(株)NTTファシリティーズ
経営企画本部・企画部
エネルギー・電源総合コンサルPT長
山下隆司氏
 

ITシステムを支える最重要基盤であるエネルギーシステムに関して、信頼性・経済性・環境適合性の観点からお客様が気づかないリスクを洗い出し、その課題を解決する新サービス「エネルギーシステム総合診断サービス」を開始したNTTファシリティーズ。新サービス提供の背景と狙い、サービスの特長などについて、同ビジネスを統括する経営企画部の山下隆司エネルギー・電源総合コンサルPT長に聞いた。

エネルギーはITシステムを支える
最重要基盤

―企業や社会のITシステムへの依存度が高くなっている現在、システムダウンによる影響は甚大です。特に、エネルギーはITシステムを支える重要な基盤であり、企業にとってエネルギーシステムは極めて重要だと思いますが、この点に関する企業の意識を含め、現状での課題についてお聞かせください。

山下 社会インフラとしてのIT技術が進展・高度化しており、企業や社会がIT システムに大きく依存しているという認識は皆様お持ちで、ITシステムのダウンによる影響の大きさというのもお分かりのようです。ただし、ITシステムが停止する原因として、具体的にどのような要因があるかと考えた時に、実は電力が止まれば、すべて停止してしまうということで、エネルギーシステムが一番重要なところに位置しているということを本当の意味で実感していない方々が多いように思います。なぜかといいますと、例えば実際に停電が起こってから慌ててUPS(無停電電源装置)の導入を検討されるケースが多いからです。

―実際にトラブルに遭遇して電源の重要性を初めて実感する…。

山下 停電が起きて初めて電力の重要性を実感したというお客様が多いですね。よくお客様に「電源は大丈夫ですか?」と聞きますと、皆様大抵は「大丈夫です」とお答えになります。しかし、具体的な対策については、メーカやメンテナンス会社等に任せているというのが実態です。エネルギーシステムを取り巻く背景として、システム停止時の社会的リスクや損害からの回避、災害時における企業活動の迅速な復旧、エネルギーコストの削減、環境に対する企業の責務など、実際にお客様が気づかれていない課題というものが存在しています。


     図1 エネルギーシステムを取り巻く社会的背景

エネルギーシステムの信頼性、経済性、環境適合性を考慮した新サービス

―そのような課題解決に向けた新サービスをこのほど開始されましたが、新サービスの概要をお聞かせください。

山下 お客様の気づいていないリスクをまず掘り起こし、認識していただくことから始めようというのが新サービス提供のそもそもの動機です。今回提供開始した「エネルギーシステム総合診断サービス」は、大きく分けて、(1)現地調査等に基づいた簡易診断と、(2)詳細調査・診断の2段階のサービスからなっています。まず、最初のステップとして、エネルギー使用の経済性、信頼性、そして環境適合性の主に3つの観点から、お客様の気づいていない問題を抽出します。これが簡易診断です。
 次のステップとして、簡易診断で明確になった問題点について、さらに詳細な調査を行い、問題解決に向けたソリューションをご提案いたします。さらに、ご要望に応じて、信頼性の高いエネルギーシステムの設計・構築から365日24時間体制の設備監視・保守・駆け付けサービス等をご提供します。

―当面のターゲットユーザーはどのようなところですか。

山下 やはり設備を沢山お持ちで、しかもそのシステムが停止したときの影響度合いの非常に大きい、通信事業者様やIT系のサービス事業者様、さらには金融や放送事業者様が主なターゲットになります。

エネルギー利用の最適化から設備の信頼性確保までトータルにサポート

―新サービスのポイントの一つに、エネルギー利用の経済性がありますが、これは具体的にはどのようなことですか。

山下 例えば、2000年3月にスタートした電力の部分自由化(特別高圧領域)が、今年4月からは高圧500kW以上へと拡大し、さらにその後は全面自由化されることになっています。
 ということは、需要家は電力の供給者を自由に選ぶことが可能になります。また、自前で発電設備を設けて、複数のユーザーで共同で発電して利用することも可能になります。つまり、従来は地域の電力会社より購入していたものが、電力小売会社等の利用を含め、電力利用の選択肢が広がるわけです。

―貴社には関連会社として電力小売会社のエネットがありますが、こういった点を含め、新サービスの特徴についてお聞かせください。

山下 NTTグループには、電力供給を行う「エネット」、環境総合コンサルティング会社の「NTT-GPエコ」があります。今回の新サービスは、この両社との連携も含め、エネルギー供給形態の診断・コンサルティング、ITシステムを支えるエネルギーシステムの評価、設備の設計・構築、維持管理等について、発電の領域から実際に利用するところまでトータルに見ることで信頼度やコスト、さらには環境への適合性の解を出せるという点が最大の特徴です。従来より、個々の領域でこのような取組みは行われていましたが、企業のエネルギーシステムに関するすべての領域を一貫して提供するというのは、今回のサービスが初めてです。

―利用者にとって、どのようなメリットがありますか。

山下 トータルなサービスを利用することで、エネルギーシステムのリスク回避を最小のコストで実現でき、お客様のご要望に応じたきめ細かいコンサルを総合的に受けることができます。私どもはIT ・エネルギー・建築の総合領域におけるプロフェッショナル集団として、NTTグループのエネルギーシステムを支えてきた豊富な実績とノウハウを持っており、これを100%活かせます。
 加えて、前述のエネット、NTT-GPエコとの連携も含め、エネルギー供給部分の最適化や、省エネルギー法対策、グリーン電力促進、CO2排出権取引等の環境負荷低減対策まで幅広いコンサルテーションを行い、ご希望のお客様は実際の設計・構築から設備監視・保守・駆け付けサービスまで利用できるという点です。特に、設備の監視業務については、特定の機器だけではなく、受電装置からエンジン、UPS、整流器、バッテリー、空調設備、場合によっては入退室管理まで、性格の異なるものを全国レベルで集約して監視ができ、駆け付け体制も構築しているという点は、他にはない大きな特長です。

海外での事業展開も含め3年後には100億円の事業規模を目指す

―最後に、体制及び今後の販売目標をお聞かせください。

山下 1月23日からサービスを開始しましたが、当初は東京・大阪の2つの地区に合計30 名体制を構築して、この2つの地区を拠点に全国をカバーし、2007年には100名規模に拡大する予定です。販売目標につきましては、2004年度3億円、3年後には10億円の売上を目指しています。さらに、新サービスから波及するエネルギーに関する物販、設計・構築、保守等の売上を初年度30億円、海外での事業展開を含め、3年後には事業規模100億円を目標にしています。

―本日は有り難うございました。



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