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ビジネスコミュニケーション

エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

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一兆円企業を目指すNTTデータにおいて、新規ビジネスの発掘からインキュベート、本格事 業展開まで総合的な施策を展開するビジネスイノベーション(BI)本部。本部創設2年目を 迎え、NTTデータにおける成長エンジンの強化・加速の核として注目を集める新規ビジネス 創出に向けたBI本部の取組み状況を、佐藤滋美本部長にうかがった。

㈱NTTデータ ビジネスイノベーション本部 本部長 佐藤 滋美氏
㈱NTTデータ
ビジネスイノベーション本部
本部長 佐藤 滋美氏

成長エンジンの強化・加速の核として注目を集める新規ビジネスの創出

-本年6月1日に貴社は大幅な機構 改革を実施されましたが、BI本部にと って、今回の機構改革はどのような意 味をもつのでしょうか。

佐藤今回の機構改革の主旨は、権 限委譲、ビジネスユニットの事業規 模適正化、ベースロードと成長エン ジンの強化・加速を図ることによっ て、中期経営目標である1兆円企業 の達成を実現するための体制整備に あります。特に、現在の収益源であ る「ベースロード」と、将来の収益 の柱となる「成長エンジン」を16 事業本部内に共存させたところに、浜口社長の強い想いが込められてい ると思います。つまり、各事業本部 内に収益源となるものを持ちつつ、 将来の弾込めも事業本部で行うとい うものです。BI 本部自身は、内部 組織の統合及びインキュベーション BUを新設しましたが(図1 参照)、 大幅な組織の変更はありませんでし た。しかし、各事業本部が成長エン ジンを確立して育てていくためには 新規ビジネスへの取組みは不可欠で すので、BI 本部にとって、今回の 機構改革は非常に大きな意味をもっ ています。

BI本部の新組織体制

-BI本部からしてみると、成長エンジンという出口ができた…。

佐藤事業の卵が孵化し、事業強化 段階を経て、各事業本部の一つの成 長エンジンになるという卒業へのプ ロセスと目標がより明確になったと いうことです。今後、さらに新規ビ ジネスにドライブがかかると見てお り、BI本部が展開している施策や、 これまで蓄積してきた経験・ノウハ ウが活用されるものと期待していま す。

-機構改革に加えて、貴社にとって 第三世代となるビジョン「Global IT Innovator」を発表されましたが、BI 本部はこのビジョンをどのように捉え ていますか。

佐藤第三世代ビジョンを実現する 視点として、「グローバル・パート ナーシップ」「生活者起点」「ワーク スタイル・イノベーション」の3項 目を宣言していますが、BI本部は、 特に3番目のワークスタイル・イノ ベーションに注目しています。グロ ーバルなパートナーや競合と伍して いくために、BI本部内の各ユニット を会社経営の視点で捉え、市場のル ールを優先適用することや、若手に チャンスを与え、経営に参画させるといったことを展開していきたいと 考えています。また、BlogをBI本 部のコミュニケーションスタイルに したいと思います。

「i3ファンド」活用案件の審査風景

i3 ファンド施策の展開に加え、自ら新規ビジネスを創出し事業拡大

- BI 本部の主要ミッションとして、 全社の新規ビジネス創出を推進するこ とと、自らビジネスを創出することの 2 つがあると昨年8月号のインタビュ ーでうかがいました。取組みの状況を お聞かせください。

佐藤全社新規ビジネス創出のため の「i3(アイキューブ)ファンド」 (年間15億円)については、初年度 は成功したといえます。企画段階の 案件が124件、実証実験ベースの案 件が48 件だされ、それぞれ当初の 目標を大幅にクリアしました。アイ デアがでてこないのではないかとい う心配は、まったくの杞憂に終わり ました。2年目の今年は、冒頭お話 した成長エンジン施策の展開もあっ て、ますますファンドの利用は高ま ると期待しています。件数は順調に 伸びると思いますが、平成18 年度 にはi3ファンドを活用した新規事業 で約200億円の増収を目指している ことから、ファンド活用案件に ついて、可能性の迅速な判断を 含め、いかに実売上に貢献させ るかが課題です。

―自らのビジネス創出で、平成 18年度に300億円の売上目標を掲げ ていますが、達成の見通しはいかが ですか。

佐藤BIS300(18 年度連結売上 300億円)を目標に掲げ、懸命に取 り組んでいますが、16 年度の実績 を見ると険しい道のりです。しかし、 16 年度中にBI本部の関係グループ 会社の経営体制が整ったのと、市場 に投入できる商品・サービス群が出 揃ったことから、目標を変更するつ もりはありません。

-新規事業はお手本もなく、リスクも大きいと思いますが、リスク回避はどのように行っていますか。

佐藤システムの品質というより も、ビジネスリスクへの対処に重点 を置いたBRM(ビジネスリスクマ ネジメント)室を設立しました。ア イデア段階から法務や知財の専門家 が参画して想定リスクをすべて洗い 出し、ビジネスリスクの回避に努め ています。また、秘匿性の高い情報 を取り扱うバイオサイエンスや医 療、ヘルスケアといったライフサイ エンス分野の事業展開においては、 個人情報保護はもちろん、医療倫理 や生命倫理の観点やIT が生命に及 ぼす影響も含め、この分野ならでは のリスクを回避したり、関係省庁の 示す各種ガイドラインの遵守に向 け、「ライフサイエンス倫理審査委 員会」と「BI 本部ライフサイエン スビジネスリスク審査委員会」を自 主的に設置し運営しています。

-脱SIも必要だと思いますが、新しいビジネスモデルや事業の柱は育っていますか。

佐藤実際、BI本部の売上構成は、 SIではなくASPも含めたトランザク ション販売が主流を占めています。 その中で、いかに収穫逓増モデルを 確立できるかを検証しているところ です。今後は、BI本部発足以来掲げ ている、情報を分析して価値を高め る情報活用事業を本格化します。

Long Tail 領域でのビジネス創出と新たな事業ドメインが鍵

-最後に、次なるイノベーションとして、何を視野に入れていますか。

佐藤最近、「Long Tail(ロングテ ール)」が話題になっています。こ れまで、「80%の売上は20%の商品 から」「80%の利益は20%の大口優 良顧客から」(俗にいう「80:20の 法則」)と言われ、取るに足らない 80%(この領域をLong Tail領域と 呼ぶ)は無視せよという効率化経営 が行われていました。ところがネッ トビジネスではこの領域にリーチで きるため、その法則が崩れるという ものです。今後は、このような Long Tailの領域で成功するビジネ スモデルの創出を考えていくととも に、NTTデータの新しい事業ドメ インを見つけることも使命だと思い ます。

-本日は有り難うございました。

(聞き手・構成:編集長 河西義人)

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株式会社NTTデータ
ビジネスイノベーション本部
企画部事業企画グループ
E-Mail : bis_support@am.nttdata.co.jp
TEL : 03-5546-9360 FAX : 03-5546-9392


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