【NTT 東日本】

無線ICタグ実用化へ− NTT東日本とラオックスが共同で、店舗内活用の実証実験を開始

 NTT東日本とラオックスは、共同で、家電量販店内における無線ICタグの活用実験を、3月15日から開始している。実験店舗は、ラオックス「綱島樽町店」。本実験では、店員の販売活動時の移動経路情報や、顧客の商品関心度情報をモニターするうえでの無線ICタグの有効性、及び実用化に向けての課題を検証する。

■背景

 NTT東日本は、最新の無線ICタグの研究結果・技術・ノウハウ等を活用し、実際のビジネスシーンに活用することを検討。一方、ラオックスでは、家電量販店業界における優位性を強化させるための、効率のよい店舗運営法を模索していた。
 このような状況の中、両社が新しいビジネスモデルやサービス開発について連携し、技術面やサービス面での検証を行うためのフィールドトライアルを行うこととしたもの。

■効用

 ラオックス側のメリットとしては、店舗責任者が配下の店員の接客状況をリアルタイムに把握して、必要な待機位置を指示することができる。また、顧客がどの商品に関心を示したか定量的に集計でき、販売機会の高い商品の優先展示などに関する有効情報を得ることが可能になる。
 これまで無線IC タグといえば、主に商品識別・管理ツールとして、在庫管理や食品トレーサビリティ等のシステムに利用されていた。今回の実験では、無線IC タグにより人の動きや商品に対する関心度など、定量的な把握が難しいとされているデータの集計、活用についても検証を行っている。
 一方、NTT東日本のメリットとしては、これまでとは異なる無線ICタグの新しいソリューションモデルを作り上げることで、ビジネスの拡大が見込まれるという。
 また、顧客にとっては、常に適切な位置に店員が待機しているため、問合せや購買の際に質の良いサービスを享受できることとなる。さらに、人気商品が優先的に展示されるレイアウトが実現できることにより、店舗内で目的の商品を見つけるまでの時間が短縮されるなどのメリットが期待できる。

■実験の概要

<店員移動軌跡確認システム>

 
本実験の期間中、全売場の約35名の店員に無線ICタグが付与され、ネームカードなどに貼付される。店員が店舗内を移動すると、その軌跡が無線ICタグから店舗内に配置されたアンテナに受信され、店長室のデータ収集パソコンに取り込まれる。店長は顧客の動線を予知し、店員が適宜アプローチできるように携帯無線などで待機位置の指示をだすことができる。これにより、店舗としては、接客機会損失による販売ロスを予防できる(図1参照)。


    
図1 店員移動追跡確認システムのイメージ

<商品関心度確認システム>

 
店内展示品に無線IC タグを取り付けておき、顧客がその展示品に手に触れた時の振動数を検知することで、接触頻度をデータとして収集する。振動数の多い商品ほど、消費者の関心が高いという判断ができる(図2参照)。



      図2 商品関心度確認システムのイメージ

 収集されたデータは、専用のアプリケーションソフトを使って分析される。なお、無線ICタグには、電池を搭載せずにリーダライタからの電力をエネルギーとし、タグの情報をリーダライタに返すタイプのパッシブタグと、電池を搭載して自ら電波を発するタイプのアクティブタグがある。パッシブタグは電波の到達範囲が数メートル程度に止まるのに対し、アクティブタグは数十メートル〜数百メートルの通信距離を確保できる。このため、広範囲でのリアルタイムな位置取得等バーコードやパッシブタグに全くない機能が実現でき、今後の新ビジネスでの活用が期待されている。今回、両システム共にアクティブタグを利用している。

■各社の役割

 今回の実証実験で、ラオックスは実験環境(店舗)の提供及び分析結果の活用検証を、またNTT東日本は実験機器及びデータ収集、解析用アプリケーションソフトに関する開発・ノウハウの提供を行っている。

■実施手順

1. 内容

<第1 ステップ:店舗内でのデータ収集>

 無線ICタグを利用した店員の移動データ、商品の接触データを収集する。

<第2ステップ:データ分析・検証>

 
専用のアプリケーションソフト等を活用して、店員の軌跡や商品の消費者関心度等を分析する。

<第3ステップ:分析結果に基づく店舗運営の効率化>

・店員の適正配置による販売機会の拡大

・商品展示法再考(売れ筋商品の定量的把握)

・店員・商品の動線軌跡分析によるサービス対応の向上

2. 期間

<第1ステップ:店舗内でのデータ収集>

平成16年3月15日から平成16年4月30日まで(予定)
※第1ステップ終了後、速やかに第2・第3ステップを実施する。

3. 実施店舗

店名:ラオックス綱島樽町店(開店=平成15年11月)
住所:〒222-0001
    神奈川県横浜市港北区樽町3-7-70 (電話:045-540-3311)
売場面積:約2,500?
営業時間:10:00〜21:00
店長:山下和良

■今後の展開

 実証実験で得た検証結果を踏まえて、ラオックス各店舗へ導入展開する予定。




お問い合わせ先

東日本電信電話株式会社
法人営業本部
流通・サービスソリューション営業部
TEL:03-3830-4550
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