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あちらたてれば、こちらたたず

第1回 あちらたてれば、こちらたたず
杉田 洋光

 多くの企業は、お客満足度(CS=Customer Satisfaction)調査を行っています。自社の製品・サービスを、お客が満足しているかどうかを調査するものです。満足度が低ければ、原因を調べて対策をうちます。

 A社の長年のお客で、これまで満足度調査に高い点をつけてきたB社が、今年突然最低の落第点をつけてきました。

 A社が調べたところ、B担当の営業マンがコロコロ替わるのが、一番大きな原因であることがわかりました。2年足らずの間に、4人も替わりました。しかもその中には、経験不足のフレッシュマンがいて、肝心のところで役立たずだったりして、ストレスがたまる一方でした。せめて最低2年くらいは変えないでほしいとのことでした。

 営業マンの交替の理由は、専らA社の社内事情です。定期人事異動、組織変更、課内の担務換えの都度、なぜか狙い撃ちのように、B社担当の営業マンが替わるのでした。

 「ごもっともなご意見です。これからはそういたします。」と、B社をインタビューに行ったA社の調査マンは約束して帰ってきました。

 上司に報告した途端、彼はひっくり返りました。近々、今の担当営業マンも替わることになっているというのです。

 A社では昨年から、社内公募制を始めました。優秀な社員ほど配属部門で抱え込むという、人事の硬直性を打ち破るためです。希望する部門に行きたいと手を上げた社員は、希望通りに移動できます。

 B社担当の営業マンは、以前から社内公募に応募していて、別の部門への異動が内定していました。彼も新しい職場で働く日を、楽しみにしているようです。

 お客満足度が大事であると同時に、社員満足度(ES=Employee Satisfaction)ということが強調されています。

 「企業は人なり」です。社員が夢をもち、いきいきと明るく働く職場づくりは、何にも増して大事です。社内公募制は社員満足度向上の施策でもあります。

 お客満足度と社員満足度―――どちらも大事です。でも、あちらたてればこちらたたず、という悩ましいことが起こるのも現実です。あなたがA社の人事担当だったら、このケースをどうさばきますか。こちらに回答をお寄せください。

1)B社の営業担当を予定通り近く替える  
2)当面は替えない。公募制は無視する。
3)他にいい案はないか考える


 また、こうしたCSとESのバッテイングを未然に防ぐには、どうしたら良いでしょうか。



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