●特別企画・新生日本HPのネットワーク&テレコムソリューション

「Control to the Edge」戦略で
世界2位、日本3位以内を目指す


日本HPのネットワーク製品を統括しているのが、PNB(プロカーブ・ネットワーキング・ビジネス)である。HPは企業向けネットワーク機器の分野では世界市場で順調にシェアを伸ばしている。本稿では、HPがLAN市場に向けた新たなビジネス戦略と、それを受けての日本HPのビジネス戦略、そしてHP procurveの新製品戦略を紹介する。


■LAN製品の販売拡大を推し進め世界市場第2位を目指す

 HPのLANスイッチへの取組みは1985年から始まっている。この年、10BASE-Tに準拠したLANスイッチを開発して以来、HPは現在までに小規模向けから大規模向けまで多くのLAN スイッチ機器を世に送り出してきた。HPのLANスイッチ製品開発の歩みを図1に示す。


図1 HPスイッチ製品の歩み

 2002年10月28日、米HPからプロカーブ・ネットワーキング・ビジネス・ワールドワイドセールス&マーケティングマネージャーのマーク・トンプソン氏が来日し、企業向けLANスイッチ市場の販売強化戦略を発表した。その具体的な内容は@機器の低価格化、A主要パートナー向け販売支援策の強化、B新規パートナーの開拓、Cネットワーク関連エンジニアの増員などである。

 トンプソン氏は戦略発表にあたって、「Control to the Edge」というフレーズを強調している。この言葉の意味は、コア部分の中で実現されている高機能の部分を、比較的安価なエッジ製品にまで広げるというものである。これにより、一極集中しがちな機能を各エッジに分散できる。

 例えばセキュリティ分野では、ウィルスなど外部から悪意でネットワーク内に侵入してくるものを、侵入してからコア部分で対処するのではなく、第一段階のエッジ部分で対応する。そしてトラフィックの優先順位づけなども同様にエッジ部分で行うというものだ。

 トンプソン氏は、ネットワーク機器の分野におけるトレンドについて「コアの機能部分はすでに頭打ちの状況である。今後はエッジの機能強化が進むことになるだろう」と語っている。前に述べたように、外部からコア部分に侵入してくるものに対するセキュリティ対策では、コア部分でコントロールするのが困難である。だが、コア部分を高機能化したとしても、アーキテクチャーが複雑化しパフォーマンスが下がる上に、製品自体も高価格になる。HPが企業向けLAN 製品において機能をエッジに展開することを強く勧めるのはこのような理由である。

 また、HPはLAN製品の戦略的な価格設定を行っていく方針を打ち出した。この方針では、導入時の一時的なコストだけでなく、運用し続けるコストも含めたトータルなコスト面まで考慮されている。

 HPはネットワーク機器について以下の3つのポイントを強調し、先進的な取組みをしていくという。

・802.1xアクセス・コントロールの幅広いサポートまで念頭に置いた「セキュリティ」
・音声や映像などすべてのデータの「統合」
・ワイヤレスなどの普及を意識した「モビリティ」

 HP procurveが顧客に提供する価値として主なものを図2に示す。


図2 HP procurveが提供する顧客価値

 さらに、無償で最新のOSを提供し、製品にはライフタイムワランティー(製品を使い続ける限り故障時の無償交換、さらに販売終了後も同等機能の製品と無償交換)を用意している。

 2002年のLANスイッチ機器世界市場においてHPは、米シスコシステムズ、米3COMに次いで第3位に躍り出ている。そして本年、HPはさらに業界第2位を目指すという。

■HPの企業用アーキテクチャー「Adaptive EDGE Aechitecture」

 HPは企業用ネットワーク・ビジネス戦略の一つとして本年1月27日に、包括的なエンタープライズ・ネットワーク・プラニング/設計インフラストラクチャーである「HP procurve Networking Adaptive EDGE Architecture」を発表した。

 このアーキテクチャーは、エッジ・デバイスにインテリジェンスを配置してトラフィック・フローを管理できる力を与えることにより、ネットワーク・トラフィックと管理の複雑さを最小限に抑えて扱いやすくしている、また、将来のアプリケーション運用に影響が出ないように構築されている。

 同アーキテクチャーは、各ユーザーのユニークなニーズに容易に適応するような企業用ネットワーク構築を支援することを使命としている。

■HP製品の性能比較テストで高速処理とコスト減

 HPのLANスイッチ製品が優れている指標として、以下のような調査結果が報告されている。

 一般発表された製品や技術について、研究所で独自の試験で評価し、技術革新の指針となる調査を行っているTolly グループは、2002年8月にHP procurve switch 5308xl と、シスコシステムズ社製のCatalyst4006switchとの比較調査を行った(図3参照) 。


図3 Tollyグループの調査報告

 Tollyグループは、HP procurve 5308とシスコシステムズ社製のCisco Catalyst 4006を用意して、12Gigabit のEthernetポートにより、120 MbpsのFast Ethernetで通信した時、両方のスイッチでのレイヤ2、レイヤ3の処理速度を、10Gbit Ethernet対応パケット生成/試験装置「IXIA」を使って、性能を比較測定した。

 その結果、HP procurve 5308は、Cisco Catalyst 4006と比較すると、速度処理能力が4倍であり、同時に、製品コストがCisco Catalyst 4006の4分の1に抑えられているという。

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(こちらは2003年3月号になります)

(この続きの内容)
■年商100億円を達成するための日本HPのビジネス戦略
■スイッチ製品業界をリードするHP procurveの新製品

NTT西日本グループとのビジネス連携と
高付加価値サービスの展開

■ノートPCとのセットによるフレッツシリーズの
 協調・拡販ソリューション

■日本HPの付加価値ソリューション

 

 


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