●プラットフォームテクノロジー「VALUMO」が支えるNECソリューションズのOMCS戦略

■技術テーマ(1)自律


■負荷や障害に対して自力で動作する


 ハードウェア/ソフトウェアの各IT リソースに対して、負荷や障害といった異常な状態をプラットフォーム自身で把握し、動作の最適化や負荷の調整、障害回避、障害箇所の切り離し・復旧、リソース保護を自動的に行う技術を「VALUMO」において「自律」と呼んでいる。自律により、システム全体の安定状態を維持し、システムの高信頼化、運用管理の効率化を実現する(図1参照)。


図1 自律制御

 自律は大別すると以下の3つの機能がある。

・自律復旧
 障害発生時に、プラットフォーム自らが障害箇所を修復し正常状態への復旧を行う。

・自律調整
 サービスレベルを保つために、プラットフォームのITリソースの構成を自ら変更し、最適に配分する。

・自律保護
外部からの攻撃や、リソース間での干渉を排除し、システムの防御を行う。

 NECソリューションズ(以下、NEC)は自律を制御する機能を、SystemGlobe、WebSAM等のミドルウェアやNECサーバ・ストレージ製品に導入している。本章では、NECが提供している製品で実現されている自律機能について紹介する。

■技術テーマ(2)仮想化

■資源を確保することであらゆるコストが削減できる


 サーバ内のCPU やメモリ、I/OなどIT資源を、運用者が直接、個別に管理していくと、規模が大きくなるにつれて、構築コストが膨大になり、さらに運用コストも増加する。

 その問題を解決するためにNECソリューションズ(以下、NEC)は、ユーザーが必要とする機能、性能、容量、場所等を、各ハードウェアやソフトウェアの複雑な構成を意識することなく、必要なだけ割り当て、自由に利用できる技術を開発した。この技術を「VALUMO」において「仮想化」と呼んでいる。

 仮想化のイメージを図1 に示す。


図1 仮想化

 例えば、1台の大型サーバを仮想化して複数台の仮想サーバとすることにより、従来個別に管理していた業務システムの統合を実現する。これにより、煩雑なパッチ適用やセキュリティ対策などのシステム管理コストを削減できる。このことはサーバだけでなくストレージにおいても同様で、大型ストレージを複数台の仮想ストレージとすることにより、ストレージの統合を実現する。

 また、大型サーバや大型ストレージ内で、各仮想サーバ・ストレージが必要とする性能や容量を適切に配分することにより、業務負荷の変動に応じた資源の有効活用ができる。逆にブレードサーバなどの多数のサーバを1台のサーバに仮想化して統合運用することにより、運用コストの削減とともに処理能力の柔軟な変更を実現する。このような機能は特に大規模なデータセンタの運用において多大な効果を発揮する。本章では、NECが提供する各製品が実現している仮想化機能について、製品毎に紹介する。

■技術テーマ(3)分散

■ITリソースを連携して「Hub &Net 」を実現する


 NECが「VALUMO」において考える「分散」とは、独立して機能している業務システムを、それぞれの独立性を保ちながら連携させ、全体として統合された業務を実現する技術である。

 変化の激しい昨今においては、その時々の変化に合わせて、システムが柔軟に対応できることが非常に重要であり、業務システムの独立性を保つ分散システムは、変化に対する対応力が高いシステム形態といえる。特に、企業の合併や吸収、市町村の統合といった環境の変化に対して、NEC では、これまで、「Hub&Spoke」モデルにより、業務の統合を提供してきた。「Hub&Spoke 」モデルは、Hubとなるサーバを中核に複数のシステムとクライアントとを結びつけるシステム形態であり、多くの企業で必要に応じて個別に構築してきた業務システムを有機的に連携し、戦略的なデータ活用や、システムの統合などを実現してきたのである。

 さらに、企業が独自のコアコンピタンスを活かし、競争力の強化を行おうとした場合、コアとなる部分のみを自社に残し、他の部分はアウトソースを行ったり、他社との協業を行うなど、より一層企業間のコラボレーションが重要となってくる。NECでは、このような時代の要請を見据えて、「Hub &Net」モデルにより、企業間のコラボレーションを実現する。この「Hub&Net」モデルの基盤技術となるのが、「VALUMO」の分散技術である(図1参照)。


図1 OMCSの進化に向けた対応

 一方、業務の継続性という観点においても、「分散」技術は重要な意義をもつ。ITが、社会インフラの1 つとなっている今日において、自然災害や、人為的な外部からの攻撃の際でも業務が継続、あるいは、迅速に再開されることが望まれている。このような課題に対して、分散されたシステムでのリカバリ処理は大いに期待されるところである。

■技術テーマ(4)協調

■各ベンダとの共同開発やサポート体制を強化してOMCSプラットフォームを構築


 「VALUMO」は、NECソリューションズ(以下、NEC)の最先端テクノロジーを集結したものであり、同社製のDiosaGlobe、ActiveGlobe、WebSAM、SystemGlobeで構成されるVALUMOウェア、サーバ、ストレージ、ネットワークといった製品を中核としている。そこに戦略的パートナーのプラットフォーム製品を加えるためのテーマとなるのが「協調」である。Oracle、BEA、VERITASといった各社の基本ミドルウェアや、EMC、CISCOなどのハードウェアベンダ製品を組み合わせ、統合することでOMCSプラットフォームが構築される。

 NECの大きな特徴のひとつであるマルチベンダーへの対応が、この「協調」を可能にしている。各種システムをNECが一括供給すれば、システム相互間での不具合発生を減少することができる。お客様が求める様々なベンダの製品を用いて、あたかも単一メーカが製品からサービスまで一括して提供していたメインフレーム時代と同等のミッションクリティカル性を持ったシステムを構築することに対し、NECは長年の蓄積をもっている。

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(こちらは2003年3月号になります)

 

 


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