NTTデータ先端技術(株)
代表取締役社長
工学博士
三宅 功氏
 
 高度な技術力を競争力として活かす「デスバレーの克服」に向け、(株)NTT データと100%子会社のNTT データ先端技術が一体となって、先端的プラットフォーム技術の開発に取り組んでいる。プラットフォーム技術の開発をリードする(株)NTTデータ ビジネス開発事業本部システム方式技術ビジネスユニット(BU)の中野富也BU 長と、NTTデータ先端技術?の三宅功社長にそれぞれの役割、取組みの現状、課題等について語っていただいた。

競争力強化に向け一歩先の技術を
見据えたベストプラクティスを提供

中野 私どもシステム方式技術BUは、(株)NTTデータ全体のSI競争力強化を図るための基盤ソリューション(プラットフォーム技術)を整備・展開し、それに伴うサポートを実施するというのが主要ミッションです。
 しかし、急速な技術革新にフレキシブルに対応し、付加価値の高い、お客さまのお役に立つベストプラクティスをトータルソリューションとして提供していくためには、技術者を含め強力なパワーが必要です。その一翼を、三宅社長のところに担っていただいているというのが現状です。

三宅 私どもNTTデータ先端技術(株)は、1999年に設立されたプラットフォーム技術((株)NTTデータの用語で言えばシステム方式技術)に特化した全額出資の子会社です。現在、社員は約120名でうち60名程度が(株)NTTデータからの出向社員です。OS, RDBMS, NWからミドルウェアまで、ミッションクリティカルなSI に重要な基盤技術のサポートを行っています。オープンソース技術・製品さらにはセキュリティや個人情報保護等のシステム開発に高いスキルを持った「方式技術集団」として、(株)NTTデータの各プロジェクトと一体となって、システム基盤の設計及び構築を行っています。
(株)NTTデータ
ビジネス開発事業本部
システム方式技術ビジネスユニット長
中野 富也氏

インキュベーションとビジネスプロフィットの両面からビジネスを推進

中野 6年前に、当時のNTTデータの全社横串組織のCOE(Center of Excellence)システム本部の活動をより強化することと、全社的に高品質なサービスを安定的に提供することを目的に、方式技術のノウハウを集中的に蓄積し長期的なノウハウ継承を担う子会社として設立されたわけですが、当時と比べて事業の方式も変わってきていますね。

三宅 当社では現在、今ある技術だけではなく一歩先の技術を見据えたプラットフォームの基盤技術の確立に注力しています。具体的には、インキュベーションフェーズとビジネスプロフィットフェーズの2段階でビジネスを推進しているというのが特長です。インキュベーションとして、中野BU長のシステム方式BUや、技術開発本部、OSDC(Open Source DevelopmentCenter)、NTT研究所から様々な技術調査、技術検証、プロトタイプ試作などを請け負うことで方式技術に関連した新技術のノウハウを蓄積し、人材を育成します。そこで身に付けた技術に対する目利き力を、ビジネスプロフィットフェーズで、SI支援や開発請負、製品販売、コンサルティングに活かしています。
 このように、技術(シーズ)をお客様(ニーズ)に結びつけることが、私どものビジネス領域だと捉えています(図1参照)。そこには意外に深いデスバレーがありますからね。


       図1 NTTデータ先端技術?のビジネス領域

デスバレーの克服に向けNTTデータとNTTデータ先端技術が
緊密に連携


中野 高度な技術力をSIerとしての競争力として活かす「デスバレーの克服」は、私どもにとっても大きな課題であり、そのための先端的プラットフォーム技術の開発を私どもと一体となって推進しているNTTデータ先端技術は、極めて重要な役割を果たしているといえます。

三宅 ご承知のように、最近のIT技術の進歩は極めて早く、この進歩を的確に捉えビジネスに活かしていくには、スピード、そしてマーケティングと一体となった選択と集中が必要です。そのため、高い技術スキルを持った人材を集め、子会社としての小回りのよさを十分に活かしつつ(株)NTTデータ本体と連携したビジネス展開を進めています(図2参照)。各部門の取組みの詳細は別稿でご紹介しますが、SE部は、ΣServやモバイルプラットフォーム等の開発に実績があります。ソリューション部は、データベース、ネットワーク、ソリューション販売や故障解析等を通じ、(株)NTTデータのSI競争力強化の源泉として機能しています。また、稼動提供型だけでなく、請負や製品販売等にも取り組んでいます。オープンソース技術部は、(株)NTTデータが推進するOSSソリューションセットの実際の開発に従事しています。OSSに対する取組みは2年以上前からスタートし、開発コミュニティへの貢献も含めて、技術力を高めています。
 また、基盤系製品ベンダーとの連携に加え、OSDL(Open Source Development Labs)のメンバーになり、情報収集に努めています。


 図2 NTTデータ先端技術?の組織と(株)NTTデータ本体との連携

スペシャルなエンジニアの育成が今後の課題

中野 現在、私どもが抱えている一番の課題は、全社に対する基盤技術の支援部隊として、方式技術者をどれだけ増やしていけるかです。そのためには、より機動的に人材を集めて、(株)NTTデータのパワーにしていくことが必要だと思っています。そういった点でも、三宅社長のところへの期待は大きいのですが…。

三宅 できれば150〜 200名体制にもっていきたいのですが、なかなか良い人材を集めるのは難しいですね。中途採用も行っていますが、採用率は5%を切っています。私どもは、会社の社名どおり、SIer ではなく「技術」が売りの会社です。親会社の(株)NTTデータが組織的に信頼性の高い大規模システムの開発行う体制を取っているのに対して私どもはこれを補完する、最先端で小回りを利かせた技術開発を自己完結的にこなせる尖った(スペシャルな)エンジニアの集合体ですから、そういった視点で私どもに適した人材を集め、キャリアパスを作っていくことが今後の課題です。この意味で、人材は国籍にこだわらないことも視野に入れています。現在、中国の方2名、インドの方1名、欧州から1名来て頂いていますが人材の国際化対応も重要と考えてます。




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