管理の容易性と
きめ細かい拡張性を
訴求し、ビジネスを拡大
3PARdata, Inc.
日本営業統括
本部長
岡田義一氏
昨年秋、革新的アーキテクチャーによる画期的なストレージ製品「3PAR InServ」の本格販売を開始した3PARdata社。ストレージ分野に革命を起こす製品と大いに期待されて1年。日本市場でのビジネスの状況と、新しく提供された機能について、営業を統括する岡田義一本部長と技術を統括する加藤賢造本部長のお二人に聞いた。 3PARdata, Inc.
日本技術統括
本部長
加藤賢造氏

ミッドレンジでの導入が意外に多く予想外のビジネスの立ち上がり

―昨年9月、革新的なアーキテクチャに基づく3PAR ユーティリティストレージを市場に投入されてちょうど1年ですが、ビジネス的な手応をどのように感じていますか。

岡田 日本市場においては、私どもの会計年度である3月末で、ベータ導入を含めて11システムです。当初、キャリアクラスのストレージということで、息の長いビジネスを想定していましたが、非常に立ち上がりが早いなと思っています。ワールドワイドでも、3月初めまでで33システム出ており予想以上です。また、意外な点は、3PARは3〜5TB(テラバイト)を越すところからコスト的に大きなバリューがあると捉えていましたが、意外とそうでないところにもたくさん導入されている。逆にそういうところにも入ったから意外と早く台数が出ていっているといえます。

―当初予想した規模以下のユーザーが意外と多い、というのはどのような理由からだとお考えですか。

岡田 当初、「フォーチュン500社」に照準を定めて営業活動を行っていましたが、意外とそれ以外のところから、システムもそれほど大規模でない案件が多数あがってきて、それがすぐ取れたというのが実態です。大きな15テラとかのお客様もいますが、平均すると3.5テラ程度です。当初予想していた3〜5テラ以下のお客様にも、3PARのアーキテクチャの先進性、可用性、拡張性、パフォーマンスが評価されたと思っています。

―ターゲット以外での広がりが見えたということで、ビジネスの展開方法も変えているのですか。

岡田 最近、米国ではターゲットを「フォーチュン2000社」まで広げたことと、有力SIerとのパートナー戦略を積極的に展開し始めました。日本でも、現在2社あるパートナーを中心にミッドレンジ・並びにハイエンド市場でのビジネスを拡大していこうと考えています。

―ホームページ上で、日本のユーザーさんも紹介されていますね。

加藤 ユーザーさん2社が紹介されています。1社さんには、特にパフォーマンスの良さを、もう1社さんにはストレージシステムの管理・運用の容易さを非常に高く評価していただいています。

革新的なアーキテクチャの採用で、他にはない性能・可用性・拡張性を実現

―3PAR の先進性についてお聞かせください

加藤 3PARdataは、「Serving Information」、つまりより有効に使えるストレージ、能動的に動くようなストレージの開発をコンセプトに、ユーティリティストレージという概念の製品を世にだしました。これは、水道や電気・ガスのように使いこなせるストレージという意味です。図1にアーキテクチャを示しますが、いちばん大きな特長は、InFormというOSが持っている機能、それによって、あたかも蛇口をひねるように情報がでてくる仕組み、それが最大の特長ですね。本来、蛇口をひねる形にすべきなのに、水道局へ行って配管手続きをしてくださいという状況はやはり問題だったわけです。これは、図2に示すように技術革新の割合が、チップやサーバ、ディスク容量等に比べて極めて低いということが大きな要因です。ディスクそのものの性能を見ると、80年代を1とするとせいぜい3倍程度早くなったに過ぎません。したがって、大きなギャップが生じています。このギャップを埋めようとして1987年ぐらいに、Patterson博士がRAIDという論文を発表して、それから新しいRAIDの時代が到来しました。その後、ストレージのインテリジェント化が始まるわけですが、個々のディスクの性能とのギャップは残ったままです。これを解決しようとしたのが3PARユーティリティストレージという考え方であり、InServという製品ですね。


図1 3PAR ユーティリティストレージのアーキテクチャ


図2 技術の進化度からみたストレージシステムの課題

岡田 ユーティリティストレージの考え方を実現するためにInFormOSは、物理ディスクを256MB単位のチャンクレットに細分化し、レガシーシステムの物理ディスクのように扱う3階層のバーチャライゼーションを行っています。そのベースとなっているのが、超高速(28GB)のフルメッシュのバックプレーンです。また、いろんなサーバやアプリケーションがミックスされた中で、いろんなアクセスパターンが一気にきても同時に安定したパフォーマンスでレスポンスを返していく。そのためのマルチテナンシー機能を提供しており(図3)、これもを大きな特長の一つです。また、将来にわたって容量に加えて性能もリニアに拡張できるという点も非常に大きな特長ですね。


図3 混在ワークロードで真価を発揮するマルチテナンシー機能

運用管理の容易化とストレージの最適投資をもたらす新機能を追加

―今年に入って、機能を追加されたということですが、どのような機能を追加されたのですか。

岡田 3つの機能を追加しました。一つは、「システムチューナー」機能です。これは、基本的に3PARは3階層のバーチャライゼーションで、すべてのリソースを均等に使うような仕組みを持たせていますが、さらにチャンクレットレベルの256MBという非常に小さな単位でファインチューニングを行えるようにするもので、標準機能として搭載しました。管理者から見える単位は256MBですが、実際はバーチャライゼーションによりその1/1000の256KBの単位でチューニングを行います。

加藤 2つ目が、追加機能の目玉である「Thin Provisioning」というオプションソフトウェアです。これは図4に示すように、仮想スペースを割当て、物理ディスクの消費スペースに応じて、当初の物理アロケーションを超えてボリュームを成長させるという機能を提供します。簡単に言いますと、将来を予想して大容量のディスクを導入するのではなく、テラバイトベースのライセンス契約をしていただいたうえで、まず必要な容量のディスクを導入していただき、仮想的に大容量のスペースを定義しておいて、必要に応じて要求があった時点で、オンデマンドで容量を拡張していくというものです。


図4 Thin Provisioning による仮想スペース割当て

―どのような手順で、ディスクのボリュームを成長させるのですか。

加藤 あらかじめInServ 内に共有物理容量のバッファ・プール(CPG)を保有し、成長対象ボリューム(TPVV)を指定しておきます。そしてTPVVの実容量領域を超える書き込みが発生すると、ユーザーが指定する単位量で物理スペースを自動的に供給します。(図5参照)


図5 Thin Provisioning によるボリューム供給手法

―例えば、新規サービスを少ない投資でスタートしたいという場合、非常に有効ですし、ディスクの容量要求の変化に対応してシステム管理者が構成変更を行う手間もなくなる。

岡田 そうですね。これまでは、例えばホームページのホスティングサービスを提供しようという場合、仮に1ユーザーに200MB割り当てるとして、1万人を想定していれば2TBです。10万人であれは20TBのストレージを事前に購入しなければならなかったわけです。実際、すべてのユーザーが200MB使っているわけではなく、逆に1ユーザーが200MBを使うことのほうが珍しく、どうしてもそこに無駄が生じてしまいます。ところが、Thin Provisioningを利用すると、想定しているユーザーが1万人、10万人であっても、今いないんだったら必要としているユーザーだけに200MBを千人分、200GBだけ用意して各ユーザーに200MB割り当てておき、そしてお客様が増えたら必要に応じてどんどん増やしていきましょうということが可能です。もちろんこのとき物理ディスクを追加する場合もありますが、サーバ側はThin Provisioningの恩恵を受けストレージ容量が変更しているにも関わらず何ら設定変更を必要としません。ディスクの単価は年々下がっています。今すぐに必要でない容量のストレージを導入するのは、電気料金、空調料金、フロア面積、管理コストを含めると相当無駄な投資です。そういった点が非常に高く評価され、大きな反響を呼んでいます。

―実際、Thin Provisioningをトリガーに3PARを導入されたユーザーもいる…。

岡田 米国では、導入されたお客様も数社います。例えば、RagingWire Telecommunicationsという企業にDR対策を含むITサービスを提供している新興サービスプロバイダの場合は、初期導入を小規模で行い、新規プロジェクトの成長に合わせて自動的にストレージ環境を拡張できるきめ細かな拡張性が3PAR導入の決め手になりました。また、金融業界をターゲットにしたITアウトソーシング会社の場合も、同様にThin Provisioningのきめ細かな拡張性と先進性が3PAR導入の最大の要因です。とにかく引き合いが非常に多いですね。その意味で、私どもではこのThin Provisioningを戦略的なプロダクトと位置付けています。

―キャパシティオンデマンドを売りにしているベンダーもいますね。

岡田 オンデマンドのキャパシティサービス、キャパシティオンデマンドという言葉でやられてます。しかし他社さんの場合は、20テラでキャパシティオンデマンドで、今例えば1TBの契約でいいですよと言われたら、確かに料金は1テラの契約分ですが、実際に設置するのは20TBのストレージです。これはフィナンシャルプログラムであり、先ほどの電気料金や空調料金、スペース料金が増え、未使用ディスクの管理コストもかかるわけですから、真のTCO削減にはつながりません。

―ディスクを追加する場合、どのくらいの時間がかかりますか。

加藤 ディスクを差し込む時間と、3つのコマンドを叩く時間だけですからほんとに短い時間で済みます。ボリュームの作成からホスト接続までは、ホストへケーブルを接続し、CLI/GUIでInServのホストを定義し、InServ内にボリュームを作成し、作成したボリュームに一つのLUNとしてエクスポートするだけで、極めてシンプルです。実際、米国で40TBの構成をわずか47秒で完了したという例が報告されています。

―3つ目の追加機能については。

加藤 3つ目の追加機能は、リモートコピー機能です。これは、InServ間をギガビットイーサで直接接続し、リモートコピーする機能です。概念図を図6に示しますが、他社さんとの一番の違いは、間にスイッチ群などがないという点です。シンプルな構成でリモートコピーができるので管理も容易です。性能も、他社の数倍、レプリケーション・モードによっては5倍以上です。


      図6 リモートコピー概念図

―ストレージの運用管理の容易性という点で、GUIの機能があげられますね。

岡田 InfForm GUIは図7に示すように、一つのコンソールからすべてのInServを集中管理可能にしています。もちろん、物理・論理・仮想レベルでのチャンクレットの配置も監視できますし、性能監視についてはあらゆる角度から追跡・制御が可能で、同時に複数の性能監視データを表示することが可能です。




管理の容易性と、きめ細かい拡張性を訴求してビジネスをより拡大

―今後の日本でのビジネス展開についてお聞かせください。

岡田 2002年9月から2003年の夏までの実際の導入事例を調べてみると、すべてのお客様に共通しているのは、3PARユニバーサルストレージの運用管理の容易性ときめの細かい拡張性を導入の要因としてあげています。今後は、この点を積極的にアピールし、エンタープライズ市場におけるビジネスを拡大していきたいと考えています。また、3PAR本来の特長が生かせるHPC(High Portormance Computing)環境や大規模データウェアハウスでの導入に向けて、積極的なプロモーション活動を展開していきたいと思います。技術的な課題としては、インターオペラビリティ、相互接続性の部分で、サポートしているプロトコルの数を増やしていくことが必要だと考えています。

―本日はありがとうございました。



■お問い合わせ先■
3PARdata, Inc.
日本営業統括本部
Tel:03-5339-6750
E-mail:infojp@3pardata.com
URL:http://www.3pardata.com




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