●創刊40年記念 特別寄稿・特別インタビュー


“光”新世代ビジョン

−ブロードバンドでレゾナントコミュニケーションの世界へ−


(2)企業の“Web的連鎖”の進展

 企業活動の視点からは、グローバルに存在する“知”、“リアリティ”が共有され、“商”のボーダレス化が進展することに伴い、消費者、コミュニティ、関連企業群など、各種の価値の連鎖が生み出す“Web的連鎖”の輪が広がり、企業活動の生産性の向上はもとより、新たなサービスやビジネスモデルが創出される(図4)。


図4 新たな行動モデルの出現(企業の“Web的連鎖”)

・企業におけるビジネスプロセス(バリューチェーン)の変革による効率化、競争力の強化・SOHO型経営等バーチャルカンパニー化による新たなビジネス機会の創出・業際を越えたグローバルな新たなビジネスモデルの創出

 図5では、企業のビジネスプロセスの効率化という視点で、自動車会社を事例として取り上げている。レゾナントコミュニケーション環境により、商品開発に関わる多くの人々の“知”がグローバルに共有され、商品開発の大幅な短縮が可能となる。


図5 企業におけるビジネスプロセスの効率化モデル

 図6は、SOHO型経営の伝統織物会社が、ビジネスの活動領域を拡大する事例である。バーチャルカンパニー化することにより、デザインの共創から販路の拡大、また、世代を超えて伝統技術の継承を可能とする。このように、レゾナントコミュニケーション環境は、顧客とのコンタクトにおける販売、マーケティング力の向上、代理店研修など、社内外コミュニケーション力の向上、他企業、グループ企業とのコラボレーションによるデザイン・ソフトウェアの設計・開発など、製造業から農業に至るあらゆる産業分野で生産性・効率性の向上と新たなビジネスモデルの創出を可能とする。


図6 SOHO型経営の新たなビジネス機会の創出モデル

(3)社会的課題解決と経済発展への活用


 レゾナントコミュニケーション環境は、社会生活や企業活動に大きな恩恵をもたらすものであるが、現在の日本が抱える数々の社会的課題の解決にも活用できるものと期待される。

@少子高齢化・雇用問題
 これまで経済活動に参加できなかった人々(シニア、家庭の主婦、事情により地域から離れられない人々等)の新たな経済活動への参画による、労働人口の確保、経済活動の活性化。

A環境・エネルギー問題
 “移動”するためのエネルギーが大きく節約されるほか、それに伴う排気ガス/CO2が削減されるなど、環境に対する負荷の軽減。東京一極集中の緩和。

B安全・安心・セキュリティ
 双方向映像を用いたシニアの介護支援、センサー技術等による予防医療の質の向上と保険費用の低減、また映像モニタリングによる犯罪防止など、安全・安心・セキュリティ面での課題解決。

C教育・地域格差
 授業や講義を受ける時間や場所などのシームレス化が進み、都市と地域間における教育レベル格差の是正および教育機会の多様化。

 また、経済発展の面では、地球規模での多様な企業・人材とのコラボレーションにより、バリューチェーンの変革、雇用の多様化が加速し、新たなビジネス機会が創出され、産業競争力が強化される。さらに、主婦やシニア等の経済活動への参画により、これまで経済化されなかった時間・才能・資金が経済活動に投入されることになる。

 これらにより、光によるレゾナントコミュニケーション環境が進展する2007年では、日本経済に対して約64兆円規模のインパクトを与えるものと予測している。

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(こちらは2003年3月号になります)

(この続きの内容)
■レゾナントコミュニケーション環境に向けたNTTグループの取組み
■レゾナントコミュニケーション環境の実現
■先進的ビジネスモデルの開拓
■レゾナントコミュニケーション環境の実現に向けた研究開発の取組み

 

 


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