【NTTコミュニケーションズ】

NTTCom、OCNで広域IP網経路監視診断システム「ENCORE」を運用開始

 NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は、NTT研究所が世界に先駆けて開発した広域IP網経路監視・診断システム「ENCORE」(AnInter-AS diagnostic ensemble systemusing cooperative reflector agents)を本年4月よりNTT ComのOCNサービス網に導入し、商用インターネットサービスにおいては世界で初めて、経路情報の不具合の自動監視・診断を開始する(図参照)。
 ENCOREで使用しているエンジンはインターネット上で複数のISP間にまたがる経路情報の不具合を自動的に監視・診断する先進的な技術であり、経路情報を観測・診断する知識を持ったエージェントを各ISPに配し、これらの観測情報を自動的に統合・分析することで障害の原因解析を行う。これにより、個別ISPが手作業で行っていた従来の監視・診断方法では困難であった複数ISP間の経路情報の不具合の早期発見・解析・復旧などが可能となり、安定性に優れた高品質のインターネット環境を構築できる。


      OCN広域IP網経路監視診断システムの概要

■ENCOREの導入効果

(1)IPパケット到達性の向上

 OCNの経路管理表において欠落している経路を自動検出することができるため、OCNと他のISP業者間のIPパケットの到達性を向上させることができる。

(2)品質・セキュリティの向上

 OCNの経路情報がハイジャックされたことを自動検出できるため原因となるAS(AutonomousSystem:自律システム)を特定することができ、ネットワークの品質・セキュリティを向上させることができる。

■ENCOREの技術のポイント

(1)エージェントの配備

 各ISPに観測・診断知識を持ったエージェントを配し、これらの情報を統合して経路情報の挙動を推論し、障害の原因解析を行う。定期観測により異常を検知した場合、診断を行って、通信を阻害する要因を特定する。1つのISP(AS)がいくつかの要素(sub-AS)により構成されている場合でも動作する。

(2)経路欠落監視知識

 フィルタの誤設定やISP間のポリシーの相異などで経路欠落が発生すると、自ISPと他ISPに配置されたエージェント同士が観測情報の交換・解析を行い、自ISPの経路管理表において、欠落している経路を自動的に検出。これにより、IPパケットの到達性を改善することができる。

(3)ハイジャック監視知識

 ISPのエージェントは、他ISPからの誤った経路情報の広告により、ルータの経路管理表が書き換わったことを検知。さらに、その原因が正規のパンチングホールとして運用しているものとは異なることも識別。これにより、悪意を持った第三者による不正な設定やネットワークオペレータの過失による誤設定で自ISPの経路が乗っ取られた場合、早期にその事象を自動検出し、原因となるISPを特定することができる。

■今後の展開

 NTT Comでは、さらに安全・安心なネットワーク利用に向けて、“グローバルIPソリューションカンパニー”として業界最高水準の品質・サービスを提供できるよう各種取組みを実施していく方針である。


お問い合わせ先
NTTコミュニケーションズ株式会社
ブロードバンドIP事業部
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TEL:03-6700-8619

 


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