●魅力ある地域“ベストコミュニティ”の実現に向けた
 NTTデータ公共地域ビジネス事業本部の取組み


自治体の独自性や利用環境に対応した
NTTデータのフロントオフィス業務系システム


■コンポーネント化することで段階的な導入を可能に

 電子自治体の構築にあたっては、国からの整備指針やスケジュールが示されているが、その整備の方法論や範囲などは、自治体のさまざまな事情を踏まえた上で独自性のあるプロセスを見い出していく必要がある。NTTデータは、各自治体におけるさまざまな課題や要件に、業務プロセスや中核的な機能を適正規模でコンポーネント化することで、独自性のあるシステム構築を可能にしている。その中でも、特に注力しているのが、申請、調達、申告、納付等のフロントオフィス系業務である。このフロントオフィス系業務の電子化、効率化の実現に向けて、必要なシステムや機能の段階的な導入を可能にしたシステム「Click Government(クリック・ガバメント)シリーズ」を提供している。


図1 NTTデータの電子自治体システムイメージ

◆地方税電子申告システム「Click paytaxTM
 「Click paytax(クリック・ペイタックス)」は、申告者(納税者)によって電子化された申告データを、インターネットを通じて送付し、受付や審査等の処理が行われたものをデータベース化するシステムである。自宅や事務所等で申告データを作成し送信(申告)することが可能となるため、申告者は申告のたびに庁舎へ出かけ受付を待つ必要がなくなり、自治体(行政)は受付時のチェックやデータ入力等の作業が不要となる。また、汎用受付システムとの連携も対応可能である。

【実証実験例@】 岡山県域、神奈川県域
個別型と共同型、2つの受付システムを構築し、互いの利便性を検証


 税申告は、国税と地方税の2つに分けられる。地方税の電子化は、2001年から総務省がオブザーバーとなり制度的な事柄の検討を行う「地方税電子化推進協議会」や、技術的な事柄を検討する総務省認可法人である通信・放送機構(TAO)の「地方税電子申告委員会」等による協議が進められてきた。地方税の電子申告は、国税と異なり、各自治体が個々にシステムを構築していく。実際の運用において、たとえば東京都の納税者(法人)は、国の他、都(都道府県)と区(市町村)というように複数の自治体に申告する必要があるが、各々異なる手順等は利便性の低下に繋がる。そのため、標準仕様の策定が急ピッチで進められ、2002年12月に、総務省より、地方税の電子申告システムに関する「モデルシステム仕様書」が提示された。現在、NTT データでは、これに基づいた開発が進められている。NTTデータは、TAO地方税電子申告委員会の統括および事務局として、2001年度の一次開発、2002年度の二次開発における実証実験システムの委託を請け、開発を行っている。TAOによる二次開発の実証実験は、2002年10月7日〜25日、岡山県域と神奈川県域にて行われた。

 今回の実証実験における目的の1つとして、申告者からのデータを、自治体ごとに受け付けた場合(単独型)と、一括して受け付けた場合(共同型)を検証することがあり、共同型と単独型のシステムを構築した。共同型の岡山県域では、データを一括して受け付ける受付システム(テレポート岡山)を経由して各自治体の審査システムへ、一方、単独型の神奈川県域では、各自治体に設置された受付システムがデータを受け、そこから専用線で結ばれた審査システムへと送られた(図2参照)。実験終了後の意見としては、申告者(住民)および収納者(自治体)ともに、共同型の利便性を高く評価する声が多かった。


図2 電子申告に関する実証実験でのシステムの概要(左:岡山県/共同型、右:神奈川県/単独型)

 現在NTTデータは、納税者の申告データを一括して受け付けるポータルセンターを設置した電子申告システムを構築することで、単独型、共同型の両方のメリットを活かそうとしている。

◆電子納付システム「Click paymentTM
 「公金収納センターpufureTM」「Click payment(クリック・ペイメント)」は、電子申請後の行政手数料や賦課税、申告税の収納業務を電子化する電子納付システムである。「公金収納センターpufureTM(パフュール)」は、電子納付システムの導入を低コスト化することを目的としたサービスである。マルチペイメントネットワーク(MPN)を利用したシステムを導入するには、通信サーバーが必要だが、NTTデータは、この通信サーバーの導入・管理・運用にかかる費用の低コスト化を実現するために、機能をASP方式で提供する「公金収納センターpufureTM」を構築した。自治体特有の業務に特化した仕様となっているので、行政手数料をはじめ、納付方法が複雑な税収納にも対応。さらに、電子申請・電子申告システム等の自治体の業務システムとの連携機能を装備し、従量制の料金体系となっているので、段階的、実験的な導入も可能である。

【実証実験例A】東京都三鷹市
マルチペイメントネットワークを核とした決済基盤との連携を検証


 2001年度から2003年度までの3年間、全国9市町村の協力のもと、総務省より委託された(財)地方自治情報センターとNTTデータを含む6社のコンソーシアム参加企業による「電子自治体推進パイロット事業」が推進されている。同事業の目的は、インターネットを活用した申請・届出等手続きのための汎用受付システムを構築し、その利便性や活用性に関する検証を行うこと。2001年度末に「基本仕様書策定」が行われ、同仕様書に基づいた「各種認証基盤連携」「決済基盤連携」「他システムとの連携」の実証実験が行われている。NTTデータは、東京都三鷹市で行われている「電子申請システムと決済基盤との連携の検証」にて、電子申請・届出の際と決済基盤との連携を中心とした実証実験のシステムを構築し、検証を行った。

 決済基盤連携とは、たとえば電子申請システムで各種申請・届出を行っても、その手数の納付を電子的に行えなければ結局は庁舎の窓口へ行くことになってしまうが、このようなことがないよう、納付までを電子的に連続して行える電子申請システムと決済基盤との連携を図ることである。NTTデータは、同システムの実証実験にあたり、電子申請システムと決済基盤であるMPNとの連携を行った。

 通信サーバーは納付情報を管理し、金融機関からの納付情報照会への応答や納付された際の消込情報の受信を行うが、接続方法には、自治体が独自で構築する「個別接続型」と複数の自治体が共同利用する「共同利用センター接続型」の2種類がある。三鷹市での実験では、後者の共同利用型が選ばれた。

 今回の実証実験のフローは次の通りである(図3参照)。@:申請者はインターネットを利用して電子申請システムに接続し、申請を行う。A:到達結果を申請者に通知し、手数料納付に必要な情報も通知する。A’:Aと同時に通信サーバーに請求情報を登録する。B:電子申請システムで審査を行う。C:申請者はインターネットバンキングやATM等で手数料を支払う。D:通信サーバーは消込情報を電子申請システムへ通知する。


図3 三鷹市での実証実験に使用されたシステムの概要

 今回の実験は、情報のフローの検証がテーマであるが、共同利用の通信サーバーの利便性についても検証された。 なお三鷹市での決済基盤連携に関連した実証実験は、全国で初めて実施されたものである。

◆電子申請システム「Click applyTM
 「Click apply(クリック・アプライ)」は、地域住民とのアクセスが最も多い申請・届出に対して、自治体サイド、住民サイド双方の操作性を考慮したシステムである。各自治体固有のさまざまな業務をインターネット上で行えるので、家庭や事務所等から目的の手続きを完了することができる。初期導入コストや運営コストなど、共同利用を視野に入れた低コストで安全なシステム構築ができるよう設計されており、申請様式の追加・修正を簡単に行えるツールも備えているので事務作業も大幅に効率化できる。また、MPNとの連携など、NTTデータならではのノウハウを活かした展開が可能である。

◆電子調達システム「Click procurementTM
 「Click procurement(クリック・プロキュアメント)」は、公共工事や物品購入に係わるシステムで、庁舎内で実施されている入札業務(発注情報の登録・公示〜入札・開札〜公開まで)を、インターネットを通じて行い、調達業務の「公正さ」を保ちながら、スピードアップを実現している。標準的なブラウザで利用できるので時間や距離の制約を解消。紙ベースの現行調達業務フローを再現しているので、システムの導入を容易に行える。また、入札などの重要文書の保存や情報漏洩防止等については、原本性確保支援システムを導入し対処している。

 

 


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