【NTT コムウェア】

オープンソースで大規模システムの負荷分散を実現
− Linux上で動作する高可能性・高拡張性のロードバランサを開発−

 NTTコムウェアは、Linux上で動作し、大規模システムに適用可能なオープンソースベースのロードバランサを、VA Linux Systemsジャパン株式会社の協力で開発した。VAリナックスと連携を強化し、キャリア及びエンタープライズへの導入を推進する。

■ロードバランサの概要

 多くのユーザがアクセスするサービス提供サーバは、複数台並列動作する構成で、高い性能を発揮する。ロードバランサは、各サービス提供サーバの前に設置、ユーザからの要求を一元的に管理し均等に振り分けることで、ユーザに対する応答速度を快適に保つ。構成としては、通常稼動している運用系と、運用系が障害などで停止した際に稼動する待機系の二重化となっている。
 NTTコムウェアでは、Linux上で動作するオープンソース負荷分散ソフトウェアをベースとして、大規模システム適用のロードバランサとするため、高可用性を実現する「TCP Fail-Over」と、高拡張性を実現する「Active-Active」機能を実装した。
 「TCP Fail-Over」は、サービス提供サーバへのユーザの接続情報を運用系から待機系に引き継ぐ機能である。運用系ロードバランサに障害が発生しても、その時点でサーバにアクセスしていたユーザに、切断することなくサービスが提供でき、高可用性を要求されるシステムに最適である。「Active-Active」は、運用系と待機系に区別せず、両方のロードバランサを常時稼動させるもの。
 これにより従来と比べて膨大なアクセスを処理することができる。「Active-Active」を実現するためにLinuxの一部改造とロードバランサの状態制御の仕組みを開発した。

■負荷分散ソフトウェアの概要

 今回開発したオープンソースベースのロードバランサは、オープンソースの負荷分散ソフトウェア「UltraMonkey」をベースとしている。Linuxカーネル上で動作する「UltraMonkey」は、オープンソースの負荷分散ソフトウェア「Linux Virtual Server」、実サーバの故障監視、故障したサーバの切り離しを行うソフトウェア「Ldirectord」、サーバ動作状況監視ソフトウェア「Heartbeat」の技術を用いている。これまで、専用のハードウェア装置で提供されることが多かった負荷分散機能を、ソフトウェアにより実現する。すでに、多くのWebホスティング事業社、ISP等で使用されており、日本では「Slashdot Japan」、「SourceForge.JP」、「japan.linux.com」といったサイトを擁する「OSDN Japan(Open Source Development Network Japan)」の全ネットワークで使用されている。

■オープンソースに対する取り組み

 NTTコムウェアは、顧客志向の柔軟なシステム構築に、Linuxなどのオープンソースソフトウェアが果たす役割の重要性を早くから認識しており、1999年にLinuxセンターの開設、2000年には日本発、Linuxに関するコンサルティングからシステム構築、運用・保守などのトータルサービスを開始。これまでLinuxにより、NTTの通信システムの構築・UNIXからの移植、VoIPや教育関連系システムの構築など多くの実績がある。2003年11月には、産官学の「日本OSS推進フォーラム」、米国に本拠を置くグローバルコンソーシアムの「オープン・ソース・デベロップメント・ラボ」に相次いで参画した。また、日本のオープンソースを推進する産官学共同プロジェクト、地方NPOでも積極的に活動している。
 約3000人のUNIXに関係する技術者の多くはLinuxにも対応しており、蓄積した技術力を活かし、今後もオープンソースコミュニティーに貢献するなど、日本のオープンソースのリーディングカンパニーを目指す。
 今回開発したロードバランサは、エンタープライズはもちろん、キャリア向けといった小規模システムから大規模システムまで柔軟に適用可能で、NTTコムウェアのオープンソース戦略の一翼を担うものである。




お問い合わせ先

NTTコムウェア株式会社
広報室
kouhou@nttcom.co.jp

 


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