてはグループ企業であるNTTデータサイエンスとの連携を深めるなど、グループ内におけるパッケージ型商品の開発体制と販売体制の集中による強化を進めています。

3.3 新規ビジネスの推進
 新規ビジネスの推進については、ITパートナーとしてお客様のノウハウと当社のノウハウを融合することによって新しい価値やサービスを創出することを目指しています。
 具体的には、昨年の日本たばこ産業様の子会社のM&Aによる「NTTデータウェーブ」の設立や、三洋電機様の情報子会社「三洋電機ソフトウエア」との資本提携による経営権取得があります。これらは、両会社との協業により、ITの潜在需要が高く市場の拡大が期待される新分野の開拓と新規マーケット創造を狙っています。
 これら3つの経営課題への取組みを継続し、今後は全社一丸となり事業の拡大を図って行きたいと考えています。

4.おわりに

 NTTデータは、ITの進展によってこれまでとは異なる新しいビジネスモデルが出現し、これを実現できるものが次世代の勝者になると考えています。たとえば出来る限り大多数に対して同じサービスを供給するのがビジネスの成功であったものが、ITを駆使することによって個々にとって最適なサービスを供給することがビジネスになってきました。そして同一の興味関心を共有できる個々人がCommunityを作る、つまりCOI(Community Of Interest)がネットワーク上に生まれるようになってきています。

 NTTデータは、このような時代の変化に対応し、豊かな社会を実現していく企業でありたいと思っています。

 NTTデータは昨年から「Insight for the New Paradigm〜未来のしくみをITでつくる〜」というコミュニケーションワードを掲げています。これはNTTデータの社員一人一人が、新しい未来のしくみをお客様と一緒に考えていきたいという思いが込められています。つまりお客様と経営戦略を共有し、お客様と共に新たなマーケットを創造することによって、共に成長することを目指したいと考えています。

 NTTデータはIT業界のリーダーカンパニーとして、日本企業をITで再生飛躍するお手伝いをしていきます。本年も変わらぬご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。

 

 


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