●より快適なモバイル環境の実現に向けて前進するNTTドコモ関西
 劾TT ドコモ関西
 代表取締役副社長
 モバイルマルチメディア開発本部長

 西邑 省三氏


インタビュー1:ビジネス展開
良質なサービスを提供して
お客さまとの信頼関係をより一層深めていく


■モバイルの特性を活かした新たな提案を


―はじめに、今日までのモバイル市場の動向についてお話していただけますか。

西邑 NTTドコモ関西(以下、ドコモ関西)が誕生して、今年で10年目を迎えます。関西地域のお客さまに支えられ、契約者数も設立当初の約30万人から現在では約700万契約にものぼり、この10年間で20数倍もの成長をさせていただきました。

 モバイルの進化はコンピュータの進化とよく似ていると思っています。それは、社会のニーズと各製品やテクノロジーの進展がうまい具合にリンクしてきたということです。たとえば携帯電話は、最初はビジネス用の自動車電話からはじまり、それが大容量のアナログ方式へと移行して、デジタルのPDC(Personal Digital Cellular)へと進化し、電波の周波数を有効に使用していこうという時代でした。その流れの中から、音声だけでなくデータ通信にもモバイルを活用していくというトレンドが発生し、iモードの誕生へと発展しました。そして、i モードの普及によりパケットネットワークが構築・拡大していく中で、データ通信の利便性のさらなる向上と、次世代に向けたマルチメディアへの対応を目的としたFOMAが登場しました。

 モバイルの今日の発展は、端末の小型化や音声品質の向上といったお客さまのニーズに対応してきたことを裏づけるものであり、さらに、お客さまのライフスタイルの多様化に対応したサービスを提供してきたこと、サービスを支えるネットワークの品質を常に意識して取り組んできたことが、今日のモバイル市場を形成した要因ではないかと考えています。

―これからのモバイル市場のトレンドは何でしょうか。

西邑 現在、iモードの契約者数は約600万契約(2003年3月末現在)にのぼりますが、この数字に甘えるのではなく、これまで以上に魅力あるサービスやコンテンツを提供していくことが不可欠です。

 これからの市場を支えるものとして、FOMAによるモバイルマルチメディア化があげられます。しかし、FOMAの特性をお客さまにそのままお見せするというようなアプローチだけでは、それほどの拡大は望めないと思います。FOMAの特性を活かした多種多様なサンプルをお客さま向けに用意して、その特性をよく理解していただいた上で、「ドコモのモバイル環境を利用していただくと、このような効果を実現できます」と、お客さまのライフスタイルやビジネスに即した提案を続けていくことが重要です。

 現在、モバイルサービスはさまざまな企業やビジネスシーンで利用されていますが、「現在のモバイル通信でどこまでできるのか」ということについては、まだまだ十分に理解していただいていない部分があると思います。その部分について、分かりやすく説明し、新たなソリューションを提供していくことで、モバイル市場はさらに成長していくでしょう。

■2003年度はFOMAの本格導入を推進していく

―NTT ドコモ関西におけるビジネス展開についてお話していただけますか。

西邑 今年は法人ならびにコンシューマに向けて、FOMAの本格導入を進めていきます。技術的な視点から見た場合、FOMAを利用することで簡単に実現してしまうことがたくさんあります。

 コンシューマ向けではi モードとは異なった視点からのサービスを展開していきます。法人向けでは、FOMAの特性である高速化を活かしたサービスを展開していきます。FOMA の導入により、ネットワークの速度が非常にハイスピードになりますので、これまで「モバイルを導入したかったが、導入をひかえていた」といった方々に提案していきたいですね。

―これまでのFOMA の展開について、どのように捉えていますか。

西邑 やはり、利用エリアの問題が課題となっていたと思います。FOMAが登場した際は、世界標準ということで大いに話題になりました。しかしFOMAは、これまでのPDCとは異なる全く新しいシステムで、新たに基地局を設置しなければならないため、サービスを提供できるエリアが限定されていました。そのエリアの問題が今年度中にクリアされます。昨年度末には主要都市とその周辺をカバーし、現在の利用エリアは、人口カバー率94%(2003年3月末現在)です。今年度末には、エリアを気にすることなく利用できるようになります。

■お客様との信頼関係をより確かなものに

―事業を展開していく上でのポイントは何ですか。

西邑 ドコモ関西の「強み」とは、深刻な不況の中にあっても、着実にお客さまの中に入っていける信頼関係を築いていることです。この信頼の中には、たくさんの要素が含まれています。その中でも特に重要なものが、ネットワークへの信頼と人的な信頼です。この両方を満たしていなければ、本当の意味での信頼は築けないと思います。

 ドコモ関西は、この10年間にわたり、高品質なネットワーク上で良質なサービスを提供してきました。また、ソリューションについても、お客さまのさまざまなニーズに応えた多種多様なソリューションを構築・提供してきました。この取組みで得た信頼を大切に維持していきます。

 モバイル市場はとても競争の激しい市場ですので、なかなか上手くいかない部分もあります。しかし、一番大切なことは「お客さまに満足していただく」ものを提供していくことです。お客さまが今、何を求めているのかということをしっかりと把握して、それに応えたサービスを提供していきます。

―最後に、今後の展開についてお話していただけますか。

西邑 最近よく、お客さまはドコモ関西をどのような会社だと見ているのだろうかと考えることがあります。おそらく「携帯電話を売っている会社」というイメージをもっている方が、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。それだけでなく、ドコモ関西は、モバイルのネットワークを構築し、その上で展開されるサービスを提供している会社です。より付加価値の高い端末を提供し、品質の良いネットワークの構築と良質なサービスを提供していくことを、より前面に打ち出していきたいと思います。

 快適で使いやすいネットワークを開発していくことが本来の「強み」であり使命です。その上で展開されるモバイルマルチメディアの活用や情報システムの開発・提案を通じて、社会・経済の効率化に貢献していくことが経営理念です。いつでも気持ちよく利用していただくサービスを提供することで、「モバイルは、やはりドコモだ」と言っていただけるような企業へと成長したいと考えています。

―本日はありがとうございました。

 

 


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