●COMMUNICATION EYE Mobile

エンタープライズ ビジネスをモバイル化する
ソフトウェア・プラットフォーム
「SAP Mobile Engine 2.1」


■話す携帯電話から見る携帯電話へ法人での市場開拓を積極的に推進


 2003年3月、SAP AGの日本法人であるSAPジャパン梶i以下、SAPジャパン)は、業界先進の統合アプリケーション・プラットフォームを一歩前進させた「SAP NetWeaver」(エスエイピー・ネットウィーバー)を発表した。

 SAP NetWeaverは、テクノロジーや組織の枠を超えて、人材、情報、業務プロセスを縦横に統合することをコンセプトとしており、クラス最高のビジネス・インテリジェンスやナレッジ・マネジメント、マスタデータ・マネジメントにより、これまで個々のシステムに封じ込められていたデータを調和し、構造化された情報も構造化されていない情報も分け隔てなく統合することができる。また、HTTPやXML、Webサービスなどのインターネット・スタンダードを取り込むとともに、マイクロソフト社の.NETやJ2EE(特にIBM WebSphere)とのオープン性、相互運用性を確保し、異種環境下でのITインフラストラクチャーの柔軟な管理を可能にしている。

 そして同年4月、SAPジャパンは、SAP NetWeaverにおけるマルチチャネル・アクセスを可能にするツールとして、オープンスタンダード・ベースのモバイルビジネス向けソフトウェア・プラットフォーム「SAP Mobile Engine 2.1」(以下、SAPモバイル・エンジン)を発表した。

 SAPモバイル・エンジンは、あらゆる種類の端末や、いかなる場所からでも、さらにはオンラインおよびオフラインの両環境で、ユーザーが企業アプリケーションを利用することを可能にしたオープン・アーキテクチャーである。また、同製品とベストプラクティスを基に開発された豊富なモバイル・アプリケーション(図5参照)により、企業における既存のITインフラストラクチャーを低コスト、短期間で容易にモバイル化し、大切な企業資産を最大限に活用することを可能にしている。

 以下では、SAPモバイル・エンジンの特徴と、SAP AGにてモバイルビジネスを担当しているウド・ウルバネク氏とマンフレッド・ミュケ氏へのインタビューを紹介する。

■エンタープライズモバイルにより迅速な顧客対応と競争力を向上

 企業が常に競争優位であり続けるためには、時間や場所を問わず、ERP、CRM、SCMといったミッションクリティカルなビジネスデータへ即座にアクセスでき、リアルタイムで最新の情報を更新、共有することが重要な鍵になる。SAPモバイル・エンジンは、社外にいる従業員と基幹業務システムを繋ぐエンタープライズモバイルにおけるマルチチャネル・アクセス・ツールとして、外回りの多い営業担当、ユーザー先で作業をする技術サービス担当、コンサルタント等の社外業務をさまざまな角度から支援することを可能にしている。


図1 SAP NetWeaverの製品構成におけるSAPモバイル・エンジンの位置付け

 これまでのエンタープライズモバイルは、その重要性(図2参照)に応えた効果を出せないでいた。SAPジャパンは、その阻害要因と解決策について図3のように分析した。つまり、これまではスケジュール等の単純なPIM情報のみを携帯端末にダウンロードし、社外にて使用するということが多かったことに対して、このSAPモバイル・エンジンを活用することで、社内外におけるリアルタイムな情報共有を実現し、シームレスな業務プロセスによるノンストップビジネス(図4参照)が実現し、社外にいる従業員の高度な情報武装が可能となり、迅速な顧客対応による顧客満足度、収益性、競争力が向上されるのである。

 
図2 エンタープライズモバイルの重要性
 
図3 エンタープライズモバイルの阻害要因と解決策


図4 SAPモバイル・エンジンによるシームレスな業務プロセスの実現

■業務に特化したビジネス・シナリオも用意

 SAPモバイル・エンジン上で動くアプリケーションは、CRMやSCM、ヒューマン・リソース(HR)、ビジネス・インテリジェンス(BI)、製品ライフサイクル・マネジメント(PLM)などがあるが、汎用的な用途だけでなく、製薬、ユーティリティ、コンサルティングファームなどの業種に特化したビジネス・シナリオを用意している(図5参照)。


図5 SAPモバイル・エンジンのアプリケーション

 また、SAPモバイル・エンジンをベースに構築されたmySAP PLMのモバイル設備資産管理やCRMのモバイル・サービスのアプリケーションを利用することで、技術サービス担当はアサインされたタスク一覧とともに作業に必要な情報(契約内容、部品在庫状況等)をすべて基幹システムから直接入手できるようになり、さらに、その場で足りない部品をオーダーするなど、顧客からの修理依頼に対して、的確に対応できるようになる。そして、作業終了と同時に作業報告を携帯端末で入力して同期をとることで、社内にいる従業員とのリアルタイムな情報共有が可能となり、次の業務への移行がスムーズに行えるようになる。

■サーバ側ソリューションと一体となって稼働

 SAPモバイル・エンジンには、優れたWebベースの運用管理機能が組み込まれている。これにより、端末へのアプリケーションのインストールやアップグレード、端末コンフィグレーションといった作業をサーバ側で集中して行なうことができ、システム管理者は煩雑な作業をすることなく、基幹業務システム管理の一環としてアプリケーションやユーザー・デバイスの管理を行える。

 また、PocketPC2002をはじめ、Windows2000、NT4.0、WindowsXPなどのOSを搭載したPDAやラップトップ、タブレットPCなどの携帯端末上で動作することができ、Javaを開発言語としているので、XML、SOAPなどのWebサービス技術といったオープンでスタンダードな技術にも対応している。さらに、携帯端末上にてオフラインで更新されたデータは、Webアプリケーション・サーバを介してSAPモバイル・エンジンの同期機能、レプリケーションレイヤーによりオンライン接続時に任意のバックエンドシステムと同期をとるよう設計されている。これにより、データは暗号化および圧縮されて転送され、HTTPSを使用して公衆パケット網やLAN、無線LAN、クレードルなどで同期をとることができるようになる。

 現在、モバイル分野におけるテクノロジーは急速に発展しているが、SAPジャパンでは、オープンでスタンダードな技術を採用することで、既存のIT環境や将来の変革に柔軟に対応できるソリューションを提供していく。

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